以前、ロシアのバンド、Otava Yo のミュージックビデオが秀逸だと日刊ベリタに紹介記事を書いたところ、それを読まれてなんとロシアからOtava Yo を招聘して本当に日本でコンサートを開いた音楽プロデューサーの方がいたのです。その方、小巖仰さんは兵庫県に拠点を置くハーモニーフィールズという企業で音楽家の招聘活動をされています。彼が招聘する外国の音楽家は一味ある演奏家ばかり。北欧とか、伝統音楽とか地域に根を張って、貴重な物語が見えるバンドが多いのです。今回、ハーモニーフィールズが招くのはエストニアの伝統楽器奏者のデュオ。
RUUTという女性二人組で、カンネル(Kannel)という東欧、エストニアの伝統楽器を普通とはちょっと違った使い方をしているそうです。通常は一人でこの楽器を演奏するようですが、RUUTは対面して二人で演奏するのです。演奏家はAnn-Lisett RebaneとKatariina Kivi。二人がどんな人か、という情報まで未だ持っていないのですが、関心のあるかたはYoutubeで彼女たちがUPしている映像をまずは見てください。透明感のある清楚なサウンドですね。
https://www.youtube.com/watch?v=7-Kpt0fFgME&fbclid=IwAR08JuAhrU2CdMw518-i4CUqnLNNA5TgKG-1qV1YqELlJ419SWlEgoifWGY インターネットでこの楽器のことを調べてみると、カンネルは一時下火になったことがあったようなのですが、最近、また注目されるようになったとか。エストニアの特徴的な楽器だということですが、大きさとか音色などもかなりバリエーションがあるようです。また、エストニア周辺国でも使われているようです。そもそも現在の国境が画定する前から伝統音楽はあるわけですから。RUUTは水平に楽器をして演奏していますが、マンドリンのように抱えて演奏する人もいます。弦の張り方も様々のようです。この女性デュオが歌を歌うにあたって、ギターやピアノではなく、カンネルを選んだのはそこに地元の伝統楽器でしか作れない要素があるからでしょう。
Otava Yoのインタビュー記事を書いたときに思ったのですが、伝統音楽を現代に蘇生させる、というのは思ったよりも難しい作業なのです。Otava Yoの場合はロシアの昔の歌を現代に編曲して、バンドの楽器で当ててみた時に、自分たちが満足できるまで相当、様々な試行錯誤を繰り返し、妥協しないのだと言っていました。伝統をどう最終的に現代に書き出すか、という最後のところで妥協のない作業となるのです。エストニアのDUO、RUUTの場合はどのような試行錯誤があったのでしょうか?自然であればあるほど余分なものを削る努力があったのかな、と想像します。二人の音楽は今の日本の慌ただしく、とげとげした文化とは異なるもう1つの世界を思わせてくれます。人生が変わってしまう方もいるかもしれないですね、これを聞いていると。
RUUTとは異なるカンネル演奏の映像を参考までに。同じ伝統楽器を使っていても、RUUTの二人組がどう違っているかも見えるはずです。
※エストニアのカンネル演奏家の映像
https://www.youtube.com/watch?v=rfpmsMFw2wY&fbclid=IwAR1dzUgKAKUOoY9vCVPxIPiG5YVOBt7Z7wypYAU8xuGFYn9Hs83b6wnFNYg ※こちらもカンネルの演奏 (演奏家は別)
https://www.youtube.com/watch?v=80V78SnnC2I これはちょっとチェンバロに似ていますね。
村上良太
※ライブの情報
https://www.harmony-fields.com/a-duoruut/ 9月26日(木)18:30開場 19:00開演予定 TOT STUDIO(THINK OF THINGS 2F) 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-62-1
https://www.harmony-fields.com/a-duoruut/
■ロシアの注目のバンド "Otava Yo " ( オタヴァ・ヨ )が初めての来日コンサート
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201806290056565
■ロシアの伝統音楽を蘇生させ独特のビデオを作っている注目のバンド "Otava Yo " ( Отава Ё ) ニューヨークの映画祭で最高賞を受賞
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201706291205424
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