新型肺炎コロナで米国は社会崩壊寸前といった報道が国内のメディアで氾濫しています。しかし、かの国の労働者は頑張っています。社会と自分たちのための安全な職場を要求しての山猫スト、安全といわれる幅をとってスタンディング、等々。以下、経済学者で社会活動家の小倉利丸さんがブログで報告するかの国の労働者の闘いです。(大野和興)
クリック! クリック! パンデミック時にストライキする方法 投稿日: 2020年4月3日カテゴリー: Work・コロナウィルス 米国の労働者たちが隔離と社会的距離の強制のなかで工夫しながら争議を展開しているようです。たとえば、ごく一部ですがー。
http://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/
・GEの労働者、人工呼吸器の製造を求めて争議を展開している(いた?)
General Electric Workers Launch Protest, Demand to Make Ventilators
・スーパーマーケットのWhole Foodsの労働者たちが、アマゾンの子会社が安全策を怠ったことに抗議してストライキ
Whole Foods Employees Are Staging a Nationwide ‘Sick-Out’
・Instacartという会社があります。携帯アプリでスーパーの買い物を代行しれもらうサービスで、労働者は非正規のギグワーカーと呼ばれる人たち。(ググワーカーとしてはウーバーエーツの配達の仕事がイメージしやすいかも)彼らが、コロナ安全対策をとらない会社に対してストライキ
Instacart’s Gig Workers Are Planning a Massive, Nationwide Strike
・他方で、アマゾン・ニューヨークは労働者の安全を求めてスライキを行なった労働者を解雇するといった労働運動への弾圧も表面化しています。
Amazon fires New York worker who led strike over coronavirus concerns
・労働者の生産管理への兆候もみられそうだし、相互扶助、ギグエコノミーのなかでの分断を超える労働運動の構築など様々な工夫が登場しつつあるように思います。
なお日本語ではレイバーネットのサイトでレイバーノーツからの飜訳が読めます。
新型コロナウィルスからの防護を求めて職場放棄
◆以下は、 by Aaron Gordon, Lauren Kaori Gurley, Edward Ongweso Jr, and Jordan Pearson “Coronavirus Is a Labor Crisis, and a General Strike Might Be Next”
のレポートの最後の部分だけ訳しました。
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パンデミック時にストライキする方法 Covid-19は、大衆行動の既存の壁を一層高めることになった。労働者が安全に一斉に通りに繰り出すのは難しいが、この大衆的な力はまた、労働者が自身の手に問題解決の力を取り戻し、労働条件を根本から改善するように促す力にもなっている。
カリフォルニア大学ヘイスティングス校の法学部准教授ヴィーナ・デュバルは、「最も効果的なストライキは、これまでもモノと人の流れに不可欠な人々によるものだった」「現在最も重要で、商品を切実に必要とする人への輸送を担当している人々は、結局のところギグエコノミーワーカー(訳注1)、つまり配達ドライバーと買い物代行の労働者、さらに食品を生産する人々です。」と述べている。
デュバルはアプリベースの労働者(訳注2)によるストライキを、1934年に港湾ドックで労働者が起こしたロングショアマンストライキと比較しているが、このドックでのストライキは、サプライチェーンに影響を及ぼし、市内への商品流入が完全に停止した。こうして彼らは最終的に主要な譲歩を勝ち取った。
「私は、これが非常に効果的だったことを考えると、組合に組織された食料品店の労働者が扱わない商品の取り扱いを拒否する[アプリベースの]食料品買い物代行の労働者がいる状況では、34年の闘争のような状況が再び起こると想像できます。」「より良い条件を求めて労働者がストを打っている非組合化されたアマゾン倉庫で梱包された商品の配送を、ドライバーが拒否している。この種のサプライチェーンの減速または閉鎖は、これらの産業の組合化とより良い労働条件につながる可能性があります」と彼女は付け加えた。
パンデミックの最中に不可欠でありかつ搾取もされる労働者は、すでにまさにこうした行動をとり始めているが、それでも新旧の問題に取り組む必要がでてくるだろう。ストライキ資金は不足しているが、デュバルは、回避可能な策として、相互扶助ネットワークの存在を指摘した。
社会的距離をとる必要があるパンデミック時のストライキ行動は、通常時とはやや異なる見え方が必要だ。月曜日に、ゼネラル・エレクトリックの労働者は、6フィート離れてスタンディングしたり行進する一方で、会社に未使用の製造能力を人工呼吸器の生産に変換するよう要求する行動を見せた。
この行動のオーガナイザーたちは、ソーシャルメディアグループやTelegramやSignalのような暗号化されたメッセージングアプリが、職場や都市全体の労働者を結びつける上で重要な役割を果たしており、多くの労働者が自宅に閉じ込められたり雇用主からの監視が強化されているているときに、大衆的な行動を組織化する上で重要な役割を果たしていると語った。
社会的距離を必要としない行動の場合、選択肢は無数にある。主要な生産施設、ピーク需要時、または全国での職場放棄、作業停止、ストライキが検討できる。
パンデミックの最中であっても、UberやLyftの配車サービスドライバーがアパート団地、近隣、公共の場所に駐車してキャラバンを組織し、なぜストライキが起きているのか、その詳細や支援の方法を説明するプラカードや資料を準備するといったことは想像に難くない。同じことが、Instacart(訳注3)のドライバーにも当てはまる。かれらもキャラバンを結成し、通行人に知らせ、この期間中も営業している食料品店やレストランの外で理解の向上を求めることができるだろう。
ゼネストに向けた動きは、一部の労働者を満足させるだけの刺激策や連邦の失業保険とも取り組む必要がある。
「彼らの怒りと動揺は、組織化や組織された運動への加入を促すほどの絶望を感じるまでにはならずに落ち着くかもしれない」とDubalは言う。「しかし、人々が州政府または連邦政府から何かを手に入れるまでには非常に長い時間がかかり、それまでに、多くの動揺、怒り、絶望があるでしょう。持続的な運動を生み出すのに十分な時間があるかもしれない。」とデュバルは述べている。
何年もの間、ゼネストの考えは非現実的だとして一部では嘲笑されてきた。ほんの数週間の間に、このあざけりは期待へと変った。ストライキは、この国の歴史のなかでも、また地球上の他のあらゆるところで起きてきたことだ。ストライキが再び生まれる可能性がある。
訳注1:インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態 https://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo240.html 「ギグ・エコノミー、「新たな貧困の種」を生み出しつつあるその実態:調査結果」
https://wired.jp/2017/04/04/gig-economy-jobs-benefits-dangers/ )
訳注2:スマホのアプリを介して仕事を受注して働く労働者。ウーバーの配達の労働者など。 訳注3:食料品の即日配達サービスを運営する米国の企業。消費者はウェブアプリケーションを通じて様々な小売業者が販売する食料品を選び、個人のショッパーによって配達される。(wikipedia) DoorDashはレストランの料理配達サービス。ソフトバンクが560億円を投資して日本でも話題になった。https://forbesjapan.com/articles/detail/20331
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