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2019年07月24日16時38分掲載
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政治
河野太郎曰く、日韓請求権協定で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」 Bark at Illusions
日韓請求権協定で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」──。日本の外務大臣、河野太郎の昨年11月14日の衆議院外務委員会での答弁だ。国家間の条約で個人の請求権は消滅しないというのは国際的な共通認識であり、そのことは河野太郎に限らず、日本政府も認めてきた。しかし、それにもかかわらず日本政府は日韓請求権協定(1965年)で「徴用工」を巡る問題は解決済みだと主張し、河野太郎は「徴用工」問題で仲裁委員会の開催に求めに応じない韓国の駐日大使を呼びつけて、韓国大法院(最高裁)が日本企業に元「徴用工」への賠償を命じたことを念頭に、「国際法違反」の状況を是正するようにと恫喝した。そしてマスメディアは、またしても「徴用工」問題で最も重要で基本的な事実を伝えることを怠った。
河野太郎は6月19日に韓国のナム・グァンピョ駐日大使を外務省に呼びつけ、
「国際法違反の状態をこれ以上野放しにしないように」
と抗議し、「直ちに是正の措置」を取るよう要求した。そして大使が問題の解決策として先月提案した韓国側の案を再び説明しようとすると、それを遮り、
「韓国側の提案は全く受け入れられるものでない。国際法違反の状況を是正するものでないという事は、以前に韓国側にお伝えをしております。それを知らないふりをして、改めて提案するのは極めて無礼でございます」
と恫喝した。 冒頭でも述べた通り、日韓請求権協定で個人の請求権が消滅していないことは河野太郎も認めている。それを承知で、テレビカメラの前で被害国側の大使に対して「国際法違反」を是正しろとヒステリックに罵声を浴びせているのだから、無礼なのは明らかに河野太郎の方だ。 また河野太郎は韓国に対する日本の輸出規制を韓国側が批判していることについて、
「旧朝鮮半島出身労働者の問題を他の問題と一緒に、あたかも関連しているかのように位置づけるのは止めていただきたい」
とも述べているが、「徴用工」問題と結びつけて輸出規制を行うと発表したのは、日本政府の方だ。例えば、毎日新聞(19/7/3)は、
「菅義偉官房長官は2日の記者会見で、韓国向け半導体材料などの輸出規制に踏み切った理由について、元徴用工問題を挙げて『主要20カ国・地域首脳会議までに満足する解決策が示されなかったことから、信頼関係が著しく損なわれた』と述べた」
と伝えている。 河野太郎の下劣で支離滅裂な言動と振る舞い。思うに、これは参議院選に向けた人気取りだったのではないか。 残念ながら、日本社会には政府が韓国や朝鮮などの旧植民地に対して強硬姿勢を取れば評価される世論がある。河野太郎がこれだけ付け上がるのは、歴史を歪曲し、日本の帝国時代の被害者に対して不誠実な姿勢を取る日本政府をこれまで野放しにし、批判するどころかそれを支持してきた日本社会にも責任がある。そして、そのような社会を創り出してきたのは、マスメディアによるところが大きい。
今回もそうだが、マスメディアは日韓請求権協定で「徴用工」の問題は解決済みだというのが日本政府の立場だと説明するばかりで、それに真っ向から反する事実を伝えることを怠ってきた(日刊ベリタ 18/11/7、19/5/30、他)。
日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していない。しかも日韓請求権協定で日本政府が行った韓国側への3億ドル分の無償供与は経済協力であり、それは日本の生産物と日本人の役務という形で供与された。従って、大日本帝国時代の植民地政策の被害者が救済されずにいる。そのことが「徴用工」問題の本質だ。 マスメディアが「徴用工」問題を理解する上で最も重要で基本的なこのような事実を伝えていれば、河野太郎や日本政府のやっていることが、如何に恥知らずで無礼なことであるか、日本人にも理解できるだろう。
この問題を解決する責任は、加害者である日本側にある。河野太郎は人気取りのために被害者の気持ちを踏みにじるのを止めろ。そしてこれ以上日本の恥さらしをするな。
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転載について
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