この数年、有機フッ素化合物(PFAS)関連の動きが大きくなってきました。米国環境保護庁(EPA)はPFOSとPFOAについて、本来であればゼロとすべきだが測定精度の実態に合わせるとして、それぞれ規制値に4ng/Lを設定し、排出者責任を明確にして規制の枠組みを大きく変えました。欧州委員会(EU)もこの数年、着々と規制を強化してきていて、食品の残留PFASの基準値も設定しています。一方、このような欧米の動きとは逆行するかのように、食品安全委員会は今年6月、規制強化を求める多くの声を無視して、有機フッ素化合物の耐容一日摂取量(TDI)を据え置く健康影響評価を決定しました。(有機農業ニュースクリップ)
日本各地で、河川や地下水、水道水から高い濃度のPFOSやPFOAの検出が相次いでいます。その原因としては、過去にPFASを製造し、排水や大気にPFASを放出し環境を汚染してきたダイキン工業(大阪府摂津市)や三井ケマーズフロロプロダクツ(静岡市)のような工場が挙げられます。また、自衛隊や米軍の基地、飛行場で使われていたPFASを含む泡消火剤があり、岡山県吉備中央町で明らかになったように産業廃棄物や最終処分場もその一つです。
日本では顕在化していませんが、米国では高濃度のPFASを含む下水汚泥由来の堆肥を施用したことで離農を余儀なくされるような農地汚染も出てきています。日本の下水由来汚泥肥料には重金属の基準はありますが、PFASに関する基準はありません。PFASに関しては、下水汚泥肥料は野放しの状態であり、PFASを含む農薬(例えばネオニコチノイド系スルホキサフロルなど)とともに新たな汚染源となる可能性があります。
こうした、日本や海外の、主に規制を中心とした動きや汚染例、PFASに関する健康影響に関する研究、処分技術などをリストして年表形式にした「有機フッ素化合物(PFAS)関連年表」を公開しました。
・有機フッ素化合物(PFAS)関連年表 http://organic-newsclip.info/pfas/pfas-table.html
河川や地下水の汚染が顕在化することで、毎日飲んでいる水道水の汚染も注目されています。岡山県吉備中央町で昨年10月、水道水が1400ng/Lという高い濃度のPFASで汚染されていたことが明らかになりました。前後して、岐阜県各務原市などでも、国の暫定目標値50ng/Lを超える高い濃度の水道水汚染が明らかになっています。
こうした汚染を受けて環境省と国交省は今年5月、1万2千ともいわれる全国の水道事業者に対して、水道水のPFAS検査データの提出を求めましたが、地域住民の「不安」も背景に、各地の自治体が水道水のPFASデータを積極的に公開するケースが増えてきています。
そこで、自治体などの事業主体が現在公開している検査データを元にして、自治体別に水道水のPFASレベルを一覧にまとめた「有機フッ素化合物(PFAS):水道水」を公開しました。水道水に含まれるPFASの濃度が国の暫定目標値50ng/Lを超える場合は自治体名を赤色で、10ng/L以下であれば緑色で、その中間は橙色で色分けしました。
・有機フッ素化合物(PFAS):水道水 http://organic-newsclip.info/pfas/pfas-tapwater.html
この有機フッ素化合物(PFAS)関連の2つのリストは、随時更新しています。活用していただければ幸いです。
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