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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年09月07日15時32分掲載
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アジア
韓国からの批判の声は、「反日」ナショナリズムではなくて、被害者への公正な対応を求める声だ Bark at Illusions
「徴用工」を巡る日本政府の対応を批判する韓国市民の声を、日本のマスメディアは概ね「反日」だと捉えているようだ。例えば日本に対する抗議行動が続く韓国・ソウルを取材し報告したNHKのニュースウォッチ9(19/8/7)のニュースタイトルは「“反日”の韓国で いま何が」だったし、韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)離脱を伝えるニュースの中でも、「韓国政府によるGSOMIA破棄は、韓国国内の反日世論や内政問題をにらんだものだった」(毎日19/8/25)とか、「反日のために軍事情報を犠牲にしたと批判されても仕方あるまい」(日経19/8/24社説)と述べるなど、「反日」という言葉が目立つ。しかし日本企業に「徴用工」への賠償を命じた昨年10月の韓国大法院(最高裁)の判決も、それに反発する日本政府に対するムン・ジェイン政権の毅然とした態度も、大日本帝国時代の強制労働の被害者への謝罪と賠償を日本側に求める韓国市民の抗議の声も、いずれも正当なものだ。
日本社会が気づくまで何度でも繰り返し言わなければならない重要なことだが、日韓請求権協定(1965年)で「徴用工」問題は解決していない。日本政府も認めている通り、日韓請求権協定で韓国側に供与された無償3億ドル分の日本の生産物と役務は賠償ではなくて経済協力であり(例えば、1965年11月19日の参議院本会議での外務大臣・椎名悦三郎の答弁)、国家間の条約である同協定で個人の請求権を消滅させることはできない(例えば、1991年8月27日の参議院予算委員会での外務省条約局長・柳井俊二や、2018年11月14日の衆議院外務委員会での外務大臣・河野太郎の答弁)。従って大日本帝国時代の強制労働の被害者は未だに救済されておらず、問題解決の責任は加害者である日本側にある。
その事を承知で日本政府が「日韓請求権で問題は解決積み」だとか、韓国大法院の判決が「国際法違反」だなどと嘘を言う理由については、例えば毎日新聞(19/7/19)が次のように説明している。
「日本政府は、元徴用工問題を第二次世界大戦の戦後処理を蒸し返す『パンドラの箱』だとみている。元徴用工に金銭を支払えば、同様の請求が旧支配地域から相次ぎかねない。さらに、影響は日朝関係にも及ぶ。2002年の日朝平壌宣言に基づき、国交正常化交渉が始まった場合、日本側は韓国との交渉を『モデル』にしようと考えている。日韓請求権協定が揺らげば、北朝鮮に対する事実上の賠償金額が膨らむ可能性がある」
戦争賠償の問題を「蒸し返す」ことになるとか、個人の請求権を認めたら「パンドラの箱」を開けることになるという日本政府に同調する人もいるかもしれない。 しかしそれはあまりに手前勝手な考え方だ。経済発展を優先させて被害者を置き去りにしてきたことが問題なのであって、本来なら戦後のもっと早い時期──少なくとも国交正常化まで──に、被害者に対する謝罪と賠償が為されていなければならなかった。
先住民族の権利回復を求める動きや性暴力の被害を告発する「#Me Too運動」など、歴史的に抑圧や暴力を受けてきた被害者に対する公正な対応を求める動きが国際的な市民社会の潮流になっている。「徴用工」を巡る韓国からの批判の声を「反日」と切り捨てて強制労働の被害者を放置するなら、日本の市民社会は国際社会から置いて行かれることになるだろう。
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