・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・国際
・中国
・核・原子力
・アジア
・文化
・コラム
・欧州
・イスラエル/パレスチナ
・農と食
・入管
・反戦・平和
・教育
・市民活動
・米国
・みる・よむ・きく
・検証・メディア
・外国人労働者
・司法
・国際
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年12月21日
・2024年12月20日
・2024年12月19日
・2024年12月14日
・2024年12月11日
・2024年12月10日
・2024年12月09日
・2024年12月06日
・2024年12月05日
・2024年12月03日
|
|
2022年09月29日00時45分掲載
無料記事
印刷用
アジア
歴史修正主義者の政治家の国葬
安倍首相の国葬は何を意味するのか、反対する人々の声を報道やSNSで見ていると人によって様々な角度がありますが、私は安倍首相の根幹は歴史修正主義にあったと思います。ですので、戦争責任および植民地支配の過去を持つ日本国が歴史修正主義者を国葬にした、ということが最も大きな意味だと考えます。これは日本の未来に大きな意味を投げかけることになるでしょう。
安倍首相がその意味で最初に大きな注目を集めたのは2001年1月に放送されたNHKのETVシリーズ2001「戦争をどう裁くか」第二夜「問われる戦時性暴力」について、自民党議員の安倍氏と中川昭一氏がNHKに政治介入した結果、番組が急遽大幅に改竄された事件でした。これは改竄に対して取材を受けた側が後に法廷で争う事件にまで進展します。
第二次安倍政権になって安倍首相(当時)が、NHK会長に「政府が右ということを左というわけにはいかない」と就任会見で発言した籾井勝人氏を据えたことも、この2001年のNHKに対する介入の成功体験の延長にあったと考えます。安倍首相の憲法改正への意欲も、歴史修正主義の考え方が根っこにあったのだと思われます。安倍首相の歴史観とは異なる視点を持っていたNHKや朝日新聞、そして他のマスメディアも含めて、安倍首相がそれらに強いプレッシャーをかけ続けたのも、もとをたどれば2001年のメディアに対して圧力をかけた時の成功体験から来るものだったと想像しています。あの時、安倍氏はNHKの組織と職員の人間像について、介入を通して、その本質を洞察したのでしょう。安倍氏のこうした人間や組織の「弱さ」を見破る洞察力は非凡で鋭いものだったと思います。
一方、アベノミクスは憲法改正まで政権を続けるためのカンフル剤だったのではなかったでしょうか。アベノミクスは当初からメディアが大々的に広報宣伝してくれたので、国民に素晴らしい経済政策だという印象を浸透させることができました。アベノミクスが成功していると国民が信じている間は、時間を確保することができたのです。この時間こそが安倍首相にとって虎の子のように大切なものだったと思います。衆参両院で3分の2以上の勢力を占め、国民投票で過半数を得るまでの道のりは簡単ではありません。
しかも、2018年あたりには、アベノミクスが当初宣伝していたような成果を上げていないことが明らかになってきたことで、安倍首相には強い焦りがあったと想像されます。とはいえ、憲法は改正こそされていませんが、ナチスが全権委任法を制定してワイマール憲法を中止できたのと同じ意味で、2015年に安保法制を制定し、すでに有事に個人の権利を削り、政府の権限を拡大できる法整備を敷きつめたことで、安倍首相の願いは70%くらいは実現できたのだと思います。集団的自衛権が認められれば海外のどこであれ自衛隊を派遣できるようになりましたし、その場合に日本の自治体やメディアなどに協力を要請できる法律です。これは安倍首相の同僚やブレーンの憲法学者たちがナチスによる1933年のワイマール憲法攻略法を徹底研究した成果だったのでしょう。難しい憲法改正を経ずして、憲法の下位に位置する法律の制定によって、憲法を停止するというアクロバットです。
第二次大戦や日中戦争は日本が正義の側に立った戦争だったと考える人もいるかもしれませんが、そうした見方は間違っていると考える人の方がおそらくは多いはずです。安倍元首相の国葬はそうした歴史修正主義の大物政治家を国家で追悼した象徴的な儀式でした。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|