2019年6月21日の国連報道室は、やり切れないムードに包まれていました。 この日、ピエール・クレヘンビュール・ウンルワUNRWA事務局長を招いて特別記者会見が開かれましたが、記者の誰もがウンルワUNRWA最大のスポンサーだったアメリカが拠出金を断ち切っているのを知っていました。 ウンルワUNRWAの年間予算12億ドル(約1,440億円)のうち3憶ドル(約360億円)が、削減されたことになります。 「国連事務総長はアメリカと、再交渉したのか?」、「どこの国がアメリカの拠出金を負担するのか?」、「資金繰りはどうなっているのか?」、「パレスチナ難民の食糧は賄えているのか?」、、 記者たちの質問は、食うに困っているパレスチナ難民の窮状を代弁していました。 これに対してウンルワUNRWA代表は、「当面は凌げるが、半年先の見通しは立たない」と、答えました。 これが、約540万パレスチナ難民の命を預かるUNRWAの返事です。 ?? ウンルワUNRWAは、国連パレスチナ難民救済事業機関の頭文字です。
(1)クシュナーとグリーンブラットの、<バーレーン・ワークショップ>: 2019年6月17日、♠アメリカ政権の国際交流代表ジェイソン・グリーンブラットが、10年間で500憶$(5兆3,500億円)のパレスチナ経済支援計画をCNNニュースに投稿した。 6月20日、ロイターのインタヴューで、♠アメリカ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーも500億$のパレスチナ支援金をチラつかせ、「詳細は、6月25日と26日のバーレーン・ワークショップで発表する。これは次世代を見据えた、経済会議だ」と、政治問題を取り上げないことを、強調した。JJ (Jared KushnerとJason Greenblattの頭文字)コンビは、共にアメリカに移住したユダヤ家族の2世だ。ジェイソン・グリーンブラットはニューヨークのラビ神学校・イエシ―バー大学を卒業し、 トランプ・オーガニゼーションでCLO( 最高法務責任者)を務めていた、弁護士だ。彼も、♠ファミリーの一員である。JJご両人は、オーソドックス・ユダヤ(超正統派ユダヤ教徒)で、臨機応変にして変化を厭わない<ユダヤ人能力>に長けている。今回、<世紀の交渉><♠中東大和平交渉>、<中東経済フォーラム>と改名が続き、単なる<バーレーン・ワークショップ>と縮小して交渉実現に漕ぎつけたのも、ユダヤ人が持つ貫徹精神の賜物だ。 「イスラエルとパレスチナを交渉に招待しない」だなんて、政治色を避けた好判断だと騙されてはいけない。そもそもこの<世紀の中東交渉>は、祖国をイスラエルとするJJユダヤ人コンビの計画で、<イスラエルを招待>ということは、<自分が自分を招待>することになり、チョット変です。JJの巧妙なカラクリに騙されたのか、騙された振りをして自国の利益に利用するつもりなのか、アラブ諸国が<パレスチナ大義>という不文律を無視して、ワークショップに参加、、結果は? 楽しみです。
(2)Sell out the Palestinians (パレスチナ人の在庫整理?): 2019年6月23日、イスラエル紙エルサレム・ポスト編集長ヤーコブ・カッツとのインタビューで J・グリーンブラットは、「there is a limit to how far Arab states will go with Israel, since they don't want to sell out the Palestinians(要約、アラブ諸国がパレスチナを売り渡そうとしないのだから、奴らがイスラエルとやっていくことには制限がある)」と<国盗り作戦>を暴露した。そして、<♠アメリカ政権の歴史的中東和平交渉>は、予定していた6月から11月にずれ込むと変更を表明した。 パレスチナ政府はアメリカ主導の<バーレーン・ワークショップ>をボイコットした。 武器売買で仲の良いサウジアラビアとアラブ首長国連邦は早々と参加を表明、エジプト軍事政権も参加、米軍基地を拡張したカタールも参加、ヨルダンも参加、湾岸周辺アラブ諸国の殆どが、アメリカに忖度して参加した。70%のパレスチナ人が住むヨルダンでは、首都アンマンで、ワークショップ反対デモが起こった。イスラエル政府はワークショップが開催される25日、26日の外出禁止を、イスラエル入植者に課した。 パレスチナ政府支持を看板にしていたモロッコは、ヒズブ・イステイクラール(独立党)がワークショップ反対声明を出し、数千人の反対デモがあったにもかかわらず、参加した。西サハラ問題でアメリカの支援を取りつけようと、J・クシュナーを王様が晩餐に招待したり、必死でゴマをすっている。 そんな嬉しくない雰囲気の中で、「経済だけよ!」と、チラリズム会議が開かれた。今回のパレスチナ経済支援会議は当事者不在のまま、チラッと中東問題に触れただけで、本番はこれから?らしいです、、
(3)UNRWAの訴え、どうなるパレスチナと西サハラ難民?: 6月25日、<バーレーン・ワークショップ>に対抗して国連は、国連総会でウンルワUNRWA問題を討議した。前UNHCR国連難民高等弁務官の国連事務総長アントニオ・グテーレスは、ウンルワUNRWAの意義と必要性を強調し、国連は引き続き支援していくことを、確約した。 事務総長の隣に座ったウンルワUNRWA事務局長ピエール・クレヘンビュールは、2019年からアメリカが資金拠出を完全に停止した後、活動停止の危機に陥っていると訴えた。事務局長は、「2011年に始まったシリア内戦中逃げ場を失った難民が、首都ダマスカスにあるヤルムーク難民キャンプのウンルワUNRWA小学校に避難していた。小学校避難所で生まれた少年は、終戦後にウンルワUNRWAが再開したその小学校で、学び始めている」と、具体的な例を挙げながら、拠出国にさらなる資金援助を求めた。ウンルワUNRWA事務局長は国連総会へ直接財政報告をし、25カ国からなる諮問委員会の支援を受ける。UNRWA予算のほとんどは援助国による任意の拠出で賄われ、国連の通常予算から割り当てられるのは全体の2.5パーセントだそうだ。シリア内のパレスチナ難民は、レバノンやヨルダンに避難した人が多く、実数も実態も判明していない。 一方、西サハラ難民は、他の難民と同様にUNHCR(国連難民高等弁務官)が管轄し、食料などに関しては、国連姉妹組織であるWFP(世界食糧計画)などが担当している。2019年6月11日、ローマにあるWFP(世界食糧計画)本部が、西サハラ難民に対する2019年から2022年にかけての、基本的食料援助計画を発表した。西サハラ難民は、さしあたって4年間の命は繋げれたことになる。
国際社会の援助で、辛うじて命を繋ぐことができても、難民の人々は私たちと同じ人間です。 見栄も意地も誇りも、変わりなく持っています。 70年パレスチナ難民や44年西サハラ難民の人々が培ってきた、根性と忍耐と、そして生命力には、本当に頭が下がります。
Youtubeに2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。 「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年6月26日 SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
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