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2023年06月10日00時10分掲載
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入管
入管法改悪案 市民から抗議の声が上がる中で可決 入管行政の問題点多数噴出
入管法“改悪”案が、6月9日の参議院本会議で可決・成立した。本会議場で可決が決まると、参議院議員会館前で知らせを聞いた100人以上の市民からは、「強行採決するな」「認めないぞ」と抗議の声が上がった。今後、同法が施行されることで、難民申請手続中であっても、3回目以降の難民申請者が強制送還される可能性が出てくる。このような状況に、すでに3回難民申請を行っているロヒンギャのミョーチョーチョーさんは、「ミャンマーは軍人による独裁社会であるため、帰国したら軍に反対している民主活動家は、殺されるかもしれない。日本政府はそれがわかった上で、なぜこのようなことをするのか」と、悲痛な胸の内を語った。
入管法案の審議中に国会前でのシットインに継続して取り組んできた移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平共同代表は、「私たちの入管法改悪に反対する声は変わらない。目の前にいる非正規滞在者、送還忌避者と呼ばれている人たちとの連帯を諦めることもない。今日、明日から新しい私たちの闘いが始まる」と、引き続き日本の入管行政の在り方に反対していく姿勢を示した。その上で、抗議活動への参加者とともに「入管法改悪反対」とシュプレヒコールの声を上げた。
一昨年に名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの遺族であるワヨミさんとポールニマさんも本会議を傍聴。傍聴後にワヨミさんは「人間である以上、他の人も助けるべきで、特に政府にはその責任がある。その責任を疎かにしないようにしてほしい」と、語った。また、ポールニマさんは「政府は入管に強い裁量を認めようとしており、収容されている人々に何の救済も与えずに、厳しい法律だけを成立させて、収容されている人達の自由を奪おうとしている。日本にいる外国人が命を落とすようなことを二度と繰り返さないような仕組みを作ってほしい」とコメントを寄せた。
さらに、ウィシュマさんの遺族代理人である指宿昭一弁護士は、「立法事実が完全に崩壊しているにも関わらず、与党が数の力で採決を強行したことは許せないと思う。今日、入管法改悪法案が成立してしまったが、このことで入管がやりたい放題できるような状況にしてはいけない。今後も多くの市民とともに、入管の闇を明らかにしつつ、ウィシュマさん事件の真相を解明して、入管にきっちりと責任を取らせる活動を続けていきたい」と語った。
今回入管法案が国会で審議される過程で、難民審査参与員による形式的な難民審査の実態が明らかになり、大阪入管の常勤医師が酩酊状態で入管施設収容者の診察に当たっているという事実も報道された。このように様々な入管行政の“闇”が示される中で、これらの問題点に何の解決策も講じずに、ただただ難民の受け入れを拒むような法の運用を続けるようであれば、国際社会の中で“日本は人権意識が低い国”と捉えられかねない。多文化共生社会の実現を掲げるのであれば、まずは入管の裁量が強い現行の制度に第三者の視点を積極的に取り入れ、透明化を図ることが必須となるであろう。この点について、国会前での抗議活動に参加をした会社員の男性は、「入管の隠蔽体質は外部から組織を作り直さなければ変わらない。国民の目が行き届く組織にすべき」と指摘した。
なお、入管法案の成立を受け、入管問題に反対する活動を継続してきた市民団体、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合が、抗議声明を公表したことから、以下で全文を紹介する。
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入管法改悪法案可決に対する抗議声明
2023年6月9日
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合 代表 指宿昭一
2023年6月9日、参議院本会議にて、入管法改悪法案が可決されました。 この入管法改悪法案は、「申請者に難民がほとんどいない」という難民審査参与員の発言の信ぴょう性が揺らぎ、ウィシュマさん事件後に入管の医療体制の改善が進んでいるという報告が、大阪入管酩酊医師事件を隠ぺいしていたことが発覚して崩れ、さらに、難民審査参与員への事件の振り分けが不適正であることが分かり、送還忌避者数の増減や送還ノルマの問題等について重要な立法事実が明らかにならないまま審議が打ち切られ、強行採決されました。立法事実が崩れているのに法案の採決がなされるということは、国会審議が政府法案の追認手続きにすぎないことを宣言するもので、極めて異常な事態です。
自国に送還されれば命の危険がある難民申請者の強制送還を可能にする送還停止効の例外規定、監理人制度によって収容を解いた外国人に対する監視と管理の強化、強制送還拒否に対する罰則規定など、難民の命を危険にさらし、入管に強大な裁量権を与えることによって、さらなる人権侵害が起こりえることが目に見えています。
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合は、国会審議の意味を否定し、法案に反対する全国の数多くの市民の声に背を向けた強行採決に強く抗議します。 しかし、改悪入管法の成立は、我々の敗北ではありません。この強行採決は、入管の敗北の始まりです。民族差別と人権侵害の巣窟である入管制度は、今日を境に、崩壊を始めます。
これまで隠匿されていた入管の不都合な真実が暴露され、立法事実が崩壊し、隠されてきた情報が次から次へと明らかになりました。これらは国会の内外で引き続き徹底して追及すべき重要事項ばかりです。 入管の思惑に沿って難民不認定を乱発していた難民審査参与員柳瀬房子氏の参考人招致によって「臨時班」の運用実態を明らかにすること、情報公開してこなかった大阪入管の酒酔い常勤医師問題の追及などを行うべきであり、法案の成立によって問題の幕引きをさせることは決して許されません。
法務大臣には、入管行政と難民認定審査の適正化に必要な議論と対応を尽くすことはもちろん、国会答弁に基づき、未成年を始めとする、帰国できない非正規滞在者に速やかに在留特別許可を出すことを強く求めます。
そして、在日外国人・難民支援団体に限らない、様々な分野の支援団体、専門家、市民、学生による入管法改悪反対のアクションが、これまで類を見ない規模で全国各地で開催されました。私たちは二度とウィシュマさんのような入管行政の犠牲者を生み出さないように、改悪反対を共に闘った市民と手を取り合い、民主主義・人権を守る闘いを続けます。闘いは終わりではなく、新たな闘いが始まります。共に、進みましょう。
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胸の内を語るロヒンギャのミョーチョーチョーさん
ウィシュマさんのご遺族と指宿昭一弁護士
移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平共同代表





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