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2019年08月03日16時33分掲載
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人権/反差別/司法
「再審」の門は広く大きく開くべきものだ 三鷹事件、再審認めず 根本行雄
1949年夏、旧国鉄三鷹駅構内で無人電車が暴走して脱線し、通行人ら6人が死亡した「三鷹事件」があった。7月31日、東京高裁(後藤真理子裁判長)は、電車転覆致死罪で死刑が確定した竹内景助元死刑囚(45歳で獄死)の長男が申し立てた第2次再審請求を棄却する決定を出した。弁護側は異議を申し立てる方針である。日本の「再審の門」は依然として固く閉ざしている。「再審」の門は広く大きく開くべきものだ。
すでに、ベリタの読者には、これまでも、なんども、述べてきたことだが、「再審」の門は広く大きく開くべきものだ。
内田博文(九州大名誉教授)さんは、毎日新聞(2019年7月4日)において、次のように述べている。
「刑事訴訟法の規定には、日本国憲法がうたう刑事司法の諸原則と矛盾するものも少なくない。捜査機関への強制処分権の付与や検察官の起訴独占と接見指定、上訴権などだ。捜査側に有利に偏っており、起訴陪審など検察官司法を抑制し、人権侵害を防止する制度も存在しない。」
司法改革を標榜しながら、日本は「治安維持」を最優先にする偏頗な司法制度に固執し、最高裁をはじめ政府の司法関係者の多くは、抜本的な改革を行おうとはしない。再審法の見直しは必要不可欠だし、内田さんが述べているように、捜査機関への強制処分権の付与や検察官の起訴独占と接見指定、上訴権などは廃止すべきものだ。
□ 再審請求のハードルは高い
「三鷹事件」は7月15日で事件発生から70年を迎えた。弁護団の前には、長い歳月という壁がある。これだけの時間が経過すると、当然のことながら、目撃証人の多くは高齢化し、死亡している場合が多いからだ。それに加えて、検察に残された証拠を手に入れるための高い壁も立ちはだかっている。
「三鷹事件」の裁判では電車転覆致死罪に問われた10人の被告のうち、竹内元死刑囚1人が有罪になった。確定判決の直接証拠は竹内元死刑囚の自白だけだと言われている。竹内元死刑囚の供述は公判中に変遷を繰り返した。
60年以上前の判決の直接証拠は本人の自白だけである。弁護団は、公判で「単独犯行」「共同犯行」「無実」と、竹内元死刑囚の供述は公判中に変遷を繰り返した。
弁護団は、再審請求にあたり、「単独犯行を自白した竹内元死刑囚の供述は変遷しており、自白通りの方法では電車を暴走させられなかった」として、複数人による犯行だと主張している。竹内元死刑囚の供述とは異なる方法で電車が発車したとする鉄道工学の専門家の鑑定書などを新証拠として提出した。
事件当夜、発生と近い時刻に、現場近くで竹内元死刑囚を目撃したという男性の証言があるが、戦後間もないころ、夜間に屋外に設置された電球の光で、人物の顔が本当に識別できたのだろうかという疑問がある。今回の再審請求では、心理学の専門家に再現実験をし、「顔を識別できなかった」との鑑定書を提出した。
裁判に提出されなかった検察の「手持ち」証拠については、あるか、ないかは検察にしか分かりようがない。先月、最高裁が再審開始を取り消した「大崎事件」でも同じことが言える。再審請求中に、弁護団が検察の持っている証拠を開示するよう求めたが、検察は「存在しない」などと回答した。その後、裁判所が勧告したところ、ようやく新たに証拠のリストが出てきたのである。
警察や検察が手に入れた証拠類は全面開示すべきものである。有罪の立証に必要なものだけを開示し、無罪の立証に役立つ証拠を隠匿するのは正義に反している。検察には、証拠の全面開示を義務付けなければならない。
「再審」の門は広く大きく開いているべきなのに、日本の「再審の門」は依然として固く閉ざしている。再審法の改正が必要である。
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