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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2020年06月11日15時21分掲載
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医療/健康
【たんぽぽ舎発】日本の保健医療体制の構造的欠陥(その1) 平宮康広
早期発見と早期入院、早期治療が疫病対策の基本である。新型コロナウィルス感染の早期発見は、PCR検査や抗体検査、感染者から得た情報を元に経路を特定する等の作業になるが、それら作業を担うのは保健所である。
今の日本には、2種類の保健所がある。ひとつは、市町村保健 センターで、設置主体は都道府県である。東京都を除く道府県は、ひとつの広域行政圏にひとつかふたつの割合で市町村保健センターを設置している。新型コロナウィルス感染が勃発する前の市町村保健センターは、「厚生センター」や「保健センター」と称していた。今は「保健所」と称する施設が増えている。
もうひとつが保健所で、設置主体は都道府県か東京都区部、保健所政令市である。東京都を除く道府県は、概ね県庁所在地が保健所政令市になり、保健所を設置している。県庁所在地でなくとも、人口30万人以上の市や地域が保健所政令市になり、保健所を設置する場合がある。 市町村保健センターと保健所は役割が異なるが、現在、保健所が存在する地域に市町村保健センターは存在しない。保健所が市町村保健センターの役割も担っている。
東京都の場合、23区と八王子市、町田市に設置主体が区市の保健所がある。多摩府中保健所や西多摩保健所、南多摩保健所、多摩立川保健所、多摩小平保健所は、おそらく人口30万以上を基準にして都が設置した保健所である。 東京都の30の保健所地域に、市町村保健センターは存在しない。
1994年の日本の保健所数は852であった。しかし、2020年の日本の保健所数は、保健所と市町村保健センターを合わせて469である。 政府と東京都が、オリンピックを開催するために、PCR検査を抑制した、ということもあるだろうが、日本のPCR検査件数の少なさの構造的要因は保健所数の少なさである。厚労省が、保健所削減を推進した。
ところで、石川県立看護大学が2013年3月に発行した「石川看護雑誌第10巻」によれば、2010年の韓国の保健所数は253で、日本の市町村保健センターに相当する保健支所数は1294である。
韓国も、日本同様、人口30万以上の地域を基準にしてひとつの保健所を設置しているが、他方、ひとつ自治体にひとつ以上の割合で保健支所を設置している。そのため、新型コロナウィルス感染が蔓延した場面で、PCR検査や街の消毒作業等を迅速に行うことができた。
困ったことに、日本の評論家や「識者」と称する人たちは、韓国軍の軍医や軍研修医がPCR検査や街の消毒作業に従事したこと、あるいはドライブスルーやウォークスルー等ばかり論じ、韓国には保健支所=市町村保健センターが1294もある、と言わない。彼らの浅はかな言説が、日本の世論が保健医療体制の構造的欠陥に言及する場面を少なくしているようにさえ思える。
保健所を設置した地域に、さらに市町村保健センターを設置することは可能である。たとえば、東京都が、保健所が存在する30の地域に、市町村保健センターを併設することは可能である。 それにより、PCR検査や抗体検査をより多くできるようになるが、小池都知事は、市町村保健センターの併設を考えていない。そして、都議会が市町村保健センターの併設を要求する場面もない。 感染第二波を憂慮するのであれば、市町村保健センターを併設すべきであると考えるが、不勉強な小池都知事と都議会議員たちにその気まったくないようである。
他道府県も、保健所を設置した県庁所在地等に、市町村保健センターを併設すべきである。医師会が中心になって設立した全国110か所のPCR検査センターを、都道府県が主導して市町村保健センターに移行することもできる。 しかし、他道府県の知事や県議たちにも、小池都知事や都議会議員同様、その気がまったくない。(続く)
(信州大学工学部元講師)
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