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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2019年09月28日21時48分掲載
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検証・メディア
再開する米朝協議で米国政府は「朝鮮の安全の保証」についての具体的な措置を示すべきだ Bark at Illusions
9月下旬頃に米国との協議に応じる用意があると表明した朝鮮のチェ・ソンヒ第1外務次官の談話や、朝鮮側の対米実務協議首席代表の指名、対朝鮮最強硬派だったジョン・ボルトン大統領補佐官の解任など、米朝双方の動きから、米朝の交渉再開が近いのではないかとの見方が強い。果たして停滞していた協議が再開し、両政府は朝鮮半島の平和と非核化に向けた道筋をつけることができるのか。マスメディアの報道を見ていると焦点を見誤ってしまいそうだが、米朝交渉を進めるためには、米国政府が「朝鮮の安全の保証」を如何に提供するかを検討する必要がある。
朝鮮半島の平和と非核化を巡る米朝の交渉について、マスメディアは一方的で偏った伝え方をする傾向がある。マスメディアが注目するのは「北朝鮮の核」ばかりで、米国の核や朝鮮半島の平和についてはほとんど問題にされることがない。昨年6月にシンガポールで行われた米朝首脳会談では、米国のドナルド・トランプ大統領が「朝鮮の安全の保証」を約束し、朝鮮のキム・ジョンウン委員長が「朝鮮半島の完全な非核化」に向けた責務を再確認、そして両首脳は「新しい米朝関係の構築」と「朝鮮半島の永続的かつ安定的な平和体制の構築」、「朝鮮半島の完全な非核化」、「戦争捕虜や行方不明兵の遺骨回収と返還」に向けて行動することで合意したのだから、米国の核や朝鮮半島の平和について議論せずに、「北朝鮮の核」だけを問題にするのは間違っている。
またマスメディアはシンガポール合意に反する朝鮮側の行為については問題にするけれども、米国側の同様の行為についてはほとんど気にかけていない。朝鮮のミサイル実験については「挑発」だとか国連制裁決議違反だと問題視する一方で、米韓合同軍事演習や米国の最新鋭ステルス戦闘機F35Aの韓国への納入についてはほとんど問題視していない。米韓合同演習については朝鮮が「反発」していることを伝えてはいるけれども、朝鮮侵略を意図したその演習が「新しい米朝関係の構築」や「平和体制の構築」に反する行為であると指摘するマスメディアはほとんど皆無だ。
米朝間の交渉で「北朝鮮の核」以外の問題は重要ではないと考えているマスメディアだから、米国側が少しでも朝鮮に対して柔軟な姿勢を見せようとすると、彼らは「北朝鮮の核」が置き去りになるのではないかと心配する。 南北朝鮮の軍事境界線上のパンムンジョムで今年6月に行われた3回目の米朝首脳会談直後に、米国のスティーブン・ビーガン北朝鮮問題特別代表が記者との非公式の会話で、米国政府が朝鮮の大量破壊兵器開発計画の完全な凍結の見返りとして朝鮮への人道支援や米朝間の人的交流などを行うという「凍結案」を検討していると語ったことが伝えられた際には、米国が朝鮮を核保有国と認めることにつながるのではないかと危惧する声が聞かれた。またトランプ政権の最強硬派だったジョン・ボルトンが更迭された際には、マスメディアはトランプの「安易な妥協」を懸念している。例えば朝日新聞(19/9/12)・園田耕司は
「ボルトン氏は、トランプ氏の即興的・感情的な判断を踏みとどまらせる役割を担っていた。ボルトン氏が去り、外交安保政策でトランプ氏の影響力が強まることで政策の一貫性が損なわれ、米外交がさらに不安定化する恐れがある。とくに懸念されているのが、北朝鮮との交渉で安易な妥協を重ねることだ。ボルトン氏は北朝鮮への制裁維持を訴え圧力路線を主導してきたが、トランプ氏は北朝鮮に有利な条件のもとで非核化交渉を加速させる恐れがある」
と述べ、NHKワシントン支局の栗原岳史は、
「ボルトン氏は北朝鮮やイラン問題などでトランプ大統領が成果を急いで圧力より対話に傾く度に異を唱えてきました。このいわば強硬なご意見番が去ることで、トランプ大統領が来年秋の大統領選挙に向けて目に見える成果を追求する姿勢を一段と強める可能性があります」(ニュース7、19/9/11)
と述べて、ボルトンの解任による米朝交渉への影響を危惧している。
しかし常識的に考えれば当然のことだが、米国に対する抑止力として核兵器を開発した朝鮮は、米国から侵略される心配はないという確証がない限り核兵器を放棄することはできない。朝鮮半島の非核化を実現するためには、「新しい米朝関係」や「朝鮮半島の平和」を構築し、「朝鮮の安全の保証」を確かなものにする必要がある。 米国側からすれば「譲歩」に違いないが、スティーブン・ビーガンの凍結案、あるいはさらに進んで朝鮮戦争の終戦宣言や制裁緩和などは、そのような状況を作り出すための措置として米国政府が検討すべきものだ。 東アジアの平和と安定を求めるなら、マスメディアは一方的で偏った報道を止めて、「朝鮮の安全の保証」をどのように担保するかについての議論に焦点を当てるべきだ。
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