先日、フランスのTVチャンネルC8(Canal+グループ)の番組「TPMP(僕のポストに手を付けるな)」の生放送中、左派政党LFI(服従しないフランス)の議員がチャンネルのオーナーである大富豪を批判したところ、司会者のシリル・アヌーナと大喧嘩になって大きなスキャンダルになったことを紹介しました。この大富豪はヴァンサン・ボロレという名の大企業グループのトップで、大富豪です。
以下はLFIのウェブサイトニュース(L'insoumission=「不服従」)ですが、フランスのメディアは9人の大富豪に90%が支配されているとして、こうしたメディア支配の状況を変えるための新法案を書いたことを伝えています。新法案は同党のクレマンティーヌ・オーテイン議員から提出されました。文字化けを防ぐために、フランス語特有のアクセント記号などは英語のアルファベット化していますので、お許しください。
■「不服従」による大富豪・大富豪一族と傘下のメディア
Bernard Arnault/ベルナール・アルノー (Les Echos, Le Parisien, Challenges), Vincent Bollore/ヴァンサン・ボロレ (Canal +, CNEWS, C8), Patrick Drahi/パトリック・ドライ (RMC-BFMTV, L’Express et en partie Liberation), Xavier Niel/グザビエ・ニエル (en partie Le Monde, l’Obs, Telerama, Courrier International, Nice-matin), Francois Pinault/フランソワ・ピノー(Le Point), la famille Dassault/ダッソー一族 (Le Figaro), la famille Mohn/ モン一族(M6, RTL, Gala), Arnault Lagardere /アルノー・ラガルデール(Europe 1, Paris Match, Journal Du Dimanche) Martin Bouygues /マルタン・ブイグ(TF1, LCI, TMC).
https://linsoumission.fr/2022/11/18/bollore-oligarques-medias-projet-lfi/?fbclid=IwAR1KwUXFWkfxTxDrjhmnHEkzGAJ_9DN4ognH148iZVgu-LOomy23ctS5uhg
「服従しないフランス(LFI)」には「立ち上がる夜」(NuitDebout)という2016年の市民運動の参加者たちが多数参加・支援しています。「立ち上がる夜」はフランスが目下抱える多数の問題を市民が共和国広場に集まって毎晩議論を続けた珍しい運動で、リーダーも組織もない新しいつながり、新しい政治運動でした。そこにはエネルギー問題、医療、格差、教育、LGBT、移民、ホームレス対策など100ものテーマに即した議論の輪があり、その中にはフランスのメディアの問題を真剣に考えるグループもあったことを筆者は記憶しています。そして、また「立ち上がる夜」は小型カメラとパソコンを使った市民放送局を速成で立ち上げ、毎晩議論の模様をYouTubeに放流する、ということをしていました。そして、2022年春の国会議員選挙で「服従しないフランス(LFI)」が社会党を超えて野党第一党に昇格し、左派連合を率いる位置にあります。
■フランスのTV 左派議員と司会者が大富豪の番組提供者の行動に関して激突 名誉棄損の提訴と大富豪のメディア介入に対する国会調査委員会の設置を提案
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202211160122273
■NYTが報じるツイッター買収後のイーロン・マスク氏による大規模なリストラが進行中
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202211051408596
■生誕300周年 今も絶大な人気があるドニ・ディドロ 〜啓蒙思想家にして、風刺漫談作家〜
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310200550420
|