あのマグニチュード9の大地震に伴った非常に強烈で高い所まで侵入した津波、その被害の様は、驚くべきものでした。そうした被害の中で問題にされてきたことに、石巻市の大川小学校で児童・教職員の多数が避難せずに亡くなったことと、福島第1原発の事故があります。この二つの事象と津波について、重要な点が隠されているらしいので、その点を紹介します。
(1)東電福島原発立地の津波の高さ 津波の高さ(波高=地上に侵入した地点での通常の水面からの高さ)の測定値・推測値が発表されているが、福島原発周辺での津波の波高は、東電発表のものしか見つからない。それによると、波高15mとなっている。ところが、福島県の北の端の相馬市で9mほど、南の端のいわき市でやく7mほど。その間、原発のあるあたりを除いてやはり6〜8mほどとなっている。原発地点で15mというのは異常である。なぜそのあたりの波高の公式な数値が発表されていないのであろうか。東電福島第一原発 あたりを襲った津波の映像を見ると、どうしても15mほどの高さにはみえない。
(2)大川小学校の悲劇 大川小学校でどうしてあの様な事態になったのか、林衛氏が丹念に追求し、その仔細を発表した(注1)。それは、市民に津波の危険性に対する認識が不足していたことに原因するらしい。しかも、そうした雰囲気(多くの人の意識)を作った下地があったようなのである。その部分を解説した文(注2)を引用します。 “宮城県石巻市立大川小学校の生徒・教職員が津波の犠牲になった背景には、繰り返されてきた巨大津波の情報が住民に伝えられないままになっていた(むしろ隠されていたといってもよい)事実がありました。たとえば、宮城県の津波シミュレーションも隠されてしまいました。 林さんが宮城県庁で聞き取り調査した結果、「宮城県内ではそれほど高くないが、福島県では高い津波のシミュレーションが得られたが、資料には掲載しなかった(2010年)」ことが明らかになりました。日本政府や宮城県庁、関係する東北大研究室のどこかで、福島原発を稼働させていた東電への忖度が働いたのではないでしょうか。 2011年2月、津波が堤防を越える事態を心配した大川小学校長の質問に対し、石巻市の担当者は「計算上、津波は越してこないことになっている」と回答。 3・11の2日前に起きた宮城県沖地震は東日本大地震の前震でしたが、翌朝の新聞ではガス抜き効果で大地震の可能性が小さくなったとの東北大研究者のコメントが報じられました。その宮城県沖地震が起きた3月9日の、地震本部による記者発表が実現していれば、3月10日朝刊には「石巻平野、仙台平野の内陸深くに達した貞観地震(869年)タイプの繰り返しが対策にとりいれられる」と報道されたことでしょう。しかしその記者会見は、電力の横やりで中止されました。“ こうした事象は、全体として、日本での天災が原発に影響を及ぼす可能性をあまり知らせないような体制ができているらしいことを示唆している。これは津波だけの問題ではない。むしろ現在は津波のみを福島原発事故の原因にするという気運(企業・政府側)は、実はあの原発事故は地震によって起こされた(津波が悪化させたが)という事実を隠蔽したいという意図もあるようである。それは、津波よりもより頻繁に起っている地震こそが、原発事故を起こすという、より危険性の高いことに目をつぶらせようとしているようである。危険極まりない。
(注1)https://www.youtube.com/watch?v=Ifg_akJLG7c&t=83s#t=1m31s (注2)http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/2021/03/post-fff46c.html
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