米・連邦取引委員会(FTC:Federal Trade Commission )と17州がアマゾンを不公正な取引を強要し、公正な競争を阻んでいるとして訴えたことがニューヨークタイムズ*で報じられました。連邦取引委員会がというのはわかりますが、17州というのはかなりな数です。たとえば、具体的な中身としては、アマゾンがそのサイトに出品する業者たちに、価格を統制していたこと(アマゾン以外で売る時は、アマゾンでの価格以下に下げないように圧力を加えていたこと)などをあげています。これは競合相手の流通業者にダメージを与える手法だとされており、その他のケースも含め、訴えは172頁に及ぶと書かれています。
*ニューヨークタイムズの報道
https://www.nytimes.com/2023/09/26/technology/ftc-amazon.html
アマゾンと言えば、使ってみると、非常にサービスが良いですね。しかし、その一方で、競合他社にダメージを与える商行為を行っているというのが訴えの内容です。これは知りませんでした。もし、これが本当なら、アマゾンで商売をする業者はアマゾンでのプライスが最も安い価格になる商法になります。この裁判に関しては、これからも注目される案件ですね。
この記事で記憶がよみがえりましたが、FTCの委員長は若い法学専門の女性で、Lina Khan(リナ・カーン)という名前です。この方は独占禁止法を専門に研究して、その研究が法学会で認められ、政府から抜擢されたとても優秀な人です。以下はその時の(2018年)のニューヨークタイムズでの彼女の紹介記事です。日本で公正取引委員会のトップと言えば、どんなおっさんか、と想像されるところですが、この記事を読んだ時、本当に驚きました。彼女は特にアマゾンの商法を学生時代から克明に研究していた人で、イエール大学ロースクール時代に書いた論文「Amazon's Antitrust Paradox (アマゾンの反トラスト・パラドックス)」が話題になり、2021年にはバイデン大統領からFTC委員長に抜擢されたのです。アマゾンとしては敵に不足なしでしょう。
https://www.nytimes.com/2018/09/07/technology/monopoly-antitrust-lina-khan-amazon.html
●連邦取引員会(公正取引委員会のホームページから)
https://www.jftc.go.jp/kokusai/worldcom/alphabetic/u/america.html ア 連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は、委員長を含む5人の委員により構成され、その下に競争局(Bureau of Competition)、消費者保護局(Bureau of Consumer Protection)、経済局(Bureau of Economics)、総局長室(Office of the Executive Director)、法律顧問室(Office of the General Counsel)及び地方事務所等が置かれている。 連邦取引委員会組織図(PDF:64KB)
イ FTCの委員長及び委員は、上院の承認を経て、大統領が任命する。任期は7年であり、公務に関する不法行為等の場合以外にはその意に反して罷免されることはなく、職権行使の独立性が認められている。
ウ FTCは、連邦取引委員会法又はクレイトン法違反被疑行為が存在するときは、自ら審査を行い、審判手続を経て、又は関係人が同意するときは審判手続を経ることなく、審決により排除措置を命じることができる。また、FTCは、必要に応じ、違反行為の差止命令等を求める訴訟を提起することができる。
エ FTCの審決に不服がある場合には、連邦控訴裁判所に審決取消訴訟を提起することができる。
オ 連邦取引委員会法第5条(a)(1)後段では、不公正・欺瞞的な行為又は慣行(Unfair or Deceptive Acts or Practices)を禁止しており、FTCは同条に基づき、いわゆる消費者保護行政も所管している。
カ FTCは、また、経済実態や企業活動に関する調査を行う権限を有する(連邦取引委員会法第6条)。
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