ニューヨークでの豪雨*。フランスでの旱魃。日本ではますます強くなる台風。昨今、気候変動が猛威を振るっています。私個人も2018年の脅威的な台風で長年暮らした住宅で暮らせなくなり、転居を余儀なくされました。決して他人事ではありません。そしてこれは南の人々が被害を受けているだけでなく、北部の先進諸国にもすでにダメージを与えているんです。
私は環境問題を特に専門にするわけではないのですが、欧州やフランスの現代政治を見る上で「緑の党」がどんな機能を果たしているのか?その謎を自分なりに考えたいと思い、社会主義協会発行の「科学的社会主義」10月号に「フランスの政治的エコロジー」を寄稿しています。緑の党は、環境政党と言われていますが、フランスにおいても誤解を生んでいるのが、「緑の党」はエコロジー、環境問題だけを焦点にしている特殊な政党だ、と思い込んでいる人が多いことです。実際、私もそのあたりはよく理解していたとは言えませんでした。
今回、「緑の党」初期の理論家で経済学者のアラン・リピエッツや現職下院議員(EELV=緑の党とヨーロッパ・エコロジーが合併してできた政党)のエヴァ・サース氏らの理論書を読みながら、「緑の党」が環境問題にフォーカスしながらも、人間の暮らしのあり方や生産システムのあり方、人間疎外からの脱却などを掲げた哲学が根底にあるということがわかってきました。その意味で「緑の党」(現在はEELV)は自然保護を訴えるだけではなく、文明のあり方そのものを視野に入れた政党であることが理解できました。ですからEELVは労働問題から移民や難民の問題、LGBTなどにも積極的に取り組んでいます。それと同時に、「緑の党」が存在しながら、隣国ドイツとフランスでは政権への関与の仕方が異なっていることについても触れ、それがエネルギー問題、特に原発問題で大きく独仏間の差を生んでいることにも言及しました。もし、関心のある方は10月号をご購読ください。
*集中豪雨のニューヨークで洪水、歴史ある都市が容易に“水没”する時代がやってきた(WIRED)
https://wired.jp/article/new-york-city-floods-state-of-emergency/ 「このような洪水の物理学的な性質は、大気科学者にとっては明白である。気温が1℃上昇するごとに、空気は6〜7%多くの水分を保持できる。つまり、暴風雨を発生させるために必要な水分が増えるということだ。 それと同時に地球の温暖化が進むと、水分の蒸発によってより多くのエネルギーが失われる。つまり、“汗をかく”わけだ。それが最終的に雨となって降り注ぐ」
村上良太
■ヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)地方支部長に聞く 〜その1〜 現在のフランスの原発問題と福島原発事故について Interview : Nadine Reux, Secretaire regionale EELV Rhone-Alpes
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201611100007574 ■ヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)地方支部長に聞く 〜その2〜 自由貿易協定とミツバチについて Interview : Nadine Reux, Secretaire regionale EELV Rhone-Alpes
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201611102111164 ■ヨーロッパエコロジー=緑の党(EELV)地方支部長に聞く 〜その3〜 来年のフランス大統領選とBrexit (英国のEU離脱 )について
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201611111331235
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