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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2024年06月03日20時16分掲載
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欧州
グローバル戦闘航空プログラムの行方は?〜チャオ!イタリア通信(サトウノリコ)
2022年12月にイタリアは日本、イギリスとのグローバル戦闘航空プログラム(以下、GCAPと書く)の共同宣言に署名する。メローニ内閣が成立して2カ月後のことであるGCAPは、日本、イタリア、イギリスによる第6世代ジェット戦闘機の開発プログラムであり、イタリアとイギリスで運用されているジェット機ユーロタイフーンと日本の航空自衛隊のF2を置き換えることを目的としている。
イタリアでは、このGCAPについて、国の重要な軍事政策であるにも関わらず、全国的なテレビニュース番組では取り上げられていない。一度、テレビのニュース番組でDSEIという武器見本市の報道を見た。昨年、9月に放送されており、そこではGCAPにおいて、契約企業となっているレオナルド社のグリエルモ・マヴィリア氏がインタビューに応じていた。
マヴィリア氏はそこで、「私たちは企業として、この国の技術開発に貢献できることを誇りに思っているし、中小企業だけでなく、新世代のエンジニアや学生、そして国家のサプライチェーン全体が技術開発に貢献できることを誇りに思っています」と答えている。
共同宣言の中でも、GCAPが経済的、産業的利益をもたらし、雇用促進を支援するという内容が書かれている。つまりは、軍事産業が学生の雇用促進へとつながる、軍学共同産業という面がある。イタリアでは、今年1月の統計では若者の失業率は約22パーセントとなっている。仕事が見つからない、お給料が安いという問題は常に話されており、こうした軍事研究開発への雇用へと流れている可能性は大である。
ネットで調べた限り、多くの新聞報道は、この共同宣言の内容を伝えるだけになっている。イル・ファット・クオティディアーノという広告料をもらっていない新聞社の記事には、イタリアはGCAPの研究開発費用だけで60億ユーロという多大な金額がかかると、書いてあった。研究開発だけの費用で、その後戦闘機の製造費用、購入費用となると、さらに莫大なお金がかかるのは簡単に予想される。
ピースリンクという、平和と武器放棄を訴える団体のサイトでは、ジャーナリストのクリストファー・レナード氏による、「2021年までにF-35のコストはほぼ2倍になった。最初の20年間で当初2,330億ドルと見積もられていたプロジェクトの総支出は、実際には4,160億ドルに達した。F35はどこへ行ってしまうのだろうか」という言葉を伝えている。F35とは、アメリカが開発した第5世代ジェット戦闘機だ。イタリアでも運用されているが、このジェット戦闘機の効果は疑問視されているため、今回のGCAPによる第6世代ジェット戦闘機の開発が必要となったのだ。
イタリアは現在でも、このF35への技術進化と購入に支出を続けているが、今まで供給されたのは計画されている90機の3分の1でしかない。
イタリアで生活していて、ここ2年間の物価上昇には目を見張るものがある。スーパーで買い物すると毎回のように物の値段が上がっていて、本当にやり繰りするのに頭を使う。しかも、私たちとしては、毎年日本の実家に帰っているが、飛行機のチケット代も数年前と比べると、約400ユーロ(一人当たり)値上がりしているので、それを捻出するだけでも大変である。
こうした国民の生活とは裏腹に軍事にはこれだけの費用をかけるという、どうにも解せないことがおきている。しかも、マスコミはこうした重大問題をほとんど報道しない。今は、近々行われる欧州議会議員選挙の話でもちきりだ。6月13日から15日にイタリアのプーリア州で開かれるG7で、平和団体などが抗議の行動を起こす可能性がある。それをどこまで報道できるのだろうか。そして、国民にどこまで問題提起ができるのだろうか。
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