プラハのヴァイオリニスト、ルドミラ・パヴロヴァー(Ludmila Pavlova)さんがこの春、取り組んだのがカロル・シマノフスキ作曲「ヴァイオリン協奏曲2番」です。この曲を演奏していると、嗚咽が込み上げてきた、とパヴロヴァ―さんは語ります。以下が、この公演の録画です。パブロヴァーさんは前に立ってヴァイオリン・ソロを受け持っています。
https://www.youtube.com/watch?v=vBsJd9esHaI&fbclid=IwAR2QpAxvau3R6U_EKR1Z2s-nE3sx_pwKS8f-Zzr0dIUBNMgU3gF_nh1WPP8&app=desktop カロル・シマノフスキ( Karol Szymanowski, 1882 - 1937)はポーランドの作曲家です。以前のインタビューで、毎回、演奏に際して、作曲家のことを研究すると言っていたパブロヴァーさんです。
”During my music carrier I mainly found out that you have to live with the music you are playing, you must love it and try to discover the best option how to make your audience feel the same way and experience it with you. My teachers taught me many great opinions and skills but the best of them is the fact that they made me think about the pieces that I am playing - what was the composer thinking with this composition, in which situation was when he wrote it”
「私のこれまでの音楽人生において、人は演奏している音楽とともに生きていかなくてはならないことを知りました。その音楽を愛し、楽譜から最良の解釈を引き出して、聴衆にも同じように感じてもらうようにしなくてはなりません。先生たちは私にいろいろな意見やテクニックを教えてくれましたが、最も大切なことは作曲家が作曲している時に何を考えたのか、当時はどんな状況だったのか。それらを演奏する私に考えるように仕向けてくれたことでした。」
では今回、パブロヴァーさんはシマノフスキのヴァイオリン協奏曲第二番を前にしてどうしたのでしょうか?
”It is one of the most touching violin concertos for me. Karol Szymanowski was not an easy personality. His psychological state was mostly fighting with fear or disgust to his own spirit (because he, as a cristian, was feeling guilty for his homosexuality), sometines brave and full of happiness and joy, wanting to tell the truth to everybody. And this collision and changing of moods is the main reason why I think of this piece as emotionally very tough for interpreting. I visited Katowice for understanding his homeplace better and when I played his piece, I tried to do my best to really feel what he meant by his music and transfer it to the audience.”
「私にとってこの曲は非常に心に触れる曲です。カロル・シマノフスキの性格は非常に複雑なのです。彼の精神状態は常に自分の内面にある恐怖やあるいは自己嫌悪との闘いでした。( シマノフスキはキリスト教徒であったので、ホモセクシュアリティである自分に罪悪感を抱いていたのです)時に大胆で幸せと喜びでいっぱいになって真実をみんなに打ち明けたいと願ったこともありました。こうしたシマノフスキの内面の葛藤と気分の変化が反映した曲なので、それゆえに、この曲にある感情を正しく解釈することは私にとって非常に難しい作業でした。私はポーランドのカトウィツェを訪問し、彼の生まれた地をもっと理解しようと試みました。この曲を演奏していると、シマノフスキがこの曲にこめた思いを実際に感じようとベストを尽くしました。そして、それを聴衆に伝えようとしたのです」
上のリンクでのパブロヴァーさんの演奏はプラハ音楽アカデミー(HAMU)で今年、4月12日に行われた時の記録です。コメントにあるように、シマノフスキの音楽の激しい起伏をパブロヴァーさんが表現しているのが伝わってきます。
翻訳 村上良太
■音楽にかける青春 バイオリン奏者 ルドミラ・パヴロヴァー Ludmila Pavlova 人は演奏している音楽とともに生きていかなくてはならないことを知りました
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508200021584
■音楽にかける青春 富士山の麓でのコンサート ルドミラ・パヴロヴァー(バイオリン奏者) Ludmila Pavlova ,violinist
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702282300092
■音楽にかける青春 アンナ・パウロヴァー(クラリネット奏者) ’Now I cannot imagine my life without clarinet’ Anna Paulova
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508010952116
■アンナと7匹の猫 〜プラハの猫たち〜 クラリネット奏者、アンナ・パウロヴァ―( Anna Paulova )
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201612312047166
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