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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2023年02月21日20時37分掲載
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アジア
ミャンマー国軍トップが日本ミャンマー協会の渡邉会長と自民党の麻生副総裁を表彰 「貢献」称え
ミャンマー軍評議会トップのミンアウンフライン国軍総司令官は20日、日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長と自民党の麻生太郎副総裁(同協会最高顧問)をミャンマーの発展と平和に貢献したとして表彰した。国営メディアの報道をミャンマージャポンが伝えた。欧米諸国はじめ国際社会が国軍をきびしく批判し、制裁を強化しているなかで、日本の有力政治家らが国軍から表彰されるのはなぜなのか。(永井浩) 首都ネピドーで開かれた式典には渡邉会長が出席し、両国のさらなる友好関係に尽力したいとの考えを示した。麻生氏は式典に参加しなかったが、叙勲に感謝のメッセージを送った。。
▽「貢献」の中身 では、両氏のミャンマーへの「貢献」とは何を意味するのか。 渡邉会長は中曽根政権の郵政相をつとめた元自民党政治家。2011年の民政移管後にテインセイン政権が打ち出した最大都市ヤンゴン郊外のティラワ経済特区の開発に巨額の政府開発援助(ODA)を供与する政策で辣腕をふるった。これを機にミンアウンフラインら国軍トップとの関係を深め、2021年の国軍クーデターまでに総司令官と20回以上会っている。またミンアウンフライン司令官の2014年の初来日に日本財団の笹川陽平会長とともに尽力した。 ティラワ開発を突破口に、ミャンマーを「アジア最後のフロンティア」とする日本の官民挙げた経済進出が加速した。2013年にティラワ経済特区を訪問した安倍晋三首相は、「ティラワ開発は日本とミャンマーの協力の象徴で、日本政府も全面支援を惜しまない」と述べた。 日本企業の進出の窓口として大きな役割を果たしたのが、日本ミャンマー協会である。最高顧問の麻生太郎副首相・財務相を筆頭に、政官財のそうそうたるお歴々が名を連ねている。副会長には大手商社の三菱商事、丸紅、住友商事の元トップ、理事には自民、公明、立憲民主の与野党の現・元衆参国会議員、関係省庁の事務次官経験者、大手企業の役員らがずらりと並ぶ。顧問は歴代の駐ミャンマー大使。正会員(2021年3月現在)は日本を代表する大手企業127社。協会はまさにオールジャパン、日本株式会社の縮図といえる。 会員各社は同協会をつうじてミャンマー側とのODAビジネスだけでなくさまざまな経済進出の便宜を図ってもらうが、合弁の相手は国軍系企業がほとんどである。 政府も、日本の新たな海外市場開拓に貢献してくれる協会会長の渡邉の意向に逆らえない。 こうした日本政府と経済界の国軍との関係について、朝日新聞(2021年8月23日)は、「ミャンマーはワタナベだ」という見出しの記事でこう報じている。麻生財務相は6月初旬にロンドンで開催された主要7か国(G7)財務相会合で、ミャンマー情勢が話題になると機先を制してこう発言した。「日本にはミンアウンフラインとじかに話せるワタナベという男がいる。ミャンマー政策は日本に任せておけばいい」 記事は、日本政府が対ミャンマー外交で「国軍と独自のパイプを持っている」と国際社会にアピールし、制裁を強める欧米と一線を画すために繰り返してきた「独自パイプ」の一人とされるのが渡邉だと書き、外務省関係者の話を紹介している。「国軍に食い込み、政府が手を出せないようなところに入り込んでいる。軍関連の情報を得るための重要人物」なのだ。 クーデターから一週間後の2月8日、渡邉はミンアウンフラインと会談した。国軍総司令官は「やむを得なかった。理解してください」と言ったという。渡邉は朝日との一問一答で、クーデター首謀者を擁護し、「クーデターではない」「司令官は民主主義をよく勉強している」と述べている。自分が「独自パイプ」と言われることについて、こう説明している。「個人でうごいてきたわけではない。2013年に当時の安倍晋三首相、麻生太郎副総理の二人と今後のミャンマーについて話し合い、国軍との交流は私が進めることになった」
▽「日本は国軍と手を切れ」 こうした日本とミャンマー国軍との関係、すなわち同国への最大のODAの供与国である日本から、これに関連して多数の企業が進出し、日本の政府、経済界はミャンマー国軍と深くむすびつき、両者で経済的利益を分かち合っていることが「貢献」なのだ。またその利益の一部が、私たちの豊かな生活をささえている。いいかえれば、「平和国家」日本には、民意を反映しない独裁者たちの手で流されたアジアの隣人たちの血の匂いが潜んでいる。だから、民主化支援をもとめる圧倒的多数のミャンマー国民は、「日本は国軍と手を切れ」と訴える。 クーデターから2ヶ月後の4月1日、東京の外務省前の集会で、祖国の民主主義の回復をもとめる在日ミャンマー人たちは、「日本のお金で人殺しをさせないで」「国軍に流れる公的資金を止めて」と訴えた。「日本のお金による人殺し」とは、日本の官民連合のODAビジネスが国軍のふところを潤してきたという実態が、クーデター後に明らかになってきたことを指している。 ミャンマー人らはODAビジネスの本丸といえる日本ミャンマー協会にも何度か、「国軍系企業との連携をただちにやめろ」と訴える抗議行動を行ってきた。 日本は、クーデターに反対し民主主義を守れと立ち上がった広範なミャンマー国民に血なまぐさい武力弾圧の手をゆるめない国軍に、直接手を貸しているわけではない。しかし、国内外のミャンマー人から見ると、最大のODA供与国である日本の公的資金がさまざまな形で国軍に流れていることははっきりしている。日本政府は間接的に軍政の残虐行為に加担している、と映る。 こうしたミャンマー人たちの訴えに呼応して、日本の市民団体も日本政府の対ミャンマー政策の見直しをもとめている。クーデターから2年にあたる2月1日に、NGO5団体が、共同声明「日本政府は対ミャンマー政策の再構築を!」を政府に提出した。 しかし政府は、新規ODAは停止したものの、既存のODAは継続している。そして、そのODAとそれにからむ国軍とのビジネスに大きな役割を果たしてきた日本の有力政治家らが「ミャンマーの発展と平和に貢献した」として、クーデターの首謀者から表彰され、「両国のさらなる友好関係に尽力したい」との考えを示したのである。
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