・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・アジア
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・入管
・地域
・文化
・欧州
・農と食
・人権/反差別/司法
・市民活動
・検証・メディア
・核・原子力
・環境
・難民
・中東
・中国
・コラム
提携・契約メディア
・AIニュース


・司法
・マニラ新聞

・TUP速報



・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus

・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2025年03月30日
・2025年03月29日
・2025年03月28日
・2025年03月27日
・2025年03月26日
・2025年03月23日
・2025年03月22日
・2025年03月21日
・2025年03月19日
・2025年03月18日
|
|
2010年12月31日05時20分掲載
無料記事
印刷用
コラム
悪夢の思い出 村上良太
悪夢に苦しめられた経験は誰にもあるだろう。僕がこの間見た悪夢は次のようなものだった。
友人と二人、山から下りてきたらあたりはどっぷり暗く、田舎の駅には灯がついている。そのとき、手ぶらの自分にはっと気づく。「しまった、鞄を忘れてきた!」山の頂上にある寺にちがいない。鞄なしで列車に乗るわけにはいかない。しかし、山寺に戻るのは限りなく不気味だ。それでも僕は友人に別れ、下りてきた山道を1人駆け上る・・・・
目が醒めると、夢の中で駆けたためだろうか、足が引きつるようにはっている。夢を見ながら足をバタバタ動かしていたのだろうか。夢は時々の心理を反映している。もう若くないのだ。でも、何か肝心なことを忘れてしまった。もう遅い。夢の中で駆け回り、起きると疲れきっていることがある。
15年ぐらい前に繰り返し見た悪夢は少し違う。だが、多少バリエーションはあるが基本形は同じだ。
僕は教室にいる。なぜか居心地が悪い。季節は秋から冬である。居心地が悪いのは単位が取れるのか取れないのか、出席日数がわからないからだ。出席日数が足りないと留年になってしまう。今までさぼってきたことだけはわかる。それもかなりさぼってきた。ほとんどまったく授業に出席しなかったのだ。だが、残りを頑張れば何とかなるのか、もうダメなのか。そこがはっきりしないために不安がこみ上げてくる。
これにはバリエーションがある。教科が数学の場合と体育の場合だ。また、大学入試を控えた高校3年生のバージョンもあった。季節は晩秋の11月か、12月だ。今までさんざん勉学をさぼってきた。しかし、入試はそこまで迫ってきている。今からでも頑張れば何とかなるのか、ならないのか。不安にうなされる。
この夢は30歳の頃に繰り返し見た。職業人として一人前になれるのか、なれずに転職すべきか迷っていた頃だ。このまま、続けるべきか、方向転換すべきか。ふんぎりがつかない苦しさがある。
子供の頃の悪夢はもっとシンプルだった。荒唐無稽な怪物に追いかけられる夢だった。傘のおばけに追いかけられたことがあった。走って逃げるのだがまったく遅く、一本足の傘の怪物はぴょんぴょん近づいてくる。
悪夢の思い出をたどっていくと、人生の節目節目に悪夢を見ている事がわかる。人生がこれから始まる頃には未知の怪物の幻影におびえ、成人すると一人前になれるかなれないかで悩み、人生も後半にさしかかると、遣り残してきたこと、できなかったことに胸が痛む。僕の場合、悪夢の苦しみはしばしば迷いを明示しているように思える。今からでもまだ間に合うかもしれない。そんな思いもあるのだろう。
村上良太
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|





|