「イスラエルには西岸の一部を保持する権利がある」と、フリードマン駐イスラエル米国大使が6月8日発の米紙ニューヨーク・タイムズで、爆弾宣言を公表しました。 ユダヤ人の入植地は、イスラエル政府の勝手な判断でパレスチナ人の家屋を潰し土地を奪って、作られてきました。 パレスチナ住民は勿論、国連も国際法も、イスラエルの入植政策は植民地行為だとして、強く反発してきました。 しかし、このフリードマン米国大使の無責任な発言は、アメリカからの移民入植者たちを勢いづかせ、自衛と称するパレスチナ住民への襲撃を激化させています。イスラエルの入植者は、ウジ短機関銃などで完全武装しています。 一方、モロッコ占領地・西サハラでも、モロッコ人入植者が西サハラ住民をナイフやこん棒で襲っています。 侵略者が住民を襲うのは、西部開拓時代から変わっていません。
(1)エルサレムのアル‐アクサ・モスクで、ユダヤ人入植者がパレスチナ人礼拝者を襲撃: 2019年6月2日、WAFA(パレスチナ国営通信)が、「数百人のユダヤ人入植者たちと彼らを援護するイスラエル軍が、<エルサレム再統合>と叫びながら、アル‐アクサ・モスクで礼拝していたパレスチナ人たちを襲撃した」と、伝えた。<エルサレム再統合>は、エルサレムをパレスチナとイスラエル両当事者の首都とした国連安保理決議に反して、エルサレムはまるごとイスラエルの首都とする主張だ。この入植者運動も、2018年5月14日にアメリカが大使館をテルアビブからエルサレムに引っ越したことが、引き金になっている。アメリカ大使館のエルサレム引っ越しを、♠米大統領の娘イヴァンカと娘婿クシュナーが盛大に祝った。夫妻はユダヤ教徒で娘婿はユダヤ人だ。 アル‐アクサ・モスクのオマル・キスマニ指導者は、「約1179人の過激ユダヤ教徒がアル‐アクサモスクを占拠し、イスラエル軍はイスラム教礼拝者たちに向けて催涙ガスを発射した」と、アナドル(トルコ通信社)に語った。 6月9日も、アル‐アクサ・モスクで礼拝をするイスラム教パレスチナ人がユダヤ教入植者に襲われた。WAFAが「イスラエル兵に守られた3300人のイスラエル人入植者たちが、エルサレム旧市街のモロッコ門から侵入し、アル‐アクサ・モスクで礼拝をするイスラム教パレスチナ人たちを威嚇した。一連の過激入植者たちによるパレスチナ人礼拝者に対する攻撃の責任は、イスラエル占領政府にある」と、強く抗議した。 アルアクサ・モスクは、エルサレム旧市街の神殿の丘に、ウマイヤ王朝時代に建設されたモスクで、<銀のドーム>と仇名されている。 エルサレムは世界最古の都市の一つで、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖都だ。♠アメリカ政府は2017年に「エルサレムはイスラエルの首都」と、勝手に決めたが、国連や国際社会も「エルサレムがイスラエルの首都」とは、認めていない。
(2)モロッコ占領地・西サハラのスマラで、モロッコ人入植者が西サハラ住民を襲撃: 2019年6月6日、モロッコ占領地・西サハラの古都スマラで、モロッコ人入植者に先導されたモロッコ軍が、西サハラ人政治囚サラー・ラバセールの家の周辺を封鎖した。この日、4年間の刑期を終えたサラーの帰還を祝って、大勢の人々が彼の家に集まる予定だった。彼の家は重装備の兵に完全包囲され、彼の家に向かう道には検問所が設置されバリケードが敷かれた。彼の家に入ろうとした仲間や平和活動家や協力者や報道関係者たちは、占領軍兵士たちから強制排除され、抗議した者は逮捕された。彼ら兵士たちはサラー家の壁を壊し、乱入しようとした。 サラーがどんな悪さをしたかって? 西サハラ被占領民のサラーは、モロッコ占領地・西サハラで、占領下での人権問題やモロッコ占領政策の実態や、モロッコ監獄の実情を記録し、ネットなどで流しただけなのだ。そんなサラーに、モロッコ国王に対する反逆罪という判決を下し、4年という実刑を科した。サラーはモロッコ占領地・西サハラ内だけではなく、モロッコ本土の悪名高い監獄にたらいまわしされ、拷問で政治転向を迫られた。彼は囚人仲間や家族や活動家仲間に励まされ、見事な活動家に成長して、4年の刑期を立派に終えた。 オアシスを利用して創られた古都スマラは、モロッコ占領地・西サハラの首都ラユーンより古い。1887年に西サハラの宗教指導者で部族長でもあるマー・エルアイニーンが、宗教と部族の本拠地として創設したのが、スマラの都だった。息子の<青いスルタン>はフランス植民地軍に反乱の狼煙を上げたが、失敗した。1942年生まれのモハメド・シデイ・バッシリは、当時の植民地宗主国・スペインに反対する<サハラ解放運動の地下組織>を極秘裏で立ち上げた。が、1970年6月18日、スペイン植民地当局はバッシリを逮捕した。バッシリの行方は未だに不明だ。しかし、彼らの反骨精神と独立魂は、現在約5万人のスマラ住民に受け継がれている。
(3)オマル国連西サハラ難民政府代表が訴える: 6月8日、ポリサリオ戦線西サハラ難民政府国連代表のシディ・オマル博士は、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)リーダーのコリン・スチュワート、国連事務総長政治補佐官、そしてPKO補佐官、国連安保理のメンバー国などに、若い西サハラ被占領民に対するモロッコ占領治安部隊とモロッコ人自警団の虐待に対して、強い抗議の書簡を送った。書簡には、モロッコ占領地・西サハラでモロッコ治安当局から酷い暴行を受ける、西サハラ青年たちの映像を添えた。オマル国連代表は書簡の中で、「西サハラに関する国連事務総長の最新報告にもあるように、占領地での人権を監視する、(占領当局から)独立した行動が不可欠だ、、国連はPKO派遣団(MINURSO国連西サハラ人民投票監視団)を今も展開させているのだから、このPKOに、モロッコの残虐行為と西サハラ住民の基本的人権無視に抗して、必要な緊急行動を取らせるべきだ」と、強調した。 6月8日にモロッコの首都ラバトで、フランス外務大臣ジョン・イブ・ル‐ドゥリアンは、「サハラ問題に関して、前国連事務総長個人特使が交渉という道筋を創ってくれた。ご苦労さん」と、しながらも、「フランスは、モロッコの地方自治案が交渉の中で現実的解決策だとする立場を堅持している」と、元宗主国フランスが指導した元被占領国モロッコの自治案を無条件で援護した。
パレスチナ入植問題も西サハラ入植問題も、国連の問題です。 ところが、二大紛争問題に関して、アメリカはイスラエルのフランスはモロッコの庇護者で、二大常任理事国は拒否権をチラつかせ、国連の言うことを聞かない、、最近の国連事務総長は、「国連はグッド・オフィス=どっちの見方もしない」という言い訳で、紛争問題の介入を拒否しています。 前国連難民高等弁務官のグテーレス国連事務総長は、事務総長就任当時、「弱い人に寄り添っていく」と、連呼されてましたっけ?! パレスチナ人も西サハラ人も弱い難民と被占領民なんですけど、、、
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年6月13日 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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