研究者から出ている福嶌教隆著 「気持ちが伝わるスペイン語 リアルフレーズBOOK」(研究社)はスペイン語文法の入門編を終えた人には手にしやすい一冊です。コミュニケーションで実際にそのまま使えるフレーズが420も詰め込まれています。たとえば次のようなフレーズです。
" Es un secreto a voces " (公然の秘密だよ)
著者の福嶌氏の解説によると、a vocesは「大声で」という意味。つまり、「大声の秘密」=「公然の秘密」となるそうです。日本語と発想はよく似ていますが、デテールは少し違っています。
" Nuestro jefe lleva peluca ?" " No lo sabias. Es un secreto a voces "
「うちの課長の頭って、かつら?」 「知らなかったの? 公然の秘密だよ。」
こうしたフレーズを会話に混ぜて、その考え方を丁寧に解説していますので、興味深く、またどこから読んでもいいし、短時間でもちょっと手にして覚えることができます。福嶌氏はNHKのスペイン語講座でも活躍した教授です。漫画が趣味で、自著でもその個性的な漫画を披露している個性的な先生ですね。
フランスに行くとフランス語は流暢でも「私は英語は全然ダメなんです」という方がいます。謙遜しているケースもあると思うのですが、実際の場合もあるのかもしれません。何が言いたいか、というと、フランス語の新聞は読めても英語の新聞が読めないのはちょっともったいない、ということです。しかし、スペイン語ができると、スペイン(欧州)、中南米に加えて、マイアミやカリフォルニアなどのスペイン語を話すコミュニティがアメリカにはあり、スペイン語ができるとアメリカのニュースも英語からでなく、スペイン語の媒体を通して得ることができるということです。
以下は2年前のニュースですが、そのうち、アメリカのスペイン語の話し手が世界一位になるであろう見込みを伝えています。
CNN「スペイン語人口で米国が世界2位に、スペイン本国抜く」
http://www.cnn.co.jp/usa/35066905.html 「米国でスペイン語を母国語とする人口は約4100万人、バイリンガル人口は約1160万人となっている。報告書は米国勢調査局や他の国々のデータに基づいている。スペインの総人口は4770万人、コロンビアは4620万人で、米国は3億1890万人。報告書は米国勢調査局の数字を引用し、米国のスペイン語人口は2050年までに1億3280万人に達し、世界最多になるとも予想した。」
トランプ大統領がメキシコ叩きをして票を集めようとした背景にはこうした米国内におけるスペイン語圏の事実上の広がりに対する危機感があると思います。今、アメリカのCNNもスペイン語版のニュース(noticias) を流しています。これは日本人がスペイン語を学習するのにも活用できるでしょうし、またスペイン語学習者がニュースを読むのに使えるものです。
http://cnnespanol.cnn.com/
村上良太
■語学に再挑戦2
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201008170804022 <何年か前、取材でワシントンDC郊外のホテルに宿泊しました。その時、衝撃を受けたのはホテルのスタッフが掃除のおばさんから、レストランのシェフ、給仕、フロントまで、ほぼ全員スペイン語を母語とする人々だったことです。その多くはエルサルバドルなど、中南米から働きに来ている人々でした。そこで、こう思わざるをえませんでした。 「あと20年もしたら、スペイン語ができなかったらアメリカの取材は難しくなるだろう・・・・」>
■テキサスという土地 村上良太
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201305160719114 <ロドリゲス氏は旅をしながら、僕にこんなことを教えてくれました。 「僕はアメリカ人だ。でも、ヒスパニック系の移民とは違う。何代も前から、テキサスで暮らしているんだ。もともとテキサス州はメキシコの領土だった。そこから、テキサスはいったん国として独立したんだ。「アラモ」っていう映画があっただだろう?そして独立後にアメリカ合衆国に参加した。だから、僕たちは移民なのではない」>
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