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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2023年05月25日10時28分掲載
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アジア
ミャンマー支援募金〈ミャンマーを助けてください!〉当事者の願い (後編)
前編では、在日ミャンマー人たちによる募金活動の経緯や目的などについて触れてきたが、後編では募金活動に対する世間の反応などについて述べていきたい。
当然のことながら、通行人からの反応はさまざまだ。非常に稀ではあるのだが、募金活動を実施するメンバーに対して、「国に帰れ!」、「そういうこと(募金活動等)は国に帰ってからやれ!」などと罵声を浴びせてくる過度の妨害や嫌がらせもある。彼らの標的になるのは、私のような日本人ではなく、若者の在日ミャンマー人だ。我々としても、妨害してくる人たちを無理やり排除する権利は持っていないため、非常にもどかしい。ただ、妨害や嫌がらせをしてくる人たちが、ミャンマー国軍支持者というわけではなく、ただ単に在留外国人に対して反感を持っている人や酔っ払い、という印象が強い。こうした妨害や嫌がらせからミャンマー人を守るためにも、日本人支援者の意義は大きいと認識している。
一方で、募金活動には、ほっこりエピソードも多い。小・中学校に通う子どもたちが、私たちのスピーチをじっと聞き、自分たちの財布から募金してくれることもしばしばある。募金額は数百円程度だが、私たちからすると非常に大きな意味がある。 言うまでもないが、募金活動が妨害されるケースはごく稀で、メンバーに話しかけてくる人のほとんどは私たちの活動を応援してくれている人たちだ。募金してくれる人たちは必ず「頑張ってくださいね」、「応援してます」と温かい声をかけてくれる。
募金活動も時間通りに終わらないことがある。終了予定時間になっても、その日の雰囲気で、募金活動を延長することもある。私たち、募金活動支援者の仲間内ではこれを「残業」と呼んでいる。なんとなくの印象なのだが、日中より夕方の方が募金の集まりが良い気がする。だから、「残業」にも意味がある、と言うわけだ。
「本日はミャンマー国内避難民支援の募金活動を行わせていただきました。皆さま、ご協力ありがとうございました。これからもミャンマー支援をよろしくお願いします」というようなアナウンスを募金活動の最後にするのだが、私はこれを「締めの挨拶」と呼んでいる。
締めの挨拶後、雨天や非常に寒い季節などを除けば、その場で集まった募金を数えることが多い。最初の頃は、屋外でお金を数えることに少し抵抗があったが、考えてみればメンバーや参加者全員の前で金額を数える方が、より透明性の担保になると思ったのだ。また、参加者や通行人が募金活動中に、ミャンマー料理やお菓子などを差し入れてくれることがあり、締めの挨拶後に美味しくいただいている。
こうした募金活動は、在日ミャンマー人による大きなイベントがある場合や、年末年始、非常に悪天候の予報があった時などを除けば、ほぼ毎週末、実施してきた。私自身は、2021年9月に新型コロナに感染して、約2ヶ月間、“休職”してしまったが、募金活動自体は、ミャンマーで軍事クーデターが発生した2021年春から現在も継続中だ。
〈日本の皆さんにお願いしたいこと〉
ところが、募金活動で集まる金額も、初期の頃に比べると、かなり減ってきた。ウクライナ情勢の影響もあるのかもしれない。1回の募金額が10万円を下回ることも割とあり、募金活動に参加する人たちも減少した。私のような日本人支援者も一定数いるが、なかなか増えない。現状はそんな感じだ。
ミャンマ情勢を伝えるメディアが減ってきた今、募金活動には支援金を集めることに加えて、ミャンマーの現状を一般の人たちにダイレクトに伝えるという重要な役割がある。さらには、在日ミャンマー人が苦境にある祖国のために頑張っているのだ、という姿をアピールする効果もあると思う。
コロナ禍が終焉に向かうにつれ、ミャンマー本国から多くの留学生等が日本にやってきている。募金活動に携わる私としては、来日するミャンマー人を“仲間”や“友人”として接してもらいたいし、彼らを通じて、ミャンマーで起きていることにもっと関心を持ってもらいたい。これが私の切実な願いだ。
〈追記〉 5月14日、大型サイクロン「モカ」がミャンマーに上陸し、中部ラカイン州を中心に甚大な被害をもたらしている。そのため、各募金活動グループは現在、被災者・被災地支援を目的とした募金活動に取り組んでいる。また、被災地では、通信障害などが発生しており、我々としても被害の実情を把握することが難しく、死者数はさらに膨れ上がる恐れがある。駅前等で募金活動を行っている在日ミャンマー人を見かけた際には、何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 熊澤 新(くまざわ・あらた) ・「ミャンマー民主化のためのネットワーク」代表 ・行政書士(入管・ビザ関係の業務)
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