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2019年05月17日14時56分掲載
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関生反弾圧市民情報センター
現場で闘う女性たちのことを伝えたい 中島 由美子
5月10日に都内で開いた関生弾圧を跳ね返す東京集会で、集会実行委員会は全国一般労組東京南部委員長の中島由美子さんに連帯の発言をお願いした。併せて関生支部に女性組合員の派遣を要請した。中島由美子さんと青木邦子さん、二人のたたかう女性の魂が呼応しあう、とてもいい集会だった。集会後、中島さんがフェイスブックに一文を投稿してくれた。その文章に多くの女たちが呼応し、思いを寄せてくれた。関生とともにたたかう新しい流れが生まれたことを予感させる。中島さんの投稿とその投稿に寄せられた多くの女性の思いのいったんを紹介したい。(大野和興)
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現場で闘う女性たちのことを伝えたい 中島 由美子
全日本建設運輸連帯労働組合(全日建)近畿地方本部の執行委員の青木邦子さんの仕事は、生コントラックの運転手、関西地区生コン支部(以下、関生支部)所属の組合員だ。
関生支部と言えば、地域合同労働組合であり、他に類を見ない地域産別組合運動で有名だ。いまその関生支部が、未曾有の刑事弾圧を受けている。青木さんの夫も関生支部の組合員で、違法企業に法令遵守を求めるビラまき活動が「威力業務妨害罪」だとして不当逮捕された。昨年来、当たり前の労組活動に対し、強要未遂、恐喝未遂、恐喝、威力業務妨害だのと、組合役員、組合員、業界関係者を含むのべ65人が逮捕されている。
なぜ、こんな問題が起きているのか。 建設業界は、大手ゼネコンを頂点に、幾層もの下請け企業で成り立っている。下請けの中小零細企業が仕事を取るためには、過当競争をするほかなく、終いにはほとんど儲けのない仕事を請け負うことになる。そのしわ寄せは必然労働者にやってくる。この構造的な問題を解決するために、業界との間で、企業横断的な労働条件を決定する集団交渉をしてきたのが関生支部だ(注:諸外国の労働組合なら普通にやってる交渉方式だね。じつは日本の企業別労働組合ってのが特異なんですな)。
集団交渉によって企業間コストを抑制し平準化することを目指した。適正な価格と品質で生コンを販売する仕組みになれば、中小企業の経営も安定するし、それは労働者の生活の安定につながり、また、品質の確保で消費者の利益にもなる。その取組みは、労使が協力する協同組合の設立となり、生コン価格の適正化を図ってきた。
中小企業がまとまるのを嫌うゼネコンやコンクリートメーカーによる協同組合の切り崩し、低価格競争の復活という危機や弾圧を、関生支部は何度も跳ね返しながら、運動を進めてきた。そうして会社経営が安定し儲かれば、労働条件を改善させ、好条件を獲得してきたのだ。また、阪神淡路大震災で露呈された粗悪なコンクリートは、安全性を無視した利潤追求による低価格競争の結果だと、安全基準コンプライアンスを守れという運動も起こす。だが、こうしたコンプライアンス運動が、労働組合を目障りだとする者たちに敵視された。
ちなみに、青木さんの夫は、警察官に「コンプライアンス運動はさせない。つぶしてやる」と言われたそうだ(法令を遵守すべき警察が、法令違反に対し「守れ」と訴える運動を「つぶしてやる」とはなんだ!法令放置国家か!。
協同組合は業界再建で莫大な利益を上げたが、労働組合との間で約束された輸送運賃の引き上げは不履行だった。関生支部は「協定を履行しろ」と、17年12月12日にストライキに打って出る。闘う労働組合なら当たり前の戦術対応だ。
すると、協同組合は、レイシスト集団を使った街頭デマ宣伝を行い、ネトウヨユーチュバーがあたかも協組が被害者かのように編集した動画、フリーライターを使った週刊誌へのねつ造記事、警察と連携した逮捕時のTVニュースなどを流した。その上、組合員のいる企業には仕事を回さないと締め上げた。
労働組合の団体交渉や団体行動権は、刑事免罰が保障されているのに、警察は、暴力団などの組織犯罪対策課が担当し、行動を弾圧するという異常さ。弁護団によれば、裁判所では労働法を知らない裁判官が事件を担当しているというめちゃくちゃ、長期勾留の人質司法。
さらに、警察が組合員の家に個別訪問し、組合員へ露骨な組合脱退を強要、組合員の妻たちに脱退を勧めるよう強要、脅迫をしているというから尋常じゃない。
従って、この組合つぶしは、単なる組合つぶしではない。憲法28条が保障する労働基本権が蹂躙され、基本的人権が脅かされる大弾圧だ。労働組合が萎縮し、抵抗できなくなれば、労働者は資本の言いなりに働くしかなくなるからだ。大資本と権力が一体となって、従順な労働者づくりのため、もし抵抗でもすれば一網打尽にする「共謀罪」の適用を狙っているとしかいうほかない。 青木邦子さんは、弾圧で組合員の家族が動揺しないよう奔走している。彼女の夫も不当な逮捕をされ、自宅に家宅捜査が入った。部屋の中をぐちゃぐちゃにされ、彼女も「ストライキ」と書いた手帳を押収された。労働組合員である夫を、まるで「暴力団の構成員」であるかのように警察が言えば、たいていの家族は驚くだろう。しかし正義は私たちの側にある(注:猫の家族の画像を読んでください)。
私は、関生支部のこのような闘いから、マッチョな男たちの労働組合を想像していたが、青木邦子さんも生コン運転手であるように、また、間接部門で働く女性組合員もいる。
男性職場である生コン運転手に、女性が職域拡大を果たしたのはもう随分前だ。彼女たちは女性トイレの設置から運動を始める。簡易トイレが置かれたが、男性に使われてしまう。ほしいのは簡易トイレではなく女性トイレだ。トイレを獲得し、さらに生理休暇の有休保障など、女性労働者が安全に働ける環境を要求してきた。
私も、それまでほぼ男性職種であった労組専従に女性の職域拡大したので、彼女たちの活動に大きく共鳴する。 決して弾圧に屈しない。彼女たちもまた闘っている。 弾圧の説明が長くなってしまったが、私は、そんな中で、青木さんたち、現場で闘う女性たちのことを伝えたかった。
◆ 詳しいご報告ありがとうございます。 関生に女のたたかいがあるなんて知りませんでした。 機会があったら、当事者の方にお話を聴いてみたいです。
◆以前から関経協や警察は関生潰しを狙っていた。敵は本気だ。
◆この文章大事にキープしました。フランスの家庭雇用の産別労働協約のこと書いたりしていることもあり、関生支部の運動のすごさが身にしみます。いつものことだけど、中島さんの投稿から本当に多くのことを学んでいます。そして、ふたりで並んでいる写真は姉妹のようです。お宝写真。
◆コントラックの運転手、かっけーと思いました。その後の、女性便所の話も、感動の嵐。
◆関西生コンの闘いを見る時に「時代的なヤバさ」を感じる。 結成当時や少し前までの屠場労組を思い出すね。
◆昨日は体調不良のため集会参加を断念したのですが、こんな話が聞けたのなら、頑張って行けばよかった。ううう。。。
◆関生の青木さんたちがトイレを勝ち取って男の人も助かった話は感動的でした。何年か前に一緒にアメリカの炭鉱の女性のセクハラと闘った映画一緒に見て泣きあった事を思い出しました。その一人が青木さんだったと思います ◆中島 由美子 そう、あの映画を彷彿とさせる話でした。でも関生は映画の炭鉱組合のようなマッチョではなく、青木さんの話から、弱者にとても優しい組合だと思いました。
◆中島さん、報告してくださって、ありがとうございます。女も闘っているなんて、勇気がでます。来週、この件について労働法学者たちが研究会を開くので、参加してみようと思っています。青木さん、頑張れ!応援するぞ!
◆中島 由美子 生コン運転手の仕事は、生ものを時間までに運ぶという繊細かつ制約された仕事で、もちろん男性と同一労働同一賃金ですから、女性労働者にはシングルマザーが多いそうです。
◆詳しいご報告ありがとうございます。 関生に女のたたかいがあるなんて知りませんでした。 機会があったら、当事者の方にお話を聴いてみたいです。
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中島さん(右)と青木さん(左)





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