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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2021年06月04日21時39分掲載
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国際社会はイスラエルによるパレスチナ占領を一刻も早く終わらせなければならない Bark at Illusions
ハマスとイスラエルがエジプトとカタールの仲介で停戦に合意し、11日間に及んだ双方による軍事攻撃の応酬はようやく収まった。しかし停戦が成立したと言っても、それはとても不安定なもので、イスラエルによるパレスチナ占領という根源的な問題を解決しない限り、パレスチナとイスラエルの紛争は終わらないというのが一般的な見方ではないだろうか。
ところが、マスメディアはイスラエルの占領政策という根源的な問題に焦点を当てようとしていない。 例えば、停戦合意について伝えたNHKニュース7(21/5/21)は、
「イスラエルとパレスチナの対立」は「パレスチナ人が住んでいた土地にユダヤ人がイスラエルを建国したことが根源」で、「停戦によって問題そのものがなくなるわけではなく、過去にも停戦合意は度々破られてきた」と指摘しているが、イスラエルの占領政策については全く触れずに、停戦が「どこまで守られるのかが焦点」だと述べてニュースを結んでいる。ニュースウオッチ9(21/5/21)は、イスラエルがヨルダン川西岸のパレスチナ人の土地に分離壁や検問所を設けていることや、入植活動を拡大している事実を伝えているが、イスラエルの占領そのものを問題にしておらず、田中正良キャスターは停戦が成立しても「対立の根本的な解決には程遠」いと認識していながら、「今回の停戦が維持されるのかどうかは、当事者に加えて国際社会、とりわけアメリカの対応が鍵となります」と述べるにとどまっている。
また、毎日新聞(21/5/22)は「イスラエル・ハマス停戦 合意順守し和平の協議を」と題する社説で、米国のバイデン政権に「公平性を重視する姿勢に立ち戻」って仲介役となるよう求めるとともに、「今回の停戦を機にイスラエル、パレスチナ双方が和平交渉のテーブルに着くことが、中東の安定につながる」と主張し、朝日新聞(21/5/25)も「ガザ停戦合意 和平交渉の足がかりに」と題する社説でイスラエルとパレスチナ双方に対して自制を促すとともに、バイデン政権が仲介役となって和平交渉を再開させるべきだと主張しているが、イスラエルの占領政策には焦点を当てていない。
パレスチナとイスラエルの和平交渉の再開が待たれるところであるのは当然だが、両者による紛争の責任はパレスチナとイスラエル双方に同等にあるわけではない。否、その責任はイスラエルに一方的にあると言っても過言ではないだろう。
イスラエルは国際法に反して東エルサレムやヨルダン川西岸を占領し、国際社会の批判にもかかわらず、パレスチナ人の土地を強奪して占領地での入植活動を続けている。イスラエルはパレスチナ人の移動を厳しく制限し──ガザ地区に住むパレスチナ人は地区外に出ることを禁じられ、イスラエルの占領によって領土を幾つもの飛地に分断されてしまったヨルダン川西岸で暮らすパレスチナ人は、仕事や病院に行くにもイスラエルの検問所を通らなければならない──、占領に抗議するパレスチナ人は容赦なく弾圧、イスラエル治安部隊によるパレスチナ人の不当な拘束や殺害は日常茶飯事だ。また今回イスラエルの集中攻撃を受けたガザ地区では、イスラエルが2007年以来、陸・海・空を封鎖して住民を域内に閉じ込め、域内の物資の流入も制限してガザ市民を困窮させてきた。まるで2006年の選挙でハマスを選出したことに対する集団懲罰を与えるかのように。
イスラエルはガザ空爆を「自衛」だと主張し、バイデン政権はイスラエルの主張を認め、ほとんどの日本のマスメディアもイスラエルの「自衛」という主張に異議を唱えようとしなかったが、占領者による被占領者に対する空爆は、「自衛」ではない。ハマスやその他のパレスチナの抵抗勢力による軍事攻撃は、イスラエルの抑圧に対する反応であり、イスラエルの占領政策によってもたらされた当然の帰結だろう。
パレスチナとイスラエルの間に和平をもたらすためにも、まずはイスラエルの占領政策を終わらせ、パレスチナ人に対する著しい人権侵害を止めさせなければならない。 その際、米国政府の対応が鍵になるのは間違いないが、米国政府に対しては「仲介」ではなくて、イスラエルへの支援を止めるよう要求すべきだろう。
今回のイスラエルのガザ空爆でも、バイデン政権はイスラエルの「自衛権」に「強い支持」を表明し、国連安全保障理事会が戦闘の即時停止を求める声明を出そうとするのを繰り返し妨害したが、米国政府は国連の場では常にイスラエルを擁護し、イスラエルに対する国連安保理決議に対して繰り返し拒否権を発動してきた。また、イスラエルに対して年間38億ドル(約4100億円)もの軍事援助を行いうなど、政治的にも軍事的にもイスラエルの占領政策を支援している。イスラエルが国際法や国際社会の声を無視してパレスチナの土地を占領し、パレスチナ人に対する甚大な人権侵害を続けることができるのは、米国の後ろ盾があるからだ。
今、市民社会ではイスラエルの占領政策に対する抗議の声が高まっている。パレスチナへの連帯を示し、イスラエルの占領政策を終わらせるよう求めるデモは、西アジアの周辺国だけでなく、ニューヨークやロンドン、パリ、ベルリン、東京など、欧米諸国や日本でも行われている。ロンドンで5月22日に行われたデモには18万人以上が参加した(Guardian、21/5/22)。 マスメディアも、占領政策を続けるイスラエルとそれを支援する米国に対する批判をもっと強めるべきだ。
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