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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2023年11月18日11時36分掲載
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アジア
ミャンマーで少数民族と民主派の武装組織が攻勢強化 国軍拠点を多数攻略、兵士の投降相次ぐ 国内避難民が急増
2021年2月のクーデターで国軍が実権を握ったミャンマーで、軍政打倒をめざす少数民族武装組織と民主派の国民防衛隊(PDF)が10月末から攻勢を強め、北東部シャン州の国軍拠点を多数制圧している。軍評議会(SAC)は複数の地域で反軍政勢力による「激しい攻撃があった」と認め、ロイター通信によるとSACは16日、政府職員と元軍人に対して緊急の事態の場合に職務を行える準備をしておくようとの命令を出した。戦闘の激化により国内避難民が急増している。(永井浩) 北東部のシャン州で10月27日、複数の少数民族武装勢力「北部同盟」が共同で「1027作戦」と称して国軍拠点に大規模な攻撃を開始した。 北部同盟はコーカン軍(ミャンマー民族民主同盟軍:MNDAA)、アラカン軍(AA)、タアウン民族解放軍(TNLA)で構成され、国軍司令部があるラショーなど複数の拠点を攻撃、周辺の幹線道路を封鎖したほか、中国との国境ゲートがあるチンシュエホーを占拠した。現地メディアによると、同28日までに国軍基地4か所が制圧されており、軍兵士30人以上が死亡した。国軍は空爆で反撃しており、戦闘が激化している。 作戦には民主派の武装組織、国民防衛隊(PDF)も加わっている。 北部同盟によると、11月9日までに国軍の軍事施設128か所を占拠し、チンシュエホー、パウンサイン、モウンコー、クンロンの各都市を完全に統治下に置いた。さらにティンニー、パンサイン、ナンカンの各都市でも大半のエリアを支配したという。 現在、「1027作戦」にはマンダレー国民防衛隊(MDY-PDF)、ビルマ市民解放軍(BPLA)、市民解放軍(PLA)、カチン独立軍(KIA)なども加わっている。 軍評議会(SAC)は11月12日、戦闘が激化しているシャン州北部の8郡区に対して戒厳令を発令した。 また中部の主要都市マンダレーのPDFは13日、同市を統治下におくため「シュエピーソー作戦」を開始したと宣言した。PDFによると、作戦の第一段階としてマンダレー市郊外のアマラプラ郡で電力局および公務員住宅を占拠し、国軍兵士と警察隊に対して投降を呼びかけている。 現地メディアによると、インドと国境を接する西部チン州でもチン市民防衛隊(CDF)合同軍と国軍の間で戦闘が発生し、国軍兵士40人以上が11月13日、武器を放棄しインド側へ逃亡したという。 民主派勢力の国民統一政府(NUG)国防省マウンマウンスウェ副長官は11月14日、「1027作戦」により、国軍兵士の投降が相次ぎ、「われわれの戦いは10月以降、さらに大きなうねりとなった。歴史的な一里塚となった」と軍への攻撃の成果を強調した。 一方、SACの報道官は15日、国営メディアで「いくつかの軍事施設では、兵士とその家族が民主派勢力からの攻撃に反撃し続けている」と述べ、攻勢にさらされていることを認めた。 NUGは少なくとも国軍3,000人の兵力が減少したとの分析を明らかにした。NUGは国軍兵士の実数は30万人程度と推計しており、この2年間に12.5%減少したと分析している。戦力が25%減少すれば、軍評議会(SAC)は崩壊する可能性が高いという。 各地での戦闘の激化にともない、国連人道問題調整事務所(OCHA)は11月15日、全土で直近の2週間に避難民が20万人増加したと発表した。特に「1027作戦」が展開されているシャン州北部で避難民の増加が顕著で、食糧などの支援が急務となっている。 こうした情勢を受けて英国外務・英連邦・開発省(FCDO)は11月10日、ミャンマーに関する渡航情報を更新した。FCDOは、新たにシャン州北部とマンダレー北部に3段階で最高ランクの渡航中止を勧告。すでに勧告されているモン州やカチン州、チン州、カヤー州、カイン州などを含め、ミャンマー北部の大半が渡航中止地域となった。 首都ネピドーや最大都市ヤンゴン、バゴー、エーヤワディーなどの管区は「注意」レベルを維持したが、引き続き外国人に対する恣意的な逮捕や拘禁のリスクが存在し、軽微な法律違反が逮捕理由になる可能性があるとして注意を呼びかけている。 では、今後の情勢を専門家はどう見ているのか。米ワシントンDCにある国立陸軍士官学校の教授ザカリー・アブザ氏のRadio Free Asiaでの分析をミャンマージャポンが配信している。同氏は、「世界の多くの国は今回もミャンマー軍が勝利すると考え関与していない。しかし、複数の戦線で戦っている軍は国民の支持もなく、勝ち目は無いだろう」との認識を示した。 その上で、民主派の国民統一政府(NUG)は、国民防衛隊(PDF)や少数民族武装勢力と協調して軍評議会(SAC)と戦っているが、ミャンマー軍が勝てない理由はNUGの存在ではなく、軍の弱さが原因であると指摘した。 アブザ氏によると、ミャンマー軍の大隊は一般的な部隊と比べ3分の2以下の人数まで弱小化しており、3か所ある士官学校では、有資格の士官候補生の数が減少し、訓練の水準も低下しているという。 2つ目の理由として、ミャンマー軍の戦略では国民の信頼と尊敬、協力が得られないことを挙げた。また、民間人を標的とした攻撃を行い「恐怖政治」を掲げたものの、実際にはこの戦略が機能しなかったために、ミャンマー軍が支配している地域は政権掌握前より大きく減少しているという。 そして最大の理由として、軍に目標を実行するための資金力が無いことを挙げた。2021年2月のクーデター以降、ミャンマーのGDPは12パーセント減少し、現地通貨チャットの価値は250パーセント下落した。米国が主導する制裁により、タイと中国以外からの投資はほとんどなく、シンガポールをはじめ諸外国の銀行サービスが利用できないため米ドルによるビジネスが困難になっている。 アブザ氏は、ミャンマー軍指導者に残された時間は多くなく、ミャンマー軍がこの戦いに勝つあるいは権力を取り戻す可能性は無いと結論づけた。
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