英国の有機農業団体ソイル協会は2月7日、英国の有機食品と飲料の売上高は22億ポンド(約3300億円)で、この1年で6%成長したとするレポート(2018年版)を発表した。有機食品に対する需要の高まりで、英国ではこの6年間安定した生長を続けているとしている。(有機農業ニュースクリップ)
小売店は9.7%増、個別宅配や野菜ボックス(ボックス・スキーム)は9.5%増の一方で、スーパーマーケットでは4.2%増にとどまったとしている。オンラインによる売上は30%に達したという。この結果、英国の食品市場の1.5%を占める規模に成長したとしている。
・Soil Association, 2018-2-7 The Organic Market reaches highest sales ever at £2.2B https://www.soilassociation.org/organicmarketreport/
・Ecoogist, 2018-2-7 Organic market in UK now worth £2.2 billion after sixth year of growth https://theecologist.org/2018/feb/07/organic-market-uk-now-worth-ps22-billion-after-sixth-year-growth-ecomontague
・Fresh Plaza, 2018-2-15 UK organic market has seen six years of steady growth http://www.freshplaza.com/article/189292/UK-organic-market-has-seen-six-years-of-steady-growth
スイス有機農業研究所(FiBL)と国際有機農業運動連盟(IFOAM)によるまとめ(2016年版)によれば、2014年のEUの有機食品の市場規模は239億ユーロで、米国の270億ユーロにほぼ匹敵する規模となっている。また、2010年から14年にかけて年平均8%成長だったとしている。
EU委員会の発表によれば、EU域内の有機農業は有機需要の高まりに伴い、圃場面積、登録農家数ともに大きく増えているという。EU28か国の認証有機圃場は、2015年には1100万ヘクタールに達し、2010年からの5年間で約200万ヘクタール、約21%増えたという。有機圃場面積はEU域内の圃場の約6%を占める。また有機農家は、前年比5.5%増の27万1500人となったという。英国の有機圃場は約50万ヘクタールで、英国の圃場の約3%を占めているという。
・FiBL、2016-4 The World of Organic Agriculture 2016 https://shop.fibl.org/fileadmin/documents/shop/1698-organic-world-2016.pdf
EU Commission, 2016-10-25 Organic crop area on the rise in the EU http://ec.europa.eu/eurostat/documents/2995521/7709498/5-25102016-BP-EN.pdf/
圃場面積でみたとき、2016年度初めの日本の有機認証の圃場は約1万ヘクタールと圃場全体の約0.2%にすぎない。2006年の有機農業推進法制定以来、政府は有機圃場を面積比で1%を政策目標としてきたが、全く変わっていないのが実情だ。欧州の有機農業の大きさは、日本の約1千倍。欧州の有機市場の大きさがよく分かる。
・農水省, 2017-2 国内における有機JASほ場の面積 http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-21.pdf
しかし、なぜ日本の有機農業は拡大しないのか。それとも、有機認証を受けていない有機圃場は増えているのか。こうした基礎的な統計や分析も十分ではないのが実情だろう。公的な市場規模の分析も明らかではない。農水省予算のうち有機農業推進関連予算は20数億円にとどまっていることでも明らかなように、今のところ、重点的な政策課題とはなっていないとしか思われない。
【関連記事】 ・No.769 英国:急成長する有機市場 3千億円規模に http://organic-newsclip.info/log/2017/17020769-1.html
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