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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2025年02月28日23時26分掲載
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欧州
イタリア現代史ミステリー第2弾「ウスティカの悲劇」(その1)〜チャオ!イタリア通信(サトウノリコ)
人は自分がどんな世界に生きているかなど、普段意識したことはないだろう。朝起きて、仕事に行き、そして仕事が終われば家に帰る。その繰り返しの中で、日常生活に埋没してしまうのが普通だ。しかし、時に自分を取り巻く世界がどんな世界なのか、それを嫌でも思い知らされることがある。「ウスティカの悲劇」はそんな事件である。
(事件の経緯) 1980年6月27日に起きた、この事件は45年近く経った今でも調査が続いている。この事件の経緯はこうである。1980年6月27日、ボローニャからパレルモ行きのイタビア航空機DC9が午後9時前に消息を絶った。シチリアのパレルモ市の目と鼻の先にあるウスティカ島の付近で管制塔のレーダーから突然消えたのである。乗客、乗員合わせて81名、その中には13名の子どもたちもいた。
27日のボローニャは天候が悪く、18時15分に離陸予定が2時間遅れの20時08分にパレルモに向けて出発する。21時前ローマ管制塔と副操縦士のエンツォ・フォンターナが交信をしているが、いたって通常の交信である。さらに、機長ドメニコ・ガッティからの客室への最後のアナウンス内容もこうである。
「ポンツァ島をあとにして、現在パレルモまで約30分の飛行をしています。パレルモの天候は良好、視界も良好、気温は22度」
事故が起こるはずもない、平穏な中での飛行だった。が、副操縦士のエンツォ・フォンターナが「何だ、あれは・・・?」と言った直後にDC9が管制塔のレーダーから消える。ちなみに、エンツォ・フォンターナは、DC9の右側の操縦席にいた。
ポンツァ島とは、ティレニア海にあり、ローマ市とナポリ市の間あたりに位置する。そのポンツァ島を過ぎた後に、DC9はレーダーから消えるのである。イタリアでは6月上旬から始まるバカンスの時期で、ボローニャから家族や親戚のいるシチリアへと旅立った乗客が多くいた。
パレルモの空港では、そんな乗客たちを迎えに来ていた人々が、いつまで待っても到着しない飛行機を不安気に待っていた。その間、ヘリコプターでの捜索が続けられ、日が変わり28日12時半にウスティカ島北約110キロの地点でDC9の破片が見つかる。その後、燃料タンクの塊や最初の遺体が見つかり、DC9がティレニア海に墜落したことが判明する。翌日28日のニュース番組では、ショッキングな映像が流れる。少女なのだろうか、スカートを捲し上げられ、両手を上に広げて海に浮かんでいる。顔はスカートで覆われ、波にゆらゆらと揺れている。
この事故後、墜落の原因が様々に憶測される。一つはイタビア社の責任。つまり、飛行機の点検を怠った機体の不具合。二つ目はテロリストによる爆発物。三つ目は戦闘機のミサイルによって撃墜された。
ちなみに、こうした憶測が何年も言われ続けているの背景には、事件当時のレーダー記録がほとんど残されていないからだ。ほとんどが消されてしまった。わずかに残されたレーダーを、様々な専門家が分析しているのが現状だ。決定的な証拠が消されてしまっている。また、決定的な証言も出てこない。そのため、後述するが、裁判で誰を事件の責任者とするのか特定できないでいる。また、証拠を消したということは確実なのだが、その責任者も罪を問われることなく終わっている。
イタビア社の社長アルド・ダヴァンザート氏は、事件後インタビューでこう述べている。
「事故後、社内で事故委員会を作り、事故を検証した結果、何かしらの爆発がDC9を墜落させたという結論になるが、治安判事からは全く取り上げられず、そしてマスコミは会社の点検ミスを大合唱した。」
飛行機事故というと、まず最初に原因は点検ミスによる飛行機の不具合となるのは、当然のことだが、この事故の場合、飛行機の不具合が具体的に明らかになったことはない。そして、原因と憶測される二つ目のテロリストによる爆発物。1980年というと、イタリアは「鉛の時代」と言われるテロリスト事件が盛んだった時期。
この「ウスティカの悲劇」が起こった後、8月2日にはボローニャ駅が爆破されるテロ事件が起こった。このテロリストによる爆発物を主張する人々は、DC9のトイレ内に爆発物が設置されたと言うが、DC9のトイレに爆発物があった痕跡は全くない。また、DC9がボローニャ空港を離陸したのは、天候不良で予定の2時間遅れである。テロリストがトイレに時限爆弾を設置するとしても、どうやって当日の離陸遅れを予想できたであろうか。
最後に残るのは、戦闘機のミサイルによる撃墜である。そこで気になるのは、墜落直前に副操縦士エンツォ・フォンターナが「何だ、これは・・・」と言ったことである。飛行中のDC9の近くに何かがあったことは確実だ。それが墜落の原因ではないかと疑うのは、当然のこと。それでは、DC9の近くに何が飛行していたのか。
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