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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2021年08月30日11時12分掲載
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欧州
アフガニスタンで今でも活動する「エマージェンシー」〜チャオ!イタリア通信
アフガニスタンの政権がタリバン勢力に奪還され、イタリアも他の国と同様にイタリア人を退避させました。8月27日には、外務大臣デ・マイオ氏がアフガニスタンから帰国希望すべてのイタリア人と4900人のアフガニスタン人をイタリアに避難させたと記者会見で発表しました。イタリアはNATOの一員として、アメリカ同様20年間アフガニスタンに軍を駐留させていました。バイデン大統領が4月にアフガニスタンからの軍撤退を発表すると、イタリア軍も撤退を開始し6月末には完全撤退をしました。
そんなアフガニスタンに今でも滞在するのが、イタリア人が設立した「エマージェンシー」という団体です。イタリア人の外科医ジーノ・ストラーダ氏とテレサ・サルティ氏の夫妻が1994年に設立し、それ以降今まで戦争によって負傷した人々の治療を行っています。8月22日のニュース番組で、「エマージェンシー」の医師がインタビューを受け、アフガニスタンでの「エマージェンシー」の状況と現状を語りました。
「先週はまだ新政権のスポークスマンがいなくて、私たちは皆心配していましたが、今日、新政権の公衆衛生大臣と連絡が取れて、新政権からのサポートと協力を得ることができました。そのため、私たちは今少し落ち着いています。」
さらに、アフガニスタンの現状は、 「現在、危険な場所は空港周辺です。カブールの他の地域は静かで、私たちは今日保健省まで車で行ってきました。その時に、街中は以前よりも人がいなくて、武装したタリバンの検問所をたくさん見ました。状況は穏やかで静かな印象を受けました。とはいえ、夜中には小さな銃撃の音が聞こえたり、空港から弾丸の傷を負った患者が送られてきています。」
その後、カブール空港が爆破された翌日の8月27日には、男性、女性、子ども問わず、爆破によって怪我をした人たちが運ばれてきたと語っています。
この「エマージェンシー」の創立者であるジーノ・ストラーダ氏が8月13日に死去し、ニュース番組でミラノにある本部に多くの人がお悔みに訪れているのを見ました。ジーノ・ストラーダ氏は外科医としてパキスタン、エチオピア、ソマリア、ボスニア・ヘルツェゴビナなどで戦争による負傷者を治療してきました。その後、「エマージェンシー」を設立し、今までで一千万人以上の人々を助けてきました。
その年月の中で、「エマージェンシー」は、非政府組織として、国際連合グローバルコミュニケーション局の公式パートナーとして認められています。また、2018年からは欧州委員会人道援助・市民保護総局の公式パートナーともなっています。アメリカ、イギリス、スイス、ベルギー、オーストリアだけでなく、実は日本にも事務所を持っている国際的な組織となっています。
ジーノ・ストラーダ氏は、常に戦争反対の姿勢を崩さず、歴代のイタリア政府に対して批判をしてきたことでも有名です。晩年、「五つ星運動」からイタリア大統領への候補者として名前をあげられていました。ストラーダ氏は世界で初めて心臓移植に成功した南アフリカのクリスチャン・バーナード氏の病院で働いていたこともありました。外科医としての名声より、自ら戦場で負傷した人々を救うという人生を選んだストラーダ氏に、純粋で素朴で情熱的なイタリア人の一面を見ることができます。
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