・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・アジア
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・入管
・地域
・文化
・欧州
・農と食
・人権/反差別/司法
・市民活動
・検証・メディア
・核・原子力
・環境
・難民
・中東
・中国
・コラム
提携・契約メディア
・AIニュース


・司法
・マニラ新聞

・TUP速報



・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus

・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2025年03月30日
・2025年03月29日
・2025年03月28日
・2025年03月27日
・2025年03月26日
・2025年03月23日
・2025年03月22日
・2025年03月21日
・2025年03月19日
・2025年03月18日
|
|
2019年09月06日16時00分掲載
無料記事
印刷用
アジア
日米韓の軍事的な連携が東アジアの平和と安定に寄与するという幻想 Bark at Illusions
韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を日本政府に通告した。GSOMIAは共有した軍事的な機密情報の保護を義務付ける協定(情報の提供を義務付ける協定ではない)だが、日本のマスメディアはそれによって日米韓の連携が弱体化し、東アジアの安全保障に悪影響を与えると懸念している。そう懸念するのは、日米韓の軍事的な連携が地域の平和と安定に貢献してきたという思い込みがあるからなのだが、実際には、米軍の存在や米軍を中心とした軍事的な同盟・連携が、東アジアの緊張を高めている。
マスメディアは東アジアの安全保障上の懸念事項として、朝鮮や中国、ロシアの脅威を挙げる。朝鮮は最近もミサイル実験を繰り返しているし、中国は軍事力を強化している。ロシアはその中国と7月に日本海で共同警戒監視活動を実施し、ロシア軍機が竹島付近の空域を飛行した(ただしロシア機が飛行したのは日本と韓国の防空識別圏で、領空を「侵犯」したわけではない。「防空識別圏」は各国が独自に設定するもので、国際法上の領空を定めるものではない)と言うわけだ。
しかし朝鮮がミサイル実験を繰り返すのは、米国や韓国が平和と非核化に関する朝鮮との合意に反する行動をとっているからだ。米朝は昨年のシンガポールでの首脳会談で「朝鮮半島の非核化」や「新しい米朝関係の構築」、「朝鮮半島の永続的かつ安定的な平和体制の構築」などで合意し、南北両首脳はパンムンジョム宣言(2018年4月)で「朝鮮半島の完全な非核化」や「朝鮮戦争の終戦」、「恒久的な平和構築」に向けて取り組むことで合意、9月ピョンヤン共同宣言(2018年)では、「朝鮮半島全地域での実質的な戦争脅威の除去」や「朝鮮半島を核兵器や核の脅威のない平和の地」にしていくことを目指すことなどで合意し、南北の国防相は「敵対行為を全面中止」することや「いかなる場合にも武力を使用しないこと」などで合意した。8月5日から20日にかけて行われた米韓合同軍事演習は、明らかにこれらの合意に反するものだ。
また朝鮮は、韓国がパク・クネ政権時代に購入を決めた米国のステルス戦闘機F35Aの納入を進めていることにも反発している。韓国は7月に続いて8月21日にも2機のF35Aを納入した。米韓合同軍事演習が終わればミサイル実験を止めるつもりであることを米国のドナルド・トランプ大統領に親書で伝えていた朝鮮のキム・ジョンウン委員長が軍事演習終了後の24日にもミサイル実験を行ったことについては、その前日に朝鮮のリ・ヨンホ外相が「米国は歴史上、最も強力な制裁を維持し、非核化が正しい道であると北朝鮮指導部を説得する」とメディアのインタビューで語ったマイク・ポンペイオ米国務長官を非難し、「米国が対決姿勢を捨てず、制裁の類いで対抗しようとするのは考え違いだ」と警告していたが(朝日19/8/23)、新鋭兵器を導入して南北間の合意に反する行動をとる韓国に対する反発もあるだろう。ポンペイオを批判した際、リ・ヨンホは朝鮮側は「対話にも対決にも準備はできている」とも述べている(同)。朝鮮半島の平和と非核化に必要なのは軍事的な圧力ではなく、朝鮮に対する敵視政策を止めることだ。
また中国が軍事力を強める背景には、アジアで展開する米軍の存在がある。北東アジアから太平洋を南下してオーストラリア・インド洋・中央アジアに至るまで、中国を取り囲む形で400以上存在する米軍基地は、中国にとって深刻な脅威だ。米軍は中国が交易を行う海域を封鎖する演習を行ったり、「航行の自由作戦」を行うなど中国に対する砲艦外交も行っている。また現在、沖縄県名護市辺野古で安倍晋三が独裁的な手法で進める米軍の新基地建設や、米軍と一体となった自衛隊の南西諸島での基地建設も、中国を刺激し、中国の軍拡を促進する一因になっている。 ロシアにとっても東アジアに展開する米軍は安全保障上の脅威だ。ロシア政府は7月に行われた中国との共同警戒監視活動について「第三国に対してとられた行動ではない」と説明しているが、ロシアの通信社スプートニク日本(19/7/24)は、中露の共同軍事行動は、
「日韓米軍事面での相互関係の強化に対する露中の回答となっている。ロシア、中国の一番大きな懸念を呼んでいるのが日韓の領域へのミサイル防衛システムが配備される計画。中でも日本に配備が計画の『イージス・アショア』は、米国のグローバルミサイル防衛システムの中でもロシアを標的とする要素と位置付けられている。それだけではない。ロシアの軍事専門家らは『イージス・アショア』を潜在的には中距離ミサイルの発射に使用できる攻撃システムととらえている」
と指摘している。
このように、日本では朝鮮や中国、ロシアの脅威に対する「抑止力」だと考えられている米軍の存在、あるいは米国を中心とした軍事的な同盟・連携が、逆に地域の緊張を高めている。軍事力に頼らぬ東アジアの本物の平和と安定を願うなら、日本社会はその事実に気づく必要がある。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|





|