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2020年12月18日15時06分掲載
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「現役世代」の負担も高齢者の負担も増やさずに社会保障制度を維持する方法はある Bark at Illusions
政府は75歳以上の医療費の窓口負担について、年収200万円以上の人を対象に、1割から2割へと増やす方針を固めた。「現役世代」の負担軽減のために高齢者も能力に応じた負担が必要だという政府の主張を無批判に繰り返すマスメディアのニュースを見ていると、社会保障制度を維持するためにはやむを得ない措置だと納得してしまいそうだが、それは間違いだ。「現役世代」の負担も高齢者の負担も増やさずに社会保障制度を維持する方法はある。
高齢者への窓口負担引き上げに関するマスメディアの説明は、概ね次のようなものだ。 後期高齢者医療制度の財源は、75歳以上が支払う保険料(約1割)と公費(約5割)の他、「現役世代」が加入する健康保険からの拠出金(約4割)で賄われているが、少子高齢化によって「現役世代」の負担が重くなっている。そのため、「現役世代」の負担を軽くするために、一定の収入のある高齢者の窓口負担を2割に上げる必要がある。 そしてマスメディアの焦点は「一定の収入」の線引きを巡る与党内の対立と調整に集中し、高齢者への2割負担導入の是非が問われることはほとんどなかった。反対する高齢者や医療関係者らの声もほとんど伝えられることがなく、2割負担の導入自体を批判するマスメディアは皆無だったと言っていい。 むしろ社会保障制度を維持するためには高齢者の負担増はやむを得ないというのがマスメディアの一致した見解だ。 自公が2割負担の対象を年収200万円以上とすることで合意したことを受けて、朝日新聞(20/12/12社説「75歳医療費 本格的な改革の一歩に」)は、
「負担増の議論に一定の結論を出したことは前進だ」、 「今回の高齢者の医療費負担の見直しを、本格的な社会保障改革の一歩としなければならない」
などと主要。毎日新聞(20/12/10社説「75歳以上の医療費 『選挙にらみ』が目に余る」)は、今後、
「医療費がさらに増えると見込まれる。高齢者も応分の負担をせざるを得ない。 そもそも、引き上げ自体は1年前に決まっていた。議論が難航したのは、真摯にこの課題に向き合ってこなかったからではないか」
と述べて、「負担増」に「正面から向き合」うよう政府に求めている。
しかし、高齢者の窓口負担や「現役世代」の保険料を上げるのではなく、国庫負担を増やすことでも、少子高齢化社会に対応することは可能だ。しんぶん赤旗(20/12/11)が指摘するように、高齢者医療費の国庫負担は、高齢者医療制度導入の際、それまでの45%から35%に切り下げられている。大企業や富裕層の税負担を増やし、国庫負担を元に戻せばいいのだ。「経済界からは、経済力に応じた『応能負担』を拡大するよう求める声が強い」(日経20/12/11)というから、儲かっている大企業にも文句はないだろう。
政府は「全世代型社会保障改革」と言うが、今回の措置で軽減される「現役世代」の負担は年間880億円。一人当たりにして約800円だ。たかだか年間800円程度「現役世代」の負担を減らして、高齢者の医療費窓口負担を倍増させる制度変更が「社会保障改革」と呼べるだろうか。 「改革」と言うなら、高齢者の負担を増やすのではなく、軍事費などの無駄な支出を減らし、大企業や富裕層に有利な税制を見直すなどして、社会保障先進国では当たり前の窓口負担ゼロを全世代で実現すべきだ。
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