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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2020年04月06日11時11分掲載
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医療/健康
文明は人類の健康を増進したか? 新型コロナの欧米での猛威再考 落合栄一郎
現在の先進国、就中アメリカの市民の健康状態を見ると、現在の文明は人々の健康を損ねているようにみえる。多くの人も、食事の内容、身体の動かし方などなどを通して現代文明が人々の健康にマイナスに作用していると感じているのではないだろうか。
このように物資的、人工的で、身体の動かしかたの少なくなった現在の文明以前ではどうであったろうか。ヨーロッパ、アメリカの科学者達が、過去1万年ほどの人類の健康状態の変化を科学的に検証するプロジェクトを立ち上げている。アメリカオハイオ州立大のバイオ考古学者達が中心になった70人ほどの研究チームが、3000年前から200年前までの人類の健康状態の変化を見るために、ヨーロッパ、地中海世界の11000体の資料(骨など)を集めて検討した結果が最近発表された。 骨に見られる全体の体格、ジョイントの病気跡その他、骨の同位体から推定される食事内容、貧血症など、また歯の傷み方などなどから、健康状態を探るというわけである。それと資料のあった場所、その部落のサイズ、緯度、社会構造、農業をやっていたか狩猟採集経済であったか、などなどを考慮に入れて検討した。
その結果わかったことの一つは、ギリシャ、ローマ文明が発達しはじめ、農業が広く行われるようになった3000年程前(紀元前10世紀)のヨーロッパでは、人々の健康が急激に悪化したことである。人々の体格が縮小し、ライ病、結核などの病気による骨格の破損が増え、都市での人口密度の増大や、家畜との接近、生活廃棄物の堆積などによる健康悪化だと思われる。食べ物の主体が穀類になったための、虫歯その他の歯の退化なども見られた。
中世のいわゆる暗黒期では、健康退化はさらに顕著になった。平均身長は、紀元前400年では173センチメートルであったのが、17世紀には166センチメートルに減少。しかし、19世紀半ばからは、健康状態は向上しはじめ、体格も改善されはじめた。しかし、1950年ほどからアメリカ人の健康が少しずつ悪化しはじめているようである。(以上雑誌「Science 」2009年、5月1日号の記事より)
この結果は、それほど常識的な直感と違わないであろう(となると、このように莫大な金をかけて研究する意義は?)。それは、人間という自然の中の生き物が、文明という非自然的環境と生き方をするため、自然に適応した生き方から逸脱していて、生物的自然状態という健康状態にありにくいのであろう。 近年の医学の進歩は、そうした人々の体調をむりやり健康状態に保持しようとし、ある程度の成功をおさめている。しかし、反面そうした人為的健康保持が、人間の本来(自然に)持つ免疫力の低下など、健康維持力を弱めてもいる。また、人間の健康を害する自然物(細菌、ヴィールスなど)の変異を速め、人間の健康保持に脅威を与えている。これにたいする人間の対応(医薬、ワクチン、医療開発など)は永遠に続けられねばならない。この良い例が現在の豚インフルエンザであり、それが更に変異して有毒株になる可能性が懸念されている。
*2009.05.28に掲載した記事に一部見出しを加えた再録です
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