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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年08月17日18時05分掲載
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文化
宮内好江著「15分でフランス料理」 ありふれた食材を美味しく食べるための1歩
文化出版局から出ている宮内好江著「15分でフランス料理」は装丁が若干地味ながら、中身は詰まったフランス料理のレシピ集です。15分、という短時間で普通の人が台所で作れる品々が70品ばかり紹介されています。15分とありますが、5分もあれば7分もあり、12分もあります。
「えびのカクテルソース、バジル風味」は、カクテルソースの作り方が味噌でしょう。使っている調味料も、マヨネーズとか、ケチャップとか、ブランデーやウイスキー、それにバジルとカイエンペッパー、タバスコ。これらの調味料はスーパーで簡単に手に入れることができます。えびを茹でて、カクテルソースにつけて食べる。この料理の所要時間がわずか10分。スーパーに入ったら、加工食品ではない、えびのコーナーから目が離せなくなりそうです。
「焼きねぎのバルサミコソース」はねぎをバター、バルサミコ酢、タイム、砂糖、塩コショウで炒める料理で、所要時間は15分。これはねぎの下準備として塩茹でしてざるに挙げて水けを切るのに5分かかるからです。最後にタイムを振りかけます。何のことのないねぎが主役となったフランス料理です。
そのほか、「桃のミント風味」(5分)とか、「洋梨のアーモンドチョコレート」(8分)、「バナナのカラメルソース」(15分)などのデザートの作り方も紹介されています。これらはおやつにもなりますが、コース料理の仕上げにも使えそうです。
本書の良さは日本で大ヒットした瀬尾幸子さんの「おつまみ横丁」に通じる、分かりやすさと品々の魅力でしょう。パリ風のビーフステーキの場合も、ステーキ用の牛肉に塩コショウのほか、マスタードとブランデー(またはウィスキー)と砂糖をミックスしたソースをかけることで、単に焼いたというのとは異なる風味を楽しむことができます。ブランデーやウイスキー、マスタード、ヨーグルト、白ワイン、オリーブオイル、バルサミコ酢、レモン汁、マヨネーズなどは常連の材料です。どれも本当に身近なものです。こうした積み上げでフランスの調理のパターンになじむことができるのです。
宮内好江さんのプロフィールを見ると、旅行会社勤務を経て渡仏し、フランス料理店で働くと同時に、和食の板前の夫から日本料理を学んだそうです。さらに世界40カ国を旅して料理を学んできたということから、料理に関して視野が広く、経験値が高い人であることがうかがえます。まぐろの刺身の盛りにうずらの卵が乗っていてケイパー、ピクルス、あさつきなどとニョクマムやマスタードなどの調味料を使う「まぐろのタルタル」はまさに典型的な1品です。まぐろを使うのをやめて生の牛肉を使えば、フランスのタルタルステーキになるそうです。それぞれ説明はシンプルですが、奥はとても深そう。なぜこうなるかを著者は説明していませんが、それは読者が頭を働かせ、想像するところです。本書を読めば、加工食品漬けになった人はそうした暮らしから1歩抜けだすヒントになるかもしれません。
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