報道機関その他の情報伝達手段が大変上達し、自分たちではない土地での異常と思われる気象変化による旱魃、洪水などが直ちに、しかも目に見える形で報道されるようになったため、気候変動の危険性が強調され、しかもそれを受け取る側が深刻に受け止めがちになっています。以前は、そうした報道は、新聞その他のやり方で報道されるばかりで、深刻さは伝わりにくかった。 では、現在、報道機関が煽るように言っている気候変動は、本当に人類の将来を危険に晒せるようなものなのであろうか。最初に指摘しておくべきことは、気候は、現在も過去も、地球の歴史46億年にわたって変化しつづけたことは、紛れもない事実で、現在いわれているのも気候変動であることは事実です。しかし、過去数世紀の気候変動を見てみると現在の状態は異常とは見られない。
(1)過去数世紀の気候変動
地球の平均気温の過去1万年ほどの変化を図示したのが図1である [1]。ご覧のように、人類が大量の温室効果ガスを放出し始める前から、温度は上下2度ほどの変化は繰り返し起こっている。江戸時代中後期には、いわゆる小氷河期という低温が続いた期間もあって(饑餓状態が頻発)、現在はそこから回復する期間である。アメリカでの異常高温は1930─40年代にあり、現在と変わらない程度であった。すなわち、現在の高温は、過去になかったほどの異常ではない。なお、小氷河期の前は、中世温暖期で、グリーンランドでも草木は生育し、多くの人が定着して住んでいた。現在、気候変動扇動者達の言う1850年代からの1.2度ぐらいの上昇は、それほど異常というわけではない。 ただ、この上昇が人為による温室効果ガス排出の増加によるというのが、実は問題の根底である。これは以前にも議論した[2]が、もう一度考えてみる。
(2)温室効果ガスの効果とその主張の根拠の薄弱さ
多くの論者も指摘しているように、過去5億年ほどの地球温度変化と温室効果ガスとされる2酸化炭素(CO2)の経時変化には何らの相関性も見られない(データはここでは掲示できない [3])。過去1世紀半ほどの地球温度変化と大気中のCO2濃度の変化のグラフを図2[4] に示す。CO2は徐々に増加しているが、気温の方は、1900年ぐらいから急上昇し、1940年ごろにピークになり1970年ごろまで低下し、その後、上昇する。すなわち、温度の変化はCO2の変化には対応していない。 この図は、温度変化が、太陽からのエネルギー値の変化に依存していることを示している。地球の温度の変化は主として太陽から得られるエネルギーの変化に基づく。温室効果ガスなどによるものではない。[2]の図1では、ハワイ近辺の温度変化と大気中のCO2濃度の変化を示し、CO2の変化は温度変化に追従すること、すなわちCO2の変化が温度変化の原因ではなく、逆に温度変化がCO2の変化の原因であることを意味している。その他のデータも[2]で引用した。 通常の温室を見てみよう。温室内の空気が地表・内壁からの熱を吸収(分子そのものが熱を赤外線として吸収するのではなく)し、温まる(空気内の分子の動きが熱により激しくなる─これが温度上昇)。これが温室効果。実際の温室では、さらにそうして熱せられた空気が、閉鎖された室内にあるため、逃げないことが温室効果を上げる。こうした効果は空気中にある全ての分子によるが、主に寄与するものは主成分である窒素、酸素分子(空気の99%)である。だから、CO2もCH4 (メタン)も関与するが、CO2は空気中に0.04%しかないので、その寄与は無視できる。 ただし、いわゆる温室効果ガスが分子内の振動などに基づいて赤外線を吸収することは事実で、その吸収エネルギーの半分ほどを上層に放出し、残り半分ほどを地上側に帰すことも事実で、これが気候変動扇動者達の言う温室効果である。しかし、空気中に0.04%しかないCO2がその分子内振動に基づいて吸収するエネルギーはわずかで、この作用による温室効果は非常にわずかである([2]参照)。
(3) 温室効果ガスの排出削減が不可欠という議論に基づく、各国政府による危険な、馬鹿げた政策など:だまされないように
気候変動対策の枠組みが「パリ協定」と呼ばれるもので、2015年のパリでのCOP21で採択されたものである。イギリス・グラスゴーでの2021年COP26では、「グラスゴー気候合意」という気温上昇を1.5度に抑える努力を追求するという宣言を発した。19世期半ばからの気温上昇を1.5度に収める、そうしなければ人類に災いがもたらされる。それを阻止するためには、その気温上昇の原因であるCO2 ,その他の排出を削減する必要がある。これが現在の気候変動扇動者たちの基本姿勢である。 まず1.5度の気温上昇がなぜ人類に悪影響を及ぼすどころか、壊滅の危険性があるのか。例えば、2020年のシンガポールの年平均気温は摂氏28度であって、ノルウエー・オスローの同年度の平均気温摂氏6度に比べると22度も高い。しかもこのどちらの町も平和で正常な生活ができている状態である。ということは、1.5度ぐらいの上昇で、生存の危険性などが生じるはずがない。 しかし、気候変動を煽る側は専門家と称する人たちのシミュレーションなどに基づく危険性の予想を強調し、多くの人々は専門家が言うのだから、そうなのだろうと思わされ、その上、その原因が温室効果ガス(CO2その他など)の排出だとも、信じ込まされてしまったようである(洗脳)。さらに困ったことには、政策決定者たち、特に欧米の政治家たちが、こうしたことを 信じてしまって(と見える)、とんでもない政策を打ち出し、市民を困らせていることである。とんでもない政策は様々な分野と形で行われているが、そのいくつかを検討しておく。 多くの西欧諸国で実施されつつあるのは、CO2を排出するガソリン車を廃止してEV車に移行することである。2千何年からは、全てEV車にするなどという政策があちこちで打ち出されているが、根本的な困難がある。それは、必要な蓄電池の材料が豊富にはないこと(高額になる)、電気量そのものが現在よりも大量に必要になり、電気エネルギー不足がEV運用を困難にし、市民生活も困難にする。おそらく、総EV化は実現不可能であろう。しかし、その過程で大変な困難・混乱を引き起こすであろう。代わりにハイブリッド車が見直されるであろう。 ガス依存のもう一つは、飛行機である。イギリス政府は、2029年までには、英国全土の飛行場を閉鎖する(飛行機を飛ばさないように)などと決定したそうである。CO2削減―脱炭素―NetZeroなどを主張し、毎年スイス・ダボスに集まる気候変動扇動者達は、自家用飛行機で大量のCO2を排出しながら集まってくるのだが。 現在日常生活で化石燃料(自動車のガスも)を使っているが、その使用にカーボンタックスをあちこちの国で仕掛け始めている。市民の税負担が増す。そうした税の使い道は?アメリカのいくつかの州などでは、今後新設する家屋などでは、化石燃料を使う暖房などは禁止。 非常に大きな問題の一つは、農・畜産業への影響で、ヨーロッパ各国では農業を営む人々からの猛反発が、多く発生している。彼らは大量の車を使って主要道路を封鎖するなどして、政府に施策の廃止を求めている。こうした運動は、ドイツ、オランダ、フランス、イタリー、ポルトガル、ポーランドなどで起きている。こうした政策は、庶民から奪った農地を大規模農業(環境に優しいとする)に転換するなども考えているらしい。基本は、現在の農業そのものがCO2排出などで気候変動を加速化しているとされていることである。畜産でも、牛は優秀な温室効果ガスであるメタンを出すので、メタンを出さないような医薬を作れとか、縮小する必要があるとされている。これらの政策の決定過程を見ると、どうも、民主主義的やり方から逸脱しているようである。パリ協定に同意すると、各国自主政策決定を凌駕、したがって民衆に図る民主主義そのものが消失しつつあるようである。これは、新型コロナのWHOパンデミック宣言に基づき、各国はロックダウン、ワクチン摂取強制などの施策を市民の意見を聞かずに行ったことにも現れている。 CO2削減=主として化石燃料使用削減とされている。化石燃料でも最も嫌われている(削減主張者から)のが、石炭であり、石油も次に問題視されているが、天然ガスは、この機にはむしろ重要視されている。この辺り、CO2削減もいい加減な方策である。天然ガスでもCO2は発生するのだから。CO2を出さず、安く、環境に優しいとされている原発をエネルギー源に適していると考えるし、日本政府などは促進している。ドイツその他いくつかの国では原発を全部廃棄しつつあるが。しかし、原発は人類にとって根本的間違いであり、その危険性(特に地震国の日本では)は[5]を参照されたい。 CO2排出=悪と信じ込まされてしまった人たち、特に若い人たちが、自分がいかにも悪をおこなっているのではないか(CO2削減に寄与していない、どうしたらいいのかなど)といった自己疑念に悩まされるようになっているという調査結果などもある [6]。 CO2は悪どころか、我々生き物全てにとっての必需品なのである。植物は、CO2とH2Oから、太陽光のエネルギーを使って、炭水化物を作ってくれている(光合成)。それを動物が食料として使っているのが、現在の地球上の生命系。植物は、光合成で我々の必要としている酸素も作り出してくれている。ですから、CO2がなくなれば、地球上の生命はいなくなる。だからNetZeroとか脱炭素なる標語は、完全に無視するようにしなければならない。
(4)地球工学(Geoengineering)の危険
地球が温暖化している、それが人類の危機を招いている(上ではそんなに危険ではないことを議論したが)。それならば、気温をなんとか直接的に下ろすようにしようではないかと考える人たち(科学者も含めて)がいる。最も簡単なやり方は、空中に微粒子を振り撒いて、雲を広がらせ、太陽光を遮断する。これはかなり以前から、試みられていて、化学軌跡(Chemtrail)として知られている。最近は、アメリカ政府、オーストラリアなどでは、そうしたやり方を本格化するようである [7]。放出する物質にもよるが、生物とは相容れない物質を大量に環境に撒き散らすことになる。人々の健康へ、環境生物への影響は? また、CO2そのものを大気中から大々的に分離し、地下に埋めるなどして、減らそうなどという試みも始まっている [8]。また大洋に水酸化ナトリウムを加えて、大洋水をよりアルカリ性にする。よりアルカリ性の水は、CO2をより多く吸収するので、大気中のCO2を減らす効果があるだろうと、そんな試みもある(科学者)[9]。
(5)最後に まだまだ、いろいろな試みがなされている。それは気候変動が危機にあり、CO2などによる温室効果によるものだという「信仰」に基づいている。以上で、こうした考えが、事実に基づかない間違った考えであることを議論したが、よく考えてみていただきたい。その上で、気候変動煽動者の言うこと、それに基づいている報道などに疑問を投げ、間違っていると確信できたら、そのようなニセ科学は信じないようにしていただきたい。 しかし、気候変動は、確かに起きていることは事実である。例えば、夏は真夏日が増え、豪雨などもよく起きるようになってきた。一方、日本海側では降雪量が増えたようでもある。ですから、こうした事実は否定する必要はなく、そうした現象により良く対応する道を考えることは必要であろう。
[1] Dansgaard, W., Johnsen, S.J., Moller, J., 1969. One thousand centuries of climatic record from the Camp Century on the Greenland Sheet. Science, 166, 377-381; Schönwiese, C., 1995. Klimaänderungen: Daten, Analysen, Prognosen, Springer, Heidelberg (Link to Amazon http://www.amazon.com/Klima%C3%A4nderungen-Daten-Analysen-Prognosen- Ger- man/dp/354059096X [2] http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202401181048324 [3] 例えば、「地球46億年気候変動」(横山祐輔典、講談社)図2-1 (p43) [4] Ian Plimer, “Heaven and Earth: global warming the missing science” (Taylor Trade Publishing, 2009) p242 [5] 落合栄一郎「放射線被ばくの全体像:人類は核と共存できない」 (明石書店、2022) [6] https://expose-news.com/2024/04/12/climate-anxiety-is-damaging-an-entire-generation/ [7] https://www.climate.news/2024-02-26-geoengineering-alter-climate-expanding-globally-chemtrails.html [8] https://www.climate.news/2024-03-11-expensive-cost-removing-carbon-dioxide-no-one-needs.html [9] https://www.naturalnews.com/2024-02-19-climate-pseudoscientists-fluorescent-dye-climate-change.html
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