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2021年07月17日08時38分掲載
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アジア
ミャンマーでの不動産開発事業を停止せよ 市民団体が共同声明を発表
ミャンマーで同国軍によるクーデターが発生してから約半年ほどが経過しようとしている。未だミャンマー市民への激しい弾圧が継続する中、この問題の一刻も早い解決を求める日本の市民団体が15日、国軍の資金源となり得るミャンマーでの不動産開発事業(Y−Complex事業)の停止を求める共同声明を発表した。同声明を発表したのは、ヒューマン・ライツ・ナウ、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、日本国際ボランティアセンター、ジャスティス・フォー・ミャンマー、メコン・ウォッチの5団体。この5団体は、今年2月にも同不動産開発事業がミャンマー国軍への資金提供に繋がっている可能性があるとし、国連の作業部会に事実調査の要請をしている。
Y−Complex事業とは、ミャンマー最大都市ヤンゴンの一等地である軍事博物館跡地で進められている複合不動産の開発・運営事業のことを指す。総事業費は約377億円と言われており、みずほ銀行や三井住友銀行などの民間銀行の他、公的な側面が強い国際協力銀行(JBIC)も融資に携わっているため、日本の公的資金も少なからず投入されている事業となる。同事業の現状について、NPO法人メコン・ウォッチの木口由香氏は「クーデター以降は建設が中断している」としつつも、「サブリースしている土地の賃料が国軍の管理下とされている可能性が非常に高く、事業を継続すれば国軍を利することに繋がる」と、今後の事業継続に警鐘を鳴らした。
さらに、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの笠井哲平氏は、「Y−Complex事業は、契約解消後にビルなどの固定資産が土地の賃貸人である国軍に譲渡され、長期的な収入源となる可能性がある」と指摘する。笠井氏は単純に企業などが事業から撤退するのみでは、ミャンマー国軍の利益に繋がる可能性が高いとし、日本企業や関係機関などに対して「責任ある形での撤退」を強く求めている。ここでいう「責任ある撤退」とは、ミャンマー国軍に対して資金が渡らないような方法による撤退を意味するという。
加えて、日本国際ボランティアセンターの渡辺直子氏は、日本政府や関係企業の対応について、「クーデターに関して、積極的な説明をしようとしない」と、その姿勢に疑問を投げ掛けた。同事業については、NGOなどがクーデター以前からその問題点を指摘してきたが、日本政府や企業が積極的に対応する姿勢は見られないという。渡辺氏は「民主主義が破壊されている状況で、普通であれば『何ができるか』という視点で、解決策を検討すべきであるが、曖昧な対応のまま事業が継続し続けている」と、人命を軽視している現在の状況に苦言を呈した。
ヒューマン・ライツ・ナウの佐藤暁子氏は、「権利関係を考え、撤退が難しい部分もあるとは思うが、だからと言ってこの状況下で国軍に資金を垂れ流すわけにはいかない」と主張する。佐藤氏は、「このタイミングで、日本政府や企業がいかにミャンマーの人々の人権を考えた対応を取ることができるのかが問われている」とし、人権を意識したリスク管理を行っていく必要性を強く訴え掛けた。
今回の共同声明は、ミャンマーでのクーデター発生から半年が経過する中で、政府や企業に改めてこの問題を認識してもらうべく発表に至ったものであるという。クーデターが長期化する要因が日本から流れている資金であり、そこに税金が含まれているのであれば、一人一人の日本国民が意識せずにミャンマー市民を弾圧していることにも繋がる。私たちは、それが問題であるということを認識し、改めて「No」という意思表示をしていく必要があるのではなかろうか。
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