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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年09月06日09時59分掲載
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西川治・木村浩子著「イタリアを食べる本 パスタ」
郊外の近県に仕事で出かけてぶらりと入った古書店で見つけたのが西川治・木村浩子著「イタリアを食べる本 パスタ」である。本は縦長ではなく、むしろ正方形に近い。イタリア料理に関するレシピと写真付きのエッセイである。イタリアと言っても土地柄、土地土地で料理はかなり異なるのろうが、本書はミラノを舞台としている。
西川氏は写真家で、木村氏は西川氏の伴侶であるとあり、家族で滞在した時に出会って体得した料理に、さらにイタリア縦断旅行で得た経験も盛り込んだルポルタージュになっている。つまり、レシピとエッセイが楽しめる贅沢な本であり、ルポルタージュとしても味わいがある本だ。
その味わいを深めているのは料理特集用に短期滞在で書き上げたのではない、「時間」が凝縮されていることであり、その時間が与えてくれた人間関係がベースにあることである。盲目になってしまった名料理人という人が出てくる。ローカルな料理店のパスタ作りの現場の写真もある。
出版されたのは1991年10月だから、平成3年、バブル経済が崩壊した年、そして、ソ連が崩壊した年である。時代の変わり目だが、むしろ、未だバブル経済の1980年代の延長にあると言って過言ではないし、そもそも本が仕込まれたのは80年代だったろう。その頃、日本では金余りになり、イタリア料理がシンボリックになっていた。アメリカを経済的に追い越した、アメリカの象徴的なビルを日本企業が買ったことなどが話題になっていた。前にも書いたが、日本のバブル経済とイタリア文化が分かちがたくが結びついていたのだ。その意味では本書もその流れにある一冊であることは間違いがないと思う。とはいえ、本書はたとえその背景がそうだったとしても、浮ついた流行を追っただけの本ではない何かが濃密に感じられるのだ。それは二人がイタリアの本質を追いかけていたことにあると思う。そのために二人はイタリアに住み込んだ。
マルチェロ・マストロヤンニとジャック・レモンが共演した映画に「マカロニ」(1985) という映画がある、監督はイタリアの名匠、エットーレ・スコラで、テーマはイタリア人とは何か?ということに尽きる。だから、物語は第二次大戦中に一時期米兵として滞在したアメリカのビジネスマンが、その後、事業に成功して重役になった後にある機会があってイタリアを訪ねた時、昔知り合いになったイタリア人の男(マルチェロ・マストロヤンニ)と再会するのである。だが、アメリカ人(ジャック・レモン)はあまりにも、アメリカの功利的なビジネス文化に洗脳され、イタリアを楽しむことができなくなっているのである。だから二人の再開は当初はアメリカ人実業家にとっては迷惑なものでしかなかった。しかし、1日、また1日と経つうちに若かった頃の様々な出会いが蘇ってくるのである・・・・この映画はそうした美しい物語になっている。
イタリアと日本人の出会いはそもそも不幸だったように思える。80年代を振り返ると、最初から間違ったアプローチだった気がするのだ。だから30年近い時間が流れた今が、むしろイタリア人と出会うには良い頃だと思う。今の日本人ならイタリア人の魅力がよく見えるだろう。その意味では「イタリアを食べる本 パスタ」もリバイバルして欲しい本だ。仕事帰りの電車で僕はこの本を読んだのだが、時間を忘れて没頭することができた。それは幸せなひと時だった。
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