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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2022年08月04日13時51分掲載
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アジア
ペロシ下院議長(民主党)の訪台は世界を危機にさらすと批判したNYTのトマス・フリードマン 〜有事への引き金〜
米下院議長のナンシー・ペロシ議員(民主党)が台湾を訪れたことについて、タイミングが最悪でいいことは何一つない、と手厳しく批判したのがニューヨークタイムズのコラムニストでジャーナリストのトマス・フリードマンです。ペロシ議員の訪台はまず同じ民主党のバイデン大統領とホワイトハウスの意思に反したものだったということがあります。
フリードマンの意見を簡単に紹介しますと、まずウクライナ戦争に中国が(今回の米外交に反発して)ロシア側にコミットする可能性を増してしまった、ということ。特にロシアが死活的に欲しいドローン兵器を中国がロシアに〜これまでの抑制を解除して〜輸出し始める可能性を指摘しています。ドローンについてはプーチン大統領がその確保に向けてイランを訪ねたばかりです。こうなると、前にフリードマンが書いていたように、ロシアが望む戦争の長期化〜冬への突入へと向かってしまうでしょう。
また、タイミングが最悪なもう1つの理由として、習近平国家主席が今秋の党大会で第三期目の任期を得る可能性を増してしまったことも指摘しています。さらに、不必要に中国を刺激したため、一歩間違えれば第三次大戦の引き金を引いてしまうことにもなりえる、とまで指摘しています。フリードマンは、台湾政府も本音はペロシ下院議長のこのタイミングでの訪台に困惑していたのではないかとも推察しています。
フリードマンの懸念は言うまでもなく、日米軍事同盟を結び、集団的自衛権を前提にした安保法制を安倍政権時代に法制化した日本にとっては、いつ戦争に全土が巻き込まれるかわからないリスクとして還元されうることでもあります。フリードマンが第三次大戦という言葉を出しているのは、いたずらな妄想とは言えない時期に来ています。
昨日、7月9日の朝刊(安倍首相暗殺事件の各社の統一した同じ見出し)はこうした有事に備えた予行演習としての側面があったのではないか、という私の解釈を書きました。中台間で紛争が実際に始まれば、すぐに有事と日本政府は判断するでしょうし、そうなれば放送局も新聞ラジオも即座に、有事法制のもとで政府のコントロール下に置かれるでしょう。そうした混沌とした時期にすでに入っており、今、放送でいかなる政府批判への果敢な報道が繰り広げられていても、一瞬にすべてが7月9日の再来のように、核心となる情報についてメディアが沈黙となってしまう可能性があると私は思っています。有事と判断されたもとでマスメディアにどのような「報道」がありえるかについて予測できる指標が7月9日の朝刊だと思っています。重大なことは、大手メディアで最も核心の情報は伏せられた、ということに尽きます。憲法改正をしないまでも、憲法上の自由が実質的にすでに失われてしまったのです。ですから、どこの局やどこの新聞社は頑張っているがどこはダメだ、というような放送局や新聞各社の個々のコンテンツの問題という以上に、全社共通のストラクチャーの問題としてみる必要があると思います。
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