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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2023年02月26日10時21分掲載
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アジア
「異国に生きる ミャンマーのこどもたち」<4>タマネ祭りで祖国の伝統文化に触れる 押手敬夫
インターネットで調べると、世界一祝日が多い国はカンボジアで年間28日だそうだ。だが実はミャンマーはカンボジアを凌ぐ世界一の祝日大国であることをあまり知られていない。 以前は28日間だった祝日が、2020年からこともあろうに日本を真似て、土日に祝日が重なると振替休日制度を導入し、ただでさえ多い祝日がさらに増えた。 また7月下旬のイスラム教の祝日と、11月上旬のヒンズー教の祝日は、毎年直前に日にちが決まるため、カレンダーに記載されず祝日はさらに増える。
そんな祝日の中でも特に重要なのが満月である。3月の満月の日はタウバン祭、5月の満月はカゾン祭、7月の満月はワーゾォ祭、10月の満月はタデンジュ祭、そして11月の満月はカディン祭とそれぞれ信心している上座部仏教に因んだ祝日になっているが、旧暦にのっとっているため毎年日にちは変わる。
そして今日のテーマはタマネ祭である。250年前から毎年2月の満月の日、ミャンマーも冬にあたるこの時期、この頃に取られたもち米を使って作るタマネはミャンマー人にとって伝統的な祭りであり、タマネは体を温める特別なおやつである。 そもそもタマネとはタマ(米)をネ(捏ねる)という意味で、もち米、ピーナッツ、黒ゴマ、生姜にココナツを加え、それらをひたすら捏ねて作る豆餅のようなものだ。 ミャンマーではチームごとに分かれて、どこが最も美味しいか審査員を入れて競い合うそうだが、美味しくなる秘訣はいかに捏ねてネバネバになるかにかかっていて、それにはかなり体力が必要になる。 そうして作ったタマネを満月の日の早朝にお釈迦様に供え、近所や通りを行く人々に配ることが功徳になると信じられている。
ミャンマー語を学ぶシュエガンゴのこどもたちも、今日だけは勉強ではなく祖国の伝統行事であるタマネを作ることになった。高田馬場駅近くの戸塚地域センターの調理室に集合したのは主催者のチョウチョウソー夫妻にシュエガンゴの子供たち7名とその母親5名にこどもたちのサポーターの日本人6名の合計20名。5キロのもち米を炊飯器3つも用いて炊き、みじん切りした大量の生姜とココナツ、山盛りのピーナッツを油で揚げて、それらを炊きあがったもち米に乗せて、そこに大量の黒ゴマを加えるとあとはひたすら力を込めて捏ねる。
チーフシェフのチョウチョウソーさんはもち米を研ぐところから順番にこどもたちに実際にさせる。初めて米を研ぐ経験にこどもたちは喜び嬉しそうに行う。大きなボウルに生姜やココナツ、ピーナッツに黒ゴマを加え、あとは炊きあがったもち米にひたすら力を込めて混ぜ合わせる。
こうして大人たちが苦労して作ったタマネは、見た目が黒いため一見美味しそうには見えない。シュエガンゴの幼いこどもたちはその見た目で判断し、折角作ったタマネを「嫌だ、食べない」と最初は見向きもしない。
炊きあがったばかりのタマネはモチモチして、ほのかに甘みもあり美味しい。大量に混ぜられたピーナッツと柔らかなもち米が口の中でなかなか噛み切れず、ミャンマーのミルクティーを飲みながら、ひたすらタマネを咀嚼する。 その内に幼いこどもたちも少しずつタマネを口にし始め、最後は7名全員が食べた。
タマネは1人では作れず家族や友人の協力が不可欠である。多くの人の手を借りて作るタマネは、共同のご馳走でもある。シュエガンゴでミャンマー語を学ぶこどもたちは、こうして祖国の伝統文化であるタマネを作り、家族や仲間の大切さを学ぶのである。
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転載について
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もち米、ピーナッツ、黒ゴマを捏ね合わせた「タマネ」
力を合わせて素材を捏ねる
「それ、もうひと捏ね」
「美味しかった!」
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