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2019年08月04日14時08分掲載
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社会
かんぽ生命の不正販売と、それを支える人びと 根本行雄
7月31日、かんぽ生命保険の不正販売問題で、日本郵政とかんぽ生命、日本郵便の社長が、そろって記者会見し、約3000万件の全契約について顧客の意向に沿った契約か、実態を調査すると発表した。顧客に不利益を与えた可能性がある契約が過去5年で約18万3000件に上ることも発表した。もちろん、被害者の救済を急がなくてはならない。しかし、その一方で、不正販売の病巣を明らかにしなければならない。不正を招いた一因として販売ノルマが指摘されているが、それと同時に、不正を実行した販売員のモラルの低下を忘れてはならない。
長年、日本郵政、かんぽ生命、日本郵便は多くの国民に信頼されてきた。全国に、約2万4000局あるといわれている郵便局がその信頼を支えてきている。民営化後も、いろいろと制約があったが、まず、郵便局を利用し、それから民間のものを利用するというやり方が多くの人によって採用されてきた。
毎日新聞(2019年8月1日)は次のように伝えている。
日本郵政の長門正貢(まさつぐ)社長は会見で「信頼を大きく裏切り、断腸の思い。ご迷惑やご心配をおかけし、おわびする」と謝罪した。9月末時点の調査状況を中間報告し、年内に最終報告をまとめるが、件数が膨らむ可能性がある。郵政グループ3社トップの経営責任が問われるが、「各社で陣頭指揮を執るのが職責だ」と述べるにとどめた。
顧客に不利益を与えた疑いがある契約は14年4月〜19年3月の5年間で約18万3000件に上り、既に判明していた約9万3000件から倍増した。保険料の二重払いが7万件で、従来の2万2000件から大きく膨らんだ。
日本郵政、かんぽ生命、日本郵便の三社からなる「日本郵政グループ」は正規職員だけで21万5412人(3月末時点)であるそうだ。日本郵便は9割を占めており、本社と13支社が約2万4000の郵便局を束ねるという。こういう巨大企業が不正を行っている。その責任は重い。
日本郵便は2015年の給与体系見直しで、保険営業を担当する局員の基本給を12%減らし、成果に連動する手当を厚くしたという。局員の年収は40代で700万円程度と推定されている。だから、月収50万円を超える。
今回の不正契約は約18万件を超えている。実際に、この不正にかかわった人間はどれくらいいるのだろうか。月収50万円超といえば、サラリーマンとして低所得とはいえないだろう。このような収入のある人間が不正を働いている。そのモラルの低さはどこに起因しているのだろうか。
トクヴィルは『アメリカの民主政治』(講談社文庫 下巻)のなかで、「陪審は人々に私事以外のことに専念させるように強いることによって、社会のかびのようなものである個人の自己本位主義と闘う。」(210ページ)と述べている。
ノルマがキツイと言っても不正を働いてよい理由にはならない。それは「社会のかびのようなものである個人の自己本位主義」である。それと闘い、最低限のモラルを維持できないとしたら、それは限りなく犯罪に近いし、実際に犯罪に実行してもいるということを認識しなければならない。
私たちは自由で、公正で、対等な人間関係で成り立っている社会を目指している。それはいつでも「社会のかびのようなものである個人の自己本位主義」と闘っている人間によって支えられている社会でもある。
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転載について
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