既に様々な問題点が指摘され、芸能人や著名人を含む多くの人が反対の声をあげている検察庁法改正案。「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグが付けられたツイートは900万(類似のものも含めると1000万とも)を超え、まさに「ツイッターデモ」の様相を呈している。 検察官の独立性を脅かし、さらには民主主義の根幹を崩しかねないこの法案の廃止を求め、5月14日、オンラインで「検察庁法改正案に抗議する!リレートーク集会」が緊急開催された。主催は「改憲問題対策法律家6団体連絡会」と「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」とで構成する実行委員会。集会はZoomを通じてネット配信され、開始直後には視聴定員となる500人を突破した。
集会では弁護士や有識者らが法案の問題点を指摘。大江京子弁護士は、「1月31日に閣議決定された黒川弘務東京高検検事長の定年延長を認めるためだけの法案で、法治主義・民主主義・立憲主義を破壊するもの。国民はその本質に気づいているからこそ反対の声をあげている」と解説。海渡雄一弁護士も、「すべての発端は黒川氏の定年延長。この法案が成立すれば、政治権力に対する牽制を与えてきた日本の検察の独立性は事実上の死を迎えることになる」と訴えた。
同志社大学の浜矩子教授は、「安倍政権は金融と財政など、決して一体化してはいけないことを一体化してきた。今回の法案で目論まれているのは官邸と検察の一体化であり、ここにもファシズム的体質が現れている」と述べて政権への対峙の必要性を強調。 京都精華大学の白井聡専任講師は、「安倍政権の特徴は『私物化』と、それを隠すための『やってる感』。しかし、忖度してくれない新型コロナウイルスにより、そのメッキが剥がれてきた。今は運良くコロナの感染爆発が起きていないが、第2・第3の感染の波が来る前に、まともに機能する政権に取り替えなくては」と呼びかけた。
また、元文部科学省事務次官の前川喜平さんは、今回の法案を「官僚支配・霞ヶ関の私物化の集大成」と指摘。これまでも文科省事務次官人事などで定年延長制度が恣意的に運用されてきた実態を明らかにして、「権力分立制度が壊される事態が進行する中、定年延長の恣意的乱用が検察にまで及ぶと完全にとどめを刺される」と訴えた。
法案反対の取組として、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の藤本泰成共同代表は、この間取り組んできた黒川検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回を求める賛同署名に624団体と33万人の署名が集まっていると報告。
http://kaikenno.com/?p=1391 島田広弁護士は、改正法案に反対する弁護士有志による共同アピールが発表当初の500人から2600人にまで拡大していることを報告した。
https://ruleoflawcrisis.myportfolio.com/15e9dbe36796d3
なお、法案をめぐっては、反対を訴える日弁連会長声明が2度にわたって出されている。
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200406.html
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200511.html
集会のまとめとして発言した海渡弁護士は、「今回の問題は三権分立という憲法原則の根幹に関わる。検察の独立性が失われると、政治腐敗への矛先は鈍り、巨悪を眠らせることにもなる。自民党や検察の内部からも異論が出されており、立憲野党は心ある与党議員を説得し、政府案の成立を絶対に阻止してもらいたいし、市民もハッシュタグを何度も付けて発信するなど、やれることは何でもやろう」と訴えた。
現時点で法案は、森雅子法相が出席する衆院内閣委員会で15日に採決され、来週には衆院通過が見込まれる。安倍首相は14日の記者会見で改正案について「今回の改正により三権分立が侵害されることはないし、恣意的な人事が行われることはまったくない」と語っているが、これまで安倍政権による権利の私物化を目の当たりにしてきた市民からの抗議の声はやみそうもない。 「全国市民アクション」では、法案の徹底審議と廃案を求める緊急FAX要請行動にも取り組んでいる。
http://kaikenno.com/?p=1434
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