農水省は3月20日、コルテバ・アグリサイエンス日本から提出された新たなゲノム編集食品であるワキシートウモロコシに関する情報提供書を受理したと公表した。この受理により、サナテックシードのGABA高蓄積トマト、リージョナルフィッシュの可食部増量マダイおよび高成長トラフグに次ぐ4番目のゲノム編集食品の流通が可能となる。この農水省の届け出受理を受けて、厚労省は3月20日夕刻、コルテバ・アグリサイエンス日本から提出されたゲノム編集食品のワキシートウモロコシに関する情報提供書を受理したと公表した。公表情報によれば、今回届出が受理されたゲノム編集ワキシートウモロコシの流通については現時点では「未定」とされている。(有機農業ニュースクリップ)
今回の両省の対応で、ゲノム編集トウモロコシが菓子や調味料原料として流通が可能になる。しかし表示義務はないため表示のないままに流通することになり、使用されても消費者にはわからず避けようがない。さらには使用した食品によっては「遺伝子組み換えでない」との表示も可能となりそうだ。
農水省の公表した3月20日付けのコルテバ・アグリサイエンス日本(以下、コルテバ)の情報提供書によれば、ゲノム編集によるワキシートウモロコシはゲノム編集技術の一つであるCRISPR-Cas9により、トウモロコシの子実体のデンプン中のアミロースを失わせるようWx1遺伝子を失活させたとしている。これによりヨウ素デンプン反応により従来のトウモロコシが暗青色となるが、ワキシートウモロコシは赤褐色となるとしている。また、このワキシートウモロコシの作出にあたり、3種類の選抜マーカーを導入したが最終的にゲノム編集ワキシートウモロコシには残存せず、Wx1遺伝子の欠失だけだとしている。
農水省の公表した確認結果によれば、コルテバの提出した2月3日に情報提供書(案)は2月3日に受理され、その内容についてのやり取りの後、3月9日に生物多様性影響等検討会で学識経験者の意見照会、15日に確認結果を連絡したとしている。
・コルテバ・アグリサイエンス日本, 2023-3-20 ゲノム編集技術の利用により得られた生物の使用等に関する情報提供(情報提供書の提出) https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/attach/pdf/nbt_tetuzuki-13.pdf
・農水省, 2023-3-20 ゲノム編集技術の利用により得られた生物の使用等に係る確認結果 PH1V69 CRISPR-Cas9 ワキシートウモロコシ https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/attach/pdf/nbt_tetuzuki-7.pdf
・農水省, 2023-3-20 情報提供書が提出された農林水産物の一覧 https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/nbt_tetuzuki.html#genome_list
厚労省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会は3月7日、事前相談のあったゲノム編集トウモロコシについて「届出」に該当すると判断された、と議事要旨が公表された。
・厚労省, 2023-3-7 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会(オンライン会議) 議事要旨
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001068301.pdf
・厚労省 公開届出情報一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/newpage_00010.html
・厚労省, 2023-3-20 ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧 公開届出情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/newpage_00010.html
・厚労省, 2023-3-20 公開情報
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001075000.pdf
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