現在、欧米諸国、日本では、COVID-19感染者が激増していて、ほとんどの報道機関は、4,6時中,今日は感染者が過去最高の“何”名になったと言い続けている。このシリーズの最初に感染を検査するPCR検査法について次のような疑問を呈した(注1)。“この問題点の基本は、PCR検査の正確さ。すなわち、基本的には、PCR検査での陽性は、本当に検査対象者がこのコロナウイルスに感染した(症状が出るほどに充分な数のウイルス(いや、それに含まれるRNA(それから変換されたDNA))が検体にあったことを充分正確に検証できているのか。検査の正確さを期すためには、サンプルの取り方、その処理の仕方、プライマー(どのようなプライマーが用いられているか─ウイルスのRNA(を変換したDNA)のどこの、どのぐらいの長さのプライマーか)の選択、DNA複製を何回繰り返すか、その他、さまざまな問題点があるが、世界中の各所で充分な検討がなされた上で、PCR検査が行なわれているのか。PCR検査対照の選択の妥当性など。その結果の感染者数(陽性者数)は真の感染者数を表現しているか。“
PCR検査の問題点は、様々な医師,専門家などから指摘されてきた(注1)が、感染状況を監視,PCR検査を統御している公的機関では、そうした問題点についての反省の動きはなく、報道機関はそうした公的機関からの発表をただそのまま人々に伝えているのみである。
PCR検査でウイルスに感染したかどうかを決定するためには、まずウイルスそのものの遺伝子(RNA、DNA)が十分に詳細に検証されていること、そのどの部分をPCRで複製し、充分な量にまで増やして、検出するという過程全体が充分に検討されていなければならない。その際に、検出にかかる部分が、確かに、意図したウイルスのDNAの部分であることを確認しておかなければならない。今回のような多数の資料を迅速に検査する際には、このような検証をいちいちやっているわけではなく、陽性(検出された)ならば、それは意図しているウイルスがサンプルにあったと判定して、感染したとする。
先の議論(注1)では、PCRでの複製回数の問題—複製回数が多すぎて、ウイルスの破片ぐらいまでを検出するのが問題であるという点を指摘した。偽陽性の可能性の一つの原因である。
今回は、プライマーの問題を考えてみる。これは、目的のDNA(とはヌクレオチドA,G,C,Tの連なったもの)のある部分を複製するために、その一部分(特定遺伝子)の最初と最後のヌクレオチド連鎖(数十ぐらいから数千)を合成したもので、プライマーが、目的のDNA部分に結合し、そこから(特定遺伝子)DNAの鎖が合成される。これを繰り返して、検出できる程度の数を作り出すのがPCR法である。ですから、用いたプライマーによって、本当に目的のDNA部分が出来るのか、厳密に検証しておく必要がある。理論的にはそうなるはずだが、現実のサンプルには、ウイルスのDNA(新型コロナの場合はRNAをDNAに変換したもの)以外に、そのものの破片、体内の微生物のDNA、サンプルを供した人の体内DNAやそれらの破片などが混ざっており、それらが、プライマーに従って合成され、ウイルス(のDNA)が検出されたとされる可能性がある。こういうことが本当に起こりうるかどうかを検証しようとする試みが行なわれた(注2)。
DNAとは、先ほどあげた4種類のヌクレオチドが長く連なってできているが、過去数十年に、かなりの数の細菌やウイルス、 そして人間を始めとする多くの生き物のDNAが解析され、その配列(ヌクレオチド鎖)が決められ、ワシントンの国立衛生研究所(NIH)に集積(データベース)されていて、誰でも見られるようになっている。そこで、特定プライマーを使った場合、目的のウイルス以外に、検出され得る(すなわち、ウイルスのその部分と同じヌクレオチド配列を持つもの)可能性がどのぐらいあるか、この研究者達はデータベースを当って調べてみた(注4)。
そこで、このSARS-CoV-2のDNA中の遺伝子でプライマーとしてよく使われている数種のプライマーで試してみた。まずフランスで使われているRdRP遺伝子用のATGAGCTTAGTCCTGTG-なる17(ヌクレオチド)の鎖をプライマーとしたとして、どのような生物の遺伝子に同じ配列のものがあるか見てみた。驚くべきことに、100以上の細菌の遺伝子に同一の配列のものがあり、人間の遺伝子のなかには、同じ配列のものが74見つかった。すなわち、このプライマーを使うと、こうしたウイルス以外だが同じ鎖を持つものが、複製されて、検出される。そして、SARS-CoV-2がそのサンプルにあったと看做され、COVID-19陽性とされる可能性がある。
他の国で用いられているプライマー(107鎖、227鎖など)でも同じことを試みたところ、やはり細菌100種ぐらいのDNAに同一配列のものがあり、人間の遺伝子にも、数は少ない(プライマーの鎖の長さが先のものより長いので)がやはりかなりの数の同一配列をもつものがみつかった。
最後に、日本で使われているというS−遺伝子(例のスパイクの遺伝子)というものに焦点を合わせたプライマーは3821ヌクレオチドという長いもので、これも試してみたところやはり100ぐらいの細菌のDNA、そして人間の遺伝子のなかにも93カ所の同一配列のものが見つかったそうである。
もちろん、本当にSARS-CoV-2ウイルスがサンプルにあれば、当然ながら、 PCR検査で陽性(真陽性)となる。しかし、サンプル中にSARS-CoV-2ウイルスがなくとも、上に見たように、その破片も含めて、同一配列をもったDNAがあれば(ある可能性は大)、それとして複製され、ウイルスが検出された・陽性であると判定される可能性が大である。すなわち偽陽性。
このことを理解していたPCRの発明者で、ノーベル賞を受賞したキャリー・マリス博士は、PCRはこのようなウイルス検査の目的には用いるべきではないと主張していたし、多くの医師達も理解しているものと思われる。ただ、現場で大量の検査を行なっている人々は、こういうことを考えている余裕はないであろう。ただ単に、上から指示されているやり方で、サンプルを機器に挿入して、指示通りに操作し、結果として陽性と出たら、感染したと報告するだけであろう。
ですから、現在行なわれているPCR検査で陽性とされているケースに、新コロナウイルスからのDNAではない別な何かが反応して陽性とされることがかなりあるのではないかと思われる。実は、2007年にニューヨークタイムズは、「迅速なテストを信頼するとありもしない感染流行を引き起こす」(Faith in Quick Test Leads to Epidemic That Wasn’t)なる記事で、こうした問題をすでに警告していた。
今回のPCR検査による偽陽性がどの程度であるかは、国々,場合場合によって異なるので、確かなことは言えないが、これまでの議論で、本当の感染者(PCRの真陽性)は、おそらく、公式発表数の10%ほどではないかと思われる。これは、PCR陽性であり、症状ありの場合であろう。PCR陽性だが、無症状というケースがかなり多いが、その多くは偽陽性ではないかと思われる。これまでの議論(注1、2、3)と同じような結論になる。いずれにしても、真の感染者数は未だ不明であるし、インフルエンザとの関連もまだまだわからないことが多い(注3)。
PCR検査の結果が不明確であるということが、公の機関で認められたというニュースが今日(11月27日)明らかになった(注6)。このことは、通常のメデイアではまだ報道されないか、隠蔽されているようです。ドイツの若者4人がポルトガルに旅行したが、そのうちの1人がPCR検査で陽性とされたため、4人とも隔離を命じられた。それを不服として起こした裁判で、裁判所は、PCR検査は非常にあやふやで、原告が本当にCovid-19に感染していたとは言い切れない。それ以上の医師による診断も行なわれずに、陽性と判断され、強制隔離を命じたことは不当であったという判決を下した。「PCR検査の不当さ」が公の機関で認められたことになる。
ただ特定地域(ヨーロッパ、北米、日本など)で感染が広まっていることは事実でしょう。その拡大の程度が報道されている通りであるかどうかは不明だが。その上に、それに基づいた人々への恐怖感の植え付けは妥当なものであろうか。既に沈静している地域からや、集団免疫の可能性など、学ばなければならないことも多い。もう少し、全体で、冷静に考え、この異常現象に対処する必要がある。
(注1)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202010220837044 (注2)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202011090954401 (注3)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202011171103272 (注4)http://philosophers-stone.info/wp-content/uploads/2020/11/The-scam-has-been-confirmed-Dsalud-November-2020.pdf (注5)https://www.nytimes.com/2007/01/22/health/22whoop.html (注6)https://www.rt.com/op-ed/507937-covid-pcr-test-fail/
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