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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2022年08月16日10時33分掲載
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アジア
本国の民主化に向け存在感を増すミャンマーの若者世代
〈突然の軍事クーデター〉
ここ数年のミャンマーは比較的安定していた。2011年に民政移管し、それから4年後に行われた民政移管後初となる総選挙ではアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝。その後もNLDの勢いは衰えることなく、2020年の総選挙では全体の8割を超える議席を獲得し再び圧勝を収めた。こうした選挙結果を受け、ミャンマー市民の多くは「この先はもっと平和で安定した国になるはずだ」と確信していたに違いない。
そんな矢先、2021年2月1日未明、ミャンマー国軍が突如、アウンサンスーチー国家顧問やウィンミン大統領らを拘束。ミンアウンフライン国軍司令官は、「(2020年に行われた)総選挙で不正があった」という一方的な理由で軍事クーデターに踏み切ったのだ。
祖国での軍事クーデター発生を受け、在日ミャンマー人らは連日のように全国各地で抗議デモや募金活動に取り組んだ。首都圏の主要駅で募金箱を持ち、「ミャンマーを助けてください!」と力強く訴える在日ミャンマー人たちを目にした人は少なくないだろう。彼らは祖国で苦しむ人々の支援に繋がるよう、週末は駅前や街頭に繰り出し、募金への協力を呼びかけている。
〈頭角を表す若者世代〉
軍事クーデター発生から1年半。ミャンマー情勢を伝える報道が減る中、在日ミャンマー人による民主化運動にも“ある変化”が生じている。
これまで日本国内における民主化運動は、1988年以降に日本へと逃れてきた「88世代」が中心だった。軍事クーデターが発生した直後の運動も「88世代」が主導する形で取り組まれた。昨年2月、88世代が呼びかけた抗議デモには数千人が集まるなど、1988年8月8日(8888)の民主化運動を経験した彼らは、在日ミャンマー人コミュニティの間でも一目置かれる存在だ。
一方、昨年の夏頃からは8888を経験していない在日ミャンマー人の若者世代も、「今回(昨年2月のクーデター)は自分たちも当事者だ」といった様子でさまざまな取組をスタートさせた。
長年、在日ミャンマー人の民主化運動を支援する熊沢新さん(行政書士)は若者世代の取組についてこう話す。
「若者世代は昨年の春頃から徐々にクラウドファンディングや募金活動に従事し始めた。今年行われた、ミャンマーの新年を祝うダジャン祭りやアウンサンスーチー氏のバースデー集会も若者世代が中心となって開催された。デジタルに強い若者世代はSNSやネットを駆使しながら、若者ならではの取組を展開している。特に若い女性なんかは、オンライン上でミャンマーの洋服や雑貨を販売し、その売上金をミャンマーの民主派と国内避難民に支援する活動も行っている」と話す。
熊沢さんはこうした若者世代の台頭を「世代交代」だと位置付ける。「軍事クーデターを機に在日ミャンマー人コミュニティの間では世代交代が進んでいる。一方で、これまで日本国内における民主化運動のリーダー的役割を担ってきた88世代はというと、基本的には若者世代の活動を見守るスタンスを取っている人が多い。ここ最近は、若者世代が呼びかけた抗議デモやイベントの裏方支援を行ったりと、88世代の多くは若者世代の活動を尊重している」と語る。
最後に今後の民主化運動の展望について、熊沢さんは「当面、ミャンマー本国では今のような厳しい状況が続くのは間違いないだろう。ただ、完全な民主国家になることを願うミャンマー人にとって、軍政支配は到底受け入れられない。彼らは、軍事政権下で制定された2008年憲法を廃止し、国軍を解体、排除するまで闘い続けるだろう。私もそうした活動を支えていくつもりだ」と意気込んだ。
ミャンマー国軍が権力の座を明け渡す時が訪れれば、こうした若者世代に国をリードしていってもらいたいものだ。
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在日ミャンマー人の若者世代を中心とするデモ行進の様子(7/24撮影)
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