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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年09月15日21時58分掲載
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文化
世界を飛び回る写真家、セシル・メラ氏に聞く Interview : Cecile Mella ( photographer )
私は最近、セシル・メラという名前のフランスの写真家と知り合いました。どのような写真を撮る人なのか、彼女のウェブサイトなどを探ってみると、活動はかなり多岐にわたっています。ベルリン国際映画祭のオフィシャルカメラマンでもあり、そうした華やかな場に出入りするカメラマンである一方で、西アフリカの町に出かけたり、またある時は、スポーツのフィールドにいたり・・・。その合間にパリのカフェのテラスに座っていたり。セシル・メラさんを見ると、強い個性を放つ人だなとわかります。野生動物のようなたくましさと、詩人のような繊細さを兼ね備えている人かな、と思いました。今回、セシル・メラさんにインタビューに答えて頂きました。
Recently I became acquainted with french photographer named Cecile Mella. I tried to know what objects she is following as professional photographer, accessing her website. It is wide range. She works as official photographer for Berlin International Film Festival. She works in such a gorgeous place. But sometime she works in a town in west Africa. Sometimes she takes photos in the arenas for sports. And in a break, she sits in the terrace in Paris.When I look her,she has strong personality.Toughness of wild animals and delicacy of a poet. This time I interviewed her.
Q) How did you become photographer ? どのようにしてカメラマンになったのですか?
A) I became a photographer a little bit by chance. I've always known I wanted to work in the visual field. I studied cinema, litterature and philosophy, at first. I initially thought I wanted to be a documentary filmaker. My grandfather had an enlarger and advised me to learn the trade of analog photography, since it was the same process as for movies, only not 24 images per second. So I started practicing with an Nikon FM and black and white films. I just loved the process. I started travelling to Africa, alone with my camera.
私がカメラマンになったのはちょっとした偶然からでした。私はずっとビジュアルな世界で仕事をしたいと思ってはいました。私はまず映画や文学、哲学を学びました。最初に思ったのはドキュメンタリー映画の監督になることでした。祖父は写真の引き延ばし機を持っていました。そこで私にこうアドバイスをしてくれたんです。アナログ写真のビジネスを学んでみたらどうかな、と。というのも、映画の業界も同じプロセスだからで、1秒24コマでないことだけが違いなのだ、と。そういうわけで、私はニコンFMに白黒フィルムを装填して写真の撮影に乗り出したんです。私はこれがとても気に入りました。カメラだけを携えてアフリカに出かけていくようになったんです。
There I decided this was my calling. I just loved the sense of intimacy I was able to create with my photographic subjects, something that could not have been done working with video (remember, there was no digital workflow so it was a lot heavier process than it is now, plus, filming implied a team : someone to take the sound, someone to edit, someone to assist the filmaker, so the interaction filmaker-subject was a lot less smooth, a lot more frightening for the subject in a sense.) I love being able to be a “fly on the wall” with photography. Actually, if I come to think of it, I would say photography has always been an excuse, a passport to get to see and experience all kinds of situations, to meet all sorts of people.
その地で私はこれこそ自分の天職なんだって気づいたんです。私は写真の対象との間に創り出すことができる親密さの感覚が好きになったんです。これはビデオではできないことだと思います。誤解を招かないように、ここで思い出していただきたいのですが、かつての映像作品の制作ではデジタル化が進んでいなかったために、今と比べるとはるかに大がかりなプロセスだったことです。映画撮影にはチームを組む必要がありました。誰かが音声を録音し、誰かが編集し、誰かが監督をアシストする。そういったわけで、監督と撮影の対象との間はあまりスムーズな関係ではなく、撮影対象の人にとっては、ある意味ではるかに恐怖に満ちたものだったということです。 私はカメラを持った「壁にとまったハエ」であることが好きです。実際、そのことを考えると私にとって写真は常に口実であり、パスポートであると思うわけです。あらゆるタイプの状況を見て経験するための、そして、あらゆる種類の人々と出会うための。
Q ) What is your object as professional photographer? メラさんの写真の対象は何ですか?
A ) I mainly photograph real people in real life situations. I don't photograph landscape, animals, autos, I do as little studio or fashion as possible. I like it when people are in their natural surroundings, follow them in their homes, at the workspace etc... I am mainly interested in cultural subjects, with a focus on photographing the youth. I feel teenagerhood is something fascinating, I love spending time with teenagers around the world... I do a lot of events coverage, like for example photographing the Berlinale (Berlin film festival) for the organizers, for about 6 years.
私は主にリアルな人生の中のリアルな人々を写しています。風景とか、動物とか、自動車とかは撮影しません。スタジオ撮影とか、ファッション写真などもほとんどしません。私は人々が通常の状態にいる時に撮影するのが好きなんです。家まで追いかけたり、仕事場だったり。主に文化にかかわる事象に関心を持っています。そして、特に若者にフォーカスしています。10代の時代というものは魅了するものを持っています。私は世界の10代の人々と時間を過ごすのが好きなんです。また私はこれまでたくさんのイベントの写真を撮影しました。たとえば、ベルリン国際映画祭の主催者のために6年間写真を撮影しています。
I am also very interested in exploring everything that has to do with this modern society i've been growing up with. Photography, for me, is a way to question things. So for example, I've been working on a personal project for many years called Dreamland, with which I look at the way films, tv adds, video clips, tv series are made. I go on the shoots, and I try to bring back images which make us think about why and how the production companies make us want to buy their product, how they make us dream with their movies. This is a very cultural matter; like humor. For example, adds shot in Africa for the african continent have nothing to do with those for Europe.
私はまた私が育ってきた現代社会に通じる様々な事象を探検することも興味があります。写真は私には物事に対して問いかける行為なのです。たとえば、「Dreamland」と名付けた私的なプロジェクトに何年もかけて取り組んできました。この作業を通して、映画業界、TV広告、ビデオクリップ、TVシリーズなどがどのように制作されているかを観察してきました。私は撮影現場を訪ね、どのようにして、そしてなぜ制作会社が私たちに彼らの作品を買いたい様に仕向けるのか、いかに映画で夢を抱かせるのか、それを考えるための写真を持ち帰りたいと思ったのです。これはユーモアがそうであるように、とても文化的な事象ですね。たとえば、アフリカにおけるアフリカ大陸向けの広告の撮影は、欧州向けとは無縁なんです。
Q) what do you think about this world ? この世界について、どうお考えですか?
A) I think this world is becoming increasingly complicated to make sense of. We are surrounded by facts, news, ways to calculate about everything and that is not necessarily helping us to understand anything better. Also, the visual field is becoming more and more central in our way to apprehend reality. Everywhere there are images, still or moving. I feel there is a huge task to educate the future generations to learn how an image is created, and how it can be interpreted. An image can lie, most are. Kids need to learn that women in real life do not look like women in magazines, etc...
この世界は次第に物事を理解するには複雑になりつつあります。私たちの身の回りには事実や、ニュースや、様々なことを計算するすべがあふれています。けれども、それによって世界がより理解できるようになるとは必ずしも言えないのです。さらに、現実を把握するにおいて、ビジュアルの領域がますます中心になりつつあります。世界いたるところにイメージが、写真や動画があります。未来の世代に1つのイメージがどのように創られているか、どのように解釈されているか、ということを教育することは大きな仕事だと思います。イメージは嘘をつき得ますし、多くの場合そうなんです。子供たちは現実の女性たちは雑誌の中の女性たちとは違うのだ、などといったことを学ぶ必要があります。
Q) what is your favorite book or film ? お好きな本か、映画は?
A) I have so many favorite books and films. I read a lot, mainly fictions but I also love so much reading correspondences. I just finished to read the letters exchanged by Georges Sand and Gustave Flaubert. Coming to my mind, because I read them or read them again recently: The Unbearable Lightness of Being, Kundera, The Corrections, Franzen, On the Road, Kerouack, The Spinoza Problem, Yalom, and I can't help but add The Gay Science, Nietzsche. On the movie side, I love all of Kubrick's movies, David Lynch's too. I've been very much influenced by Wim Wenders, Jim Jarmusch. The Wings of Desire, Paris Texas, Stranger than Paradise are movies that feel so intimate to me. But I'm french, and I also need to talk about the Nouvelle Vague : Godard, Truffaut, Varda... This kind of cinema feels like home to me. I grew up with it and still watch Vagabond, Breathless, Contempt, Jules and Jim too often when the weather is grey.
私には好きな本や映画はたくさんあります。随分読みます。主にフィクションですが、書簡を読むのも非常に好きなんです。今ちょうど読み終わったのがジョルジュ・サンドとギュスターブ・フローヴェールの文通です。今、思いつくものは次のようなものですが、というのは最近、読み直したり、見直したりしたからです。クンデラ著「存在の耐え難い軽さ」、フランゼン著「コレクションズ」、ケルーアック著「路上」、ヤロム著「スピノザ問題」、さらに、ニーチェの「悦ばしい知」を加えないわけにはいきません。映画でいえば、キューブリックの映画はすべて好きです。デビッド・リンチもです。また、私はヴィム・ヴェンダースとジム・ジャームッシュにとても影響を受けています。「欲望の翼」(邦題は「ベルリン・天使の詩」)、「パリテキサス」「ストレンジャーザンパラダイス」といった映画は私にはとても親密な映画です。けれども私はフランス人ですから、ヌーヴェル・ヴァーグを加えないわけにはいかないでしょう。ゴダール、トリュフォー、ヴァルダらです。これらの映画は私には家庭のようなものです。これらを見ながら私は育ったんです。今でも「冬の旅」、「勝手にしやがれ」、「軽蔑」、「大人は判ってくれない」は、天気が陰鬱な時とかに、しばしば見返すんです。
Cecile Mella ( photographer ) website
http://www.cecilemella.com/?fbclid=IwAR1CvsADZYIRtGDwTOXzE7_LeoC1d54x4-zHDHkiyfVyDbl_T4y5stX0Vgw
Born in Montpellier, France, in 1983. MA Photographic Journalism, University of Westminster.
Photos and text in the press: The New York Times, Business Week, Polka, Monocle, Harper's Bazaar (UK, Arabia), Afisha Mir, Forbes (Spain, Middle East), Liberation, Marie-Claire (South-Africa), Neon, The Sunday Times (UK, South-Africa), The Big Issue (South-Africa), Horizons, Via, SHOTS, Vent Sud, Okapi, Coop, La Gazette, Midi Libre...
Ryota Murakami
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転載について
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セシル・メラさん。ベルリン国際映画祭で、アニエス・ヴァルダ監督を撮影中。© Alex Janetzko
「Dreamland」と名付けたプロジェクトから。初めて映画のエキストラになった18歳の学生。夢と現実の交錯が瞳に見える。”Julie (18) is glad she heard the call for extras on the local radio, it is her first time on a shoot. She writes her A-level exam this year and will be taking a practical course in Cosmetics next year.”(©Cecile Mella)
「Documentary」と名付けたシリーズから。ドキッとする一瞬が切り取られている。©Cecile Mella
西アフリカのブルキナファソで撮影されたこの写真ではゴミが散らばっている都会のありふれた一角に二人の若い女性が立っている。二人がこれからどこで何をしようとしているかわからないが、見た人は二人の状況に想像力が働き始めるだろう。©Cecile Mella
「Portrait」と題するシリーズから。これもブルキナファソの写真とどこか似ている。写っている少女の眼差しの強さに目が引き付けられる。この写真は言葉にならない何かを写し出している。©Cecile Mella
「Faîtes」と名付けられたシリーズから。なぜ前の女性が携帯電話を2つ持っているのか。後ろの男女はどういう関係なのか。詳しいことは不明だが、インタビューで語ったIntimacy(親密さ)という言葉が浮かんでくる1枚だ。©Cecile Mella
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