自民党と公明党は、12月2日に行われた実務者協議において、敵のミサイル攻撃などに対抗するために発射基地等を叩く「反撃能力(=敵基地攻撃能力)」について、これを保有することで合意した。これまで、日本は日本国憲法の下で、「専守防衛」の範囲内で抑制的な防衛政策を進めてきたが、安保関連3文書に「反撃能力(=敵基地攻撃能力)」が明記されることで、この「専守防衛」政策が大きく転換されることとなる。
自公が進めるこれらの政策に反対するべく、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)が5日に、「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は認められない」と題した声明を公表した。同声明では、敵基地攻撃能力の保有が軍拡競争を招き、報復的なミサイル攻撃を正当化する口実を与えるとし、地位的安定をめざす柔軟で強力な外交努力こそが必要である、としている。市民連合では、同声明を活用し、立憲野党の国会議員などに対する働き掛けを呼び掛けている。
声明の全文は、次のとおり。
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12月2日、自民党と公明党は実務者協議において「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えた上で、まもなく閣議決定を予定しているいわゆる安保関連3文書に明記し、長射程ミサイルの開発や配備に入る方針を正式合意しました。
日本が仮想敵のミサイル基地およびその発射を指令する中枢機能(つまり首都)をミサイル攻撃する能力を保有することは、明白な憲法九条および国際法違反となる先制攻撃に踏み込んでしまう可能性をはらむ重大事です。また一貫して「専守防衛」の範囲内で抑制的に安全保障政策を組み立てることで、戦争を回避し戦火を決して拡大させない「平和国家」として存立するという、戦後日本の国是を根幹から破壊するものであり、断じて許されることではありません。
私たち市民連合は、2020年9月に発出した「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書−いのちと人間の尊厳を守る「選択肢」の提示を−」15項目のなかで「国際社会の現実に基づき、「『敵基地攻撃能力』等の単なる軍備の増強に依存することのない、包括的で多角的な外交・安全保障政策を構築する。」ことを掲げ、さらには今年2022年10月にも「2022年臨時国会開会にあたっての市民連合要請書」にて「憲法・専守防衛を基本に防衛費のGDP比2%拡大、敵基地攻撃能力保有などに反対すること。」を明記し、立憲野党各党に要望し政策合意を確認し、また広く市民社会にも訴えてきました。
「敵基地攻撃能力」を保有することは、ただ単に憲法をないがしろにする暴挙というだけではありません。底なしの泥沼のような軍事費の増大によって暮らしと経済を脅かす軍拡競争を加速させる上に、結局、戦争を誘発した結果、相手側のミサイル基地を全て破壊できるはずもなく、報復的なミサイル攻撃を正当化する口実を相手側に与えます。これは日本の被害をより甚大なものとしてしまうことに他ならず、国民の生命、自由および幸福追求権を守るはずの防衛政策としてもまったく機能しません。いま必要なのは、地域的安定をめざす柔軟で強力な外交努力です。
断じて、敵基地攻撃能力の保有は認められません。 今こそふたたび市民と立憲野党の共闘によって、カルト教団との癒着の事実をごまかし、数々の不祥事を覆い隠そうと躍起になっている自公連立政権によって、平和国家日本の針路を誤ることのないよう、この歴史的な暴挙を阻止しなくてはなりません。
2022年12月5日 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
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市民連合HP↓https://shiminrengo.com/archives/6213
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