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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2021年03月05日21時35分掲載
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中東
核合意を離脱した米国に、イランに対して条件を付ける資格はない Bark at Illusions
イラン核合意を破ってイランに対する経済制裁を続ける米国への新たな対抗措置として、イランは核合意で求められている国際原子力機関(IAEA)の追加議定書の履行を停止した。これによって、イランに対するIAEAの抜き打ち検査ができなくなる。IAEAとイランは協議の結果、イランの追加議定書履行停止後も、IAEAが必要な検証・査察活動を3ヶ月継続することで合意したが、欧米やマスメディアなどはイランの核開発が不透明になると心配している。
しかしこの問題には、とても簡単な解決策がある。イラン政府が繰り返し述べているように、米国がイランに対する経済制裁をやめれば、すぐにでも問題は解決する。
マスメディアは「逸脱」とか「違反」という言葉を用いて、現在イランが経済制裁への対抗措置として行っている合意の履行縮小を核合意違反と見做し、一方的に核合意から離脱した米国とイランを同列に扱っているが、それは間違いだ。
イラン核合意成立以降の経緯を簡単に振り返ると、2015年7月に国連安全保障理事会の常任理事国である米国・英国・フランス・ロシア・中国にドイツを加えた6か国とイランは、イランが核開発を大幅に制限し、IAEAの厳しい査察を受け入れる一方で、国連や欧米によるイランへの制裁を解除することで合意。2016年1月にIAEAがイランの核合意履行を確認し、欧米諸国は同国に対する制裁の一部を解除した。ところが2018年5月に米国のトランプ前政権が核合意からの離脱を宣言してイランへの経済制裁を復活。イランは他の核合意当事国が核合意の責務を履行することを条件に核合意に残留した。しかし核合意当事国であるヨーロッパ3カ国は、ドルを介さずにイランと貿易決済を行うための特別目的事業体(SPV)を設立するなど努力はしたものの、米国政府による二次制裁を恐れる企業の利用控えでほとんど機能しておらず、核合意で定められた履行義務を果たせずにいる。イランは米国の合意離脱後1年間待った上で、核合意に基づき、合意が定める責務の段階的な履行縮小を開始した。核合意は第36節で、他の締約国に「重大な合意不履行」があった場合に、イランは合意の履行を停止することができると定められている。
米国やヨーロッパ3カ国はイランとの協議を求めているが、核合意を維持する上で、何かイランと新たに協議することはあるだろうか。
イラン核合意成立以降、ほとんど合意を履行していない米国やヨーロッパ3カ国に、合意を順守するイランに対して条件を付ける資格はない。イラン核合意を維持したければ、欧米諸国、とりわけ米国が、まず制裁を解除すべきだろう。
イランのロハニ大統領(Pars Today、21/2/17)は、次のように述べている。
「本日制裁が解除されれば、我々は明日にも全責務を履行する」、 「イランは、相手側の制裁解除を確認するのに、数時間しか必要としない」
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